かわいい結婚

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194051

感想・レビュー・書評

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  • 結婚という微妙なキーワード。
    簡単によめて面白くはあったけど、何か得られるものがあったかというと微妙。。

  • 女性の結婚感とか結婚ってどんなもの?って
    感じの短編集
    一時間もあれば読み終わる。軽い物語。
    何も残らず読後感なし。ひまつぶし的本。

  • 以前「ここは退屈むかえにきて」を読んだのと同じく、都心ではなく地方で暮らす人々の生活と感情を中心に描かれている物語。
    内容は少しライトすぎる感は否めないが、人の揺れ動く感情や言葉にならないけど行動に現れる表現などは、ライトに書いているこらこそ、すっと入ってくるものなのかもしれない。
    一話目と三話目は現実的な内容なだけき、
    二話目は特に、ちょっとぶっとんだ設定と終わり方に思えた。

  • 短編集でした。
    『かわいい結婚』
    『悪夢じゃなかった?』
    『お嬢さんたち気をつけて』

    の3篇が収録されています。


    どれもわりと毒気がある感じです。

    『かわいい結婚』は全く家事ができないのだけど、専業主婦をしているひかりの話。
    なかなか想像を超えるダメ主婦ぶりなんだけど、ちょっと意識を変えてからのひかりは生き生きしていた。
    たぶん、外で働いた方がひかりにとってはいいんだろうけど、夫の両親に専業主婦になれと言われた手前、逆らえなかったんだろうな。向き不向きがあるから無理に専業主婦をやる必要もないと思うんだけど。。


    『悪夢じゃなかった?』は起きたら女性になっていた裕司のお話。
    裕司は四年間付き合っていた彼女と別れた翌日に急に女性の体になる。
    少し男尊女卑気味な思考の裕司だけど、自らが女性の体に変化したことで女性の気持ちが手に取るようにわかるようになる。
    別れた彼女が働いているアロママッサージ店に客として出向き、そこで客とマッサージ師として会話し、彼女の本心を知り…
    ラストの展開はかなり突飛だったけど、おもしろかった!
    自分の身に降りかからないとわからないことって多い。
    裕司はいい経験ができたと思う。現実の世界じゃ無理だと思うけど(笑)


    『お嬢さんたち気をつけて』は田舎の女子大で仲良くなったあや子とユリのお話。
    二人は双子のように似ていていつも一緒にいたけど
    あや子は地元に残って就職し
    ユリは東京で就職する。

    何でも一緒だった二人がどんどん状況も服装も価値観も変わっていくんだけど、最後はやっぱり親友ってこうだよなあってラストだった。

    ユリのあや子への気持ちにほろりとしました。

  • どのお話も勢いが良くてよかった。
    「悪夢じゃなかった?」が好きだった。

  • 【内容】
    タイトルにもあるように、なんとも可愛らしい結婚のお話…かと思いきや、ほどよく毒も効いた中編集。
    『かわいい結婚』は、家事がとてつもなく苦手な主人公が、結婚してから専業主婦となり「今のままではいけない!」と奮闘するも腑に落ちない、というお話。
    『悪夢じゃなかった?』は、ある日いきなり美女の身体になっていた主人公が、女性の身体や心や脳みそを堪能するも、女性ならではの苦悩やイライラやトラブルも経験することで、人生を見つめ直すことができるお話。
    『お嬢さんたち気をつけて』は、双子に見間違える程に仲良い田舎育ちマジメ女子2人組が、社会人として環境の違う生活を送ることで、田舎は田舎、都会は都会、のそれぞれのルートを歩むことになるも、根本は結局似たもの同士、という微笑ましいお話。

    【感想】
    とても読みやすく、時々声を出して笑った。
    特に『かわいい結婚』の主人公は、スタバのホワイトモカが好きなところや、旦那さんの前では外とは違うキャラに変貌するところなど、「え?わたしのこと盗撮してる?」と思うぐらいにあるあるだった。家事の苦手具合は主人公の方がさすがにワンランク上だが、わたしも旦那にネットの掲示板に書き込まれないように気をつけようと肝に銘じた…。

    『悪夢じゃなかった?』の2人の最後の姿は、某お騒がせ離婚夫婦のP&Rに似通っていた。

  • 家事の出来なさがリアル…。
    男女の間の深い河と、女性同士の奇妙な連帯って感じ。

  • 『かわいい結婚』
    ぴかりんは同窓会で再会したまーくんと結婚して専業主婦になった。ずっと実家で暮らしてきたぴかりんは一切の家事ができない。おかずは総菜!ごはんはレトルト!
    家事代行サービスで一瞬だけパートで働いたぴかりんは家事が少しできるようになった。
    その後、ぴかりんは以前働いていた下着屋でパートを始め、その給料でときどき家事代行を頼むようになる。
    高校時代の恋人、青山くんが東京から帰ってきているらしいが、そんなのぴかりんには関係ない!まーくんとの関係をぴかりんは愛している。

    『悪夢じゃなかった?』
    実家暮らしの会社員、裕司はある朝目覚めたら女になっていた。しかもなかなかイケてる外見。けれど、女として生きていくには金がかかるし、負担も大きい。
    それを理解したら、昨日まで付き合っていた彼女の辛さもわかる気がした。次の日、男に戻った裕司は彼女とヨリを戻す。裕司は休日になると完璧な女装をして、彼女の理解者として過ごすようになった。

    『お嬢さんたち気をつけて』
    ユリとあや子は地方の女子大で仲良く幸せに過ごしていた。卒業後、ユリは東京の不動産屋に、あや子は地元の百貨店に就職した。
    一年後のゴールデンウィーク、新宿の伊勢丹で再会した二人の感覚は遠く離れていた。ユリはプラダのバッグ(二十万円!)を買いたいと言い、あや子はかつて二人が取り合った男と結婚を考えていると言う。
    さらに一年後、地元で再会した二人は八方塞がりになっていた。歩合制の仕事に苦しむユリ。結婚して妊娠したものの、義理の母と結婚相手の態度に悩むあや子。見ている方向は違うけれど、「ずる賢く生きなきゃ」と言って二人はため息をついた。

    ---------------------------------------

    山内さんの作品では、地方から東京に出て行って就職することと、地元に残って生きていくことの対比が毎回のように描かれている。

    『かわいい結婚』では、地元に残って同級生と結婚した女性が気心が知れたグダグダの関係性を愛していて、地元派を肯定していた。
    二つ目の話、『悪夢じゃなかった?』では彼氏と別れた女性が東京を離れる直前に、彼氏が女として生きる辛さを理解して、二人で仲良く東京で暮らしていくハッピーエンドだった。つまり東京派肯定、なのかな。彼氏は東京育ちだったけど。
    『お嬢さんたち気をつけて』の二人の女性は、東京で就職しても地元に残ってもどっちでも八方塞がりになっていた。東京派も地方派も両方否定といえるかな。

    東京でも地元でも人間関係によっては良くも悪くもなる。ぴかりんみたいに究極に安らげる関係を見つけられることが幸せになるってことなのかもしれない。
    まあ、ぜんぜん夢がない話だけど。

  • 結婚して専業主婦になったひかり。専業主婦になるつもりはなかったが、まーくん(旦那)の親が専業主婦になって息子を世話してやってほしいと言うのでそれに従った。だけど、ひかりは結婚するまでは実家暮らしでご飯は勝手に出てくるものだったし、部屋は勝手に綺麗になっているという生活をしていたので家事が出来ない。毎日、スーパーの惣菜や外食ばかりだ。汚れていく家。ひかりは家事代行のパートに出ることになった。「可愛い結婚」

    女性専用車両に乗るのは綺麗な女だけであり、ババァやブスは乗る必要はないと彼女の前で言ってのける裕司。ある朝、女の姿になっていた。実家住みの裕司は母に追い出され、電車に乗るがノーブラの首元ゆるゆるのシャツをきた裕司は男たちの目に晒される。慌てて飛び込んだデパートで歩きやすい靴を買ったが、下着がない。下着は買ったが服がないの繰り返しで一日中デパートにいることに。そして、裕司は女のとしての楽しみや辛さ、悲しみを経験していく。「悪夢じゃなかった?」

    とある田舎の大学に双子のように仲が良く、持ち物や化粧も同じ女の子がいた。二人は同時に同じ人を好きなり、友情を壊すことなく過ごしていた。しかし、そんな二人にも別れが。一人が東京に就職し、一人は田舎に就職。双子のように同じだった二人は置かれた環境で変わっていくのだった。「お嬢さんたち気を付けて」



    最初の「可愛い結婚」のひかりの気持ちは、主婦になった人なら分かるんじゃないかな…私も「分かる分かる!ひかりちゃんの気持ち分かる!」ってなった。前田さんが言ったみたいに「家事は単純作業で地味」がまさになんだよね。結局、「やって当たり前」だし、褒めて欲しいわけじゃないけど認めて欲しいが、「褒められたくてやってんの?」って感じになる。専業主婦って合ってる人と合ってない人がいるから難しいよなぁ。


    2話目の「悪夢じゃなかった?」も面白かったなぁ。裕司は男だから知らなかった女のことを身をもって体験してるんだもんなぁ。デパートで買い物してたときの女の買い物は長いの理由が分かっただろうし、色々揃えないといけないものが女にはあること。普段、男だと分からない恐怖や不快感もたっぷり経験したし。しかし、最後のオチはまさかだったけど、二人が幸せならそれでいいです。


    最後の「お嬢さんたち気を付けて」は、まさに田舎に残った女と都会に出た女の違いだよなぁ。都会に出た人たちって、住んでる環境がそうさせるのかスタイリッシュな感じだし。田舎の空気に浸かってる私たちとは流れる時間が違うんだろうなぁ。


    どれも大変身につまされるし面白かったお話でした。


    2020.12.20 読了

  • 家事のできない専業主婦を描いた「かわいい結婚」、男が女に変身する「悪夢じゃなかった?」、大学の仲良し2人組のその後を描く「お嬢さんたち気をつけて」の3編。
    一番面白かったのは、「悪夢じゃなかった?」かな。目が覚めたら、カラダだけが女に変身していたというSFチックな設定だが、1日を過ごすうちに、女が生きていくのはいかに大変かということを男が悟るという展開が面白い。
    「お嬢さんたち気をつけて」の古風な語り口もちょっと面白かった。

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著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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