- Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062189668
作品紹介・あらすじ
婚約者が自殺したとの一報が入った玲緒奈。千住警察署で悲しみにくれる彼女には、次に殺さなくてはならない別の婚約者がいた。セックスや結婚を餌に次々男を惑わし、財産を巻き上げ、証拠を残さず葬り去るのが日常なのである。そんな玲緒奈には不思議な癖があるのだった。
「生きてる意味があることを証明しないと。ね? 私が夢中になれるようなお話をしてよ」
あの世に送る前、男に語らせるのだ。それは、生い立ちでも、創作した話でも構わない。面白いかどうか、で命の長さが決まっていく。最期の気力を振り絞り話を続ける男たち。鬼気迫るストーリーが展開され、物語のなかの登場人物がまた別の話を語り始めたり、時空を超えた設定のなかにリアルなものが紛れ込んだり……全体の物語のなかにさまざまな短篇が入りくみ、海へと流れる大河として眺望できる大傑作。
感想・レビュー・書評
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実際にあった結婚詐欺、保険金殺人事件が下敷きのように始まるんだけど、物語の中の物語にはまたさらなる物語があって…という風にどんどん続いていく。まるで自分が存在するということは、自分の物語を生きていくことで、尚且つその物語を聞いてくれる他者が不可欠だ、ということの大切さを説いているように読めた。でも最後に現実(?)に戻ってくるのが作者の力量?とも感じた。
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2023年2月16日読了
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読み始めは通俗的なサスペンスかと思ったのですが、違いました。500ページを超える長編、空き時間にちょっとずつ読んでしまったので、訳が分からなくなってしまいました。時間のあるときに一気に読んでしまえば、もっと理解が深まったかもしれません。
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命を奪われないためには、価値のある話をしなければならない…。自分を殺そうとする女のために、男たちは必死に物語を紡いでいく。
猟奇的なミステリーかと思いきや、男たちよって語られる不思議な物語がさらに新たなストーリーを生み出し、すぶずぶと奥底へと引きずり込まれていく。行き着いたと思った先にまた新たな物語があり、浮上したと思うとまだ続きがある。
いくつもの独立した短編もしくは中編は、続きはどうなるというところで放り出される。が、徐々に物語同士がリンクして境が曖昧になり、最後は現実とともにひとつにまとまっていく。
作者の仕掛けた複雑な迷宮に翻弄され、迷子になるような感覚の楽しめる読書だった。 -
文学
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現代の日本を舞台にした千夜一夜物語。
殺人鬼になんか面白い話すれば殺さずにいてやると言われて、夜毎不思議なお話が繰り広げられるのだけど、作者のイマジネーションが爆発していて、面白い。
物語の中で新たな物語が語られて行く入れ子構造になっていて複雑ではあるけど、あまり深く考えずに物語の中に揺蕩うこともできる。 -
いまいち入り込めなかった。
途中、登場人物の名前がややこしくて分かりづらくて、読みながら苛々してしまった。
読書が辛いと思った初めての本。 -
男を惑わし、財産を巻き上げ、葬り去る玲緒奈には
「死の直前、男に語らせる話の内容でいのちの長さが
決まる」という不思議な掟があった。最期の気力を
振り絞り話し続ける男たち。鬼気迫る物語の行方は…。