かわいい結婚

著者 :
  • 講談社
3.29
  • (16)
  • (68)
  • (108)
  • (20)
  • (8)
本棚登録 : 753
感想 : 94
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062194051

作品紹介・あらすじ

毎日毎日洗濯して、掃除して、ごはんを作る。それがゴールなら、わたしは誰とも恋なんかしない――。
地方在住・無気力主婦の孤独をコミカルに描く「かわいい結婚」、ある朝目覚めたら女になっていた男が遭遇する世界を描く「悪夢じゃなかった?」ほか、男と女と世界のギャップを可笑しくも痛切に描きだす、注目作家・山内マリコの新境地!
2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞、2012年、初の著書『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)で地方生まれ・在住女子の閉塞感と希望をリアルに描き、大きな共感と話題を集めた山内マリコの最新小説集。家事嫌いの専業主婦の日常や、男が女に変身するハプニングから見えてくる新たな世界をコミカルなタッチで描きながら、男女関係の「見えないルール」に対する痛烈な皮肉が伝わる快作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 図書館で借りて。
    最初の「かわいい結婚」が1番好きかも。わかる!


    絶対読んだことある気がするけど、ブクログに登録してないということは読んでなかったのかな…

  • どのお話も勢いが良くてよかった。
    「悪夢じゃなかった?」が好きだった。

  • そうなのよ!!家事が続くの!!

  • サクサクとあっという間に読めてよかった。

    ・かわいい結婚
    ひかり母、結婚するまで家事したことなくて結婚後に本とテレビで学んだのにめちゃめちゃ家事力高くてすごい…めっちゃ勉強したんだろうな…この作品で一番尊敬してるかも…(家事能力の高さというか、その努力に)

    ひかり、家事というか家でやることが向いてないだけで下着屋で店長できてたということは基礎能力自体は低くないだろうから家事代行サービスで働いても専業主婦向きにはならないのでは…?と心配になりながら読んでたらやっぱりー!!教わればできんじゃん!!
    でもまーくんもルンバすらまともに動かせず夫婦揃って病院送りにする飯を作ってたひかりが、出汁とって味噌汁作って掃除機ガーガー言わせるようになったのにお前…なんの感慨もないの!?ヤフー知恵袋(仮)に相談するほど悩んでたんじゃねーのかよ!?何を当たり前のツラで受け入れてんだ、とりあえず感激しろ。

    でも結婚した女が「まーくんの前でだけ、ひかりはありのままの自分でいられる」って言ってるなら多分まーくんはすげえ男なんだよね。夜中に急に踊りだしても怒らないし。私なら絶対イヤだもんな。

    ひかりは主婦やってるより外で働くことのほうが向いてるタイプだと思うから最終的にパートとはいえ社会復帰できてよかったー。そのほうがストレスはマシになりそう。

    ・悪夢じゃなかった?
    いきなりのTSものでびっくりした。そんなグレゴール・ザムザのごとく朝起きたら属性変わってることあるんだ!? 
    元の裕司が本当にクソ男過ぎてミッコとなぜつきあってるのか(なぜミッコは裕司なんかとつきあってるのか)まったく理解できない。と思ってたら普通に振られててざまあみろ。

    …と思ってたら、いきなりルミネに突撃してオシャレライフをエンジョイしててたくましー…
    そんなもん靴だけルミネで買ってユニクロかGUでユニセックス買ったらええやないか…

    まあなんやかんやあってミッコとヨリが戻ったのかなと思ったら一足飛びに結婚してて笑った。しかも女装が趣味になってんのかよ。ミッコ、それでも特に気にしてないからすげえ女だ。
    それはそうと裕司、実家ぐらししてたなら食費くらい入れろ。勝手に履いてきた母親のハイヒールを勝手に捨てるな!

    ・お嬢さんたち気をつけて
    疑似双子で見分けのつかないユリとあや子からお遊び半分で言い寄られる佳彦かわいそうに………と思ってたらユリが上京して疑似双子解消したあや子と普通につきあってたし、つきあいはじめた佳彦普通にクソ男で笑った。おまえ!(笑)

    あや子と結婚してまで手に入れたプラダのバッグ売っぱらってあや子のいざというときの軍資金用立てて、「あや子がこのお金使うことなく人生を終えられますように」って祈るところ泣けた…そんな…友情は尊いものだね…

  • 【内容】
    タイトルにもあるように、なんとも可愛らしい結婚のお話…かと思いきや、ほどよく毒も効いた中編集。
    『かわいい結婚』は、家事がとてつもなく苦手な主人公が、結婚してから専業主婦となり「今のままではいけない!」と奮闘するも腑に落ちない、というお話。
    『悪夢じゃなかった?』は、ある日いきなり美女の身体になっていた主人公が、女性の身体や心や脳みそを堪能するも、女性ならではの苦悩やイライラやトラブルも経験することで、人生を見つめ直すことができるお話。
    『お嬢さんたち気をつけて』は、双子に見間違える程に仲良い田舎育ちマジメ女子2人組が、社会人として環境の違う生活を送ることで、田舎は田舎、都会は都会、のそれぞれのルートを歩むことになるも、根本は結局似たもの同士、という微笑ましいお話。

    【感想】
    とても読みやすく、時々声を出して笑った。
    特に『かわいい結婚』の主人公は、スタバのホワイトモカが好きなところや、旦那さんの前では外とは違うキャラに変貌するところなど、「え?わたしのこと盗撮してる?」と思うぐらいにあるあるだった。家事の苦手具合は主人公の方がさすがにワンランク上だが、わたしも旦那にネットの掲示板に書き込まれないように気をつけようと肝に銘じた…。

    『悪夢じゃなかった?』の2人の最後の姿は、某お騒がせ離婚夫婦のP&Rに似通っていた。

  • 家事の出来なさがリアル…。
    男女の間の深い河と、女性同士の奇妙な連帯って感じ。

  • 『かわいい結婚』
    ぴかりんは同窓会で再会したまーくんと結婚して専業主婦になった。ずっと実家で暮らしてきたぴかりんは一切の家事ができない。おかずは総菜!ごはんはレトルト!
    家事代行サービスで一瞬だけパートで働いたぴかりんは家事が少しできるようになった。
    その後、ぴかりんは以前働いていた下着屋でパートを始め、その給料でときどき家事代行を頼むようになる。
    高校時代の恋人、青山くんが東京から帰ってきているらしいが、そんなのぴかりんには関係ない!まーくんとの関係をぴかりんは愛している。

    『悪夢じゃなかった?』
    実家暮らしの会社員、裕司はある朝目覚めたら女になっていた。しかもなかなかイケてる外見。けれど、女として生きていくには金がかかるし、負担も大きい。
    それを理解したら、昨日まで付き合っていた彼女の辛さもわかる気がした。次の日、男に戻った裕司は彼女とヨリを戻す。裕司は休日になると完璧な女装をして、彼女の理解者として過ごすようになった。

    『お嬢さんたち気をつけて』
    ユリとあや子は地方の女子大で仲良く幸せに過ごしていた。卒業後、ユリは東京の不動産屋に、あや子は地元の百貨店に就職した。
    一年後のゴールデンウィーク、新宿の伊勢丹で再会した二人の感覚は遠く離れていた。ユリはプラダのバッグ(二十万円!)を買いたいと言い、あや子はかつて二人が取り合った男と結婚を考えていると言う。
    さらに一年後、地元で再会した二人は八方塞がりになっていた。歩合制の仕事に苦しむユリ。結婚して妊娠したものの、義理の母と結婚相手の態度に悩むあや子。見ている方向は違うけれど、「ずる賢く生きなきゃ」と言って二人はため息をついた。

    ---------------------------------------

    山内さんの作品では、地方から東京に出て行って就職することと、地元に残って生きていくことの対比が毎回のように描かれている。

    『かわいい結婚』では、地元に残って同級生と結婚した女性が気心が知れたグダグダの関係性を愛していて、地元派を肯定していた。
    二つ目の話、『悪夢じゃなかった?』では彼氏と別れた女性が東京を離れる直前に、彼氏が女として生きる辛さを理解して、二人で仲良く東京で暮らしていくハッピーエンドだった。つまり東京派肯定、なのかな。彼氏は東京育ちだったけど。
    『お嬢さんたち気をつけて』の二人の女性は、東京で就職しても地元に残ってもどっちでも八方塞がりになっていた。東京派も地方派も両方否定といえるかな。

    東京でも地元でも人間関係によっては良くも悪くもなる。ぴかりんみたいに究極に安らげる関係を見つけられることが幸せになるってことなのかもしれない。
    まあ、ぜんぜん夢がない話だけど。

  • 結婚して専業主婦になったひかり。専業主婦になるつもりはなかったが、まーくん(旦那)の親が専業主婦になって息子を世話してやってほしいと言うのでそれに従った。だけど、ひかりは結婚するまでは実家暮らしでご飯は勝手に出てくるものだったし、部屋は勝手に綺麗になっているという生活をしていたので家事が出来ない。毎日、スーパーの惣菜や外食ばかりだ。汚れていく家。ひかりは家事代行のパートに出ることになった。「可愛い結婚」

    女性専用車両に乗るのは綺麗な女だけであり、ババァやブスは乗る必要はないと彼女の前で言ってのける裕司。ある朝、女の姿になっていた。実家住みの裕司は母に追い出され、電車に乗るがノーブラの首元ゆるゆるのシャツをきた裕司は男たちの目に晒される。慌てて飛び込んだデパートで歩きやすい靴を買ったが、下着がない。下着は買ったが服がないの繰り返しで一日中デパートにいることに。そして、裕司は女のとしての楽しみや辛さ、悲しみを経験していく。「悪夢じゃなかった?」

    とある田舎の大学に双子のように仲が良く、持ち物や化粧も同じ女の子がいた。二人は同時に同じ人を好きなり、友情を壊すことなく過ごしていた。しかし、そんな二人にも別れが。一人が東京に就職し、一人は田舎に就職。双子のように同じだった二人は置かれた環境で変わっていくのだった。「お嬢さんたち気を付けて」



    最初の「可愛い結婚」のひかりの気持ちは、主婦になった人なら分かるんじゃないかな…私も「分かる分かる!ひかりちゃんの気持ち分かる!」ってなった。前田さんが言ったみたいに「家事は単純作業で地味」がまさになんだよね。結局、「やって当たり前」だし、褒めて欲しいわけじゃないけど認めて欲しいが、「褒められたくてやってんの?」って感じになる。専業主婦って合ってる人と合ってない人がいるから難しいよなぁ。


    2話目の「悪夢じゃなかった?」も面白かったなぁ。裕司は男だから知らなかった女のことを身をもって体験してるんだもんなぁ。デパートで買い物してたときの女の買い物は長いの理由が分かっただろうし、色々揃えないといけないものが女にはあること。普段、男だと分からない恐怖や不快感もたっぷり経験したし。しかし、最後のオチはまさかだったけど、二人が幸せならそれでいいです。


    最後の「お嬢さんたち気を付けて」は、まさに田舎に残った女と都会に出た女の違いだよなぁ。都会に出た人たちって、住んでる環境がそうさせるのかスタイリッシュな感じだし。田舎の空気に浸かってる私たちとは流れる時間が違うんだろうなぁ。


    どれも大変身につまされるし面白かったお話でした。


    2020.12.20 読了

  • 表題作より他2作が面白かったです。
    世の中や日常に溢れた違和感を物語にとっても上手に乗せているなと思いました。

    ある日突然女に生まれ変わった主人公の話は
    私でも気づかないくらい女でいれば当たり前のことを男目線で語られています。
    こうやって見ると女って暇だなー!でもやっぱ気楽だなー!と思ったり。
    主人公の散財っぷりと行動力の高さが読んでいてとっても気持ち良かったです。
    私のそれらも刺激されました。

    「お嬢さんたち気をつけて」
    一緒の環境にいた似たような2人が
    ある日片方が上京することになる話。
    東京は人を変えるよね。と思いきや
    ハイブランドと男で女の価値が決まる、みたいな考えは田舎の子こそ持つ考えだったり??
    この話はストーリー設定がとってもいいものなのでもっと長編で読みたい!!と思うほどでした。
    20代前後の女の求めるものとは?
    人生設計とは?
    考えさせられました。
    かなり好きなテーマ、ストーリーでした。

  • 男女が付き合い、一緒に暮らす中での「ん?」と感じる男尊女卑をいらやしくなくさらり描いていてクスリと笑えました。すぐ読めます

全94件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

山内マリコ(やまうち・まりこ):1980年富山県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。2008年「女による女のためのR-18文学賞」読者賞を受賞し、12年『ここは退屈迎えに来て』でデビュー。主な著書に、『アズミ・ハルコは行方不明』『あのこは貴族』『選んだ孤独はよい孤独』『一心同体だった』『すべてのことはメッセージ小説ユーミン』などがある。『買い物とわたし お伊勢丹より愛をこめて』『山内マリコの美術館はひとりで行く派展』『The Young Women’s Handbook~女の子、どう生きる?~』など、エッセイも多く執筆。

「2024年 『結婚とわたし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山内マリコの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×