彼女がエスパーだったころ

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062199643

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  • 著者言うところの「疑似科学シリーズ」。百匹目の猿や超能力、ロボトミー、気による浄化など疑似科学と社会、個人の関りを描く。死をテーマにした作品だけ異色。

  • 「彼女がエスパーだったころ」
    SFだろうか。違うか。


    <blockquote>進化を、科学を、未来を――人間を疑え!百匹目の猿、エスパー、オーギトミー、代替医療……人類の叡智=科学では捉えきれない「超常現象」を通して、人間は「再発見」された――</blockquote>


    題名をどこかで見た記憶があったから借りてみた。全体的にはSFだろうけど、医学や進化や科学や未来を扱っていて、一口にSFとは言えないものばかり。


    「百匹目の火神」は、種の進化がテーマであり、「彼女がエスパーだったころ」はSFかと思いきやミステリーであったり(千晴はエスパーか否かの疑問を残しながらも)、「ムイシュキンの脳髄」はオーギトミーを題材にしたミステリーだ。


    ミステリー要素が強めなものに比べて「水神計画」「薄ければ薄いほど」「佛点」は宗教性が強めな作風。特に、「佛点」では一定の境目を押し出すことで社会は動き出すという、過去の歴史上に起きていたかもしれない部分が描かれていて、フィクションに感じない。どれも一癖あり。一番癖強いのは「百匹目の火神」。他のは、映像化され易そうだ。

  • 火を操ることを覚えた猿の群れ、スプーン曲げを繰り返して有名になった女性、脳の一部を破壊することにより暴力衝動を消してしまう手術、「ありがとう」と言うだけで浄化される水、記録しないことで精神を救うホスピス・・・さまざまな対象を取材するライターの視点で描かれる連作短編集だ。

    途中まで、同じ人物が語り手だと気づかず、独立した短編なのかと思っていた。それくらい、主人公の影は薄く、読んでいる当初は男性なのか女性なのかもわからない。
    対照的に語られる「取材対象」は奇想に満ちていて、強く引き込まれる。

    宮内氏の頭の中っていったいどうなっているんだろう。巻末の参考文献等を見ると、各短編の核になる部分には、実際にどこかの学者が提唱している何がしかの「根拠」があることがわかるのだけれど、その根拠を胚にして野放図にどこまでも拡がっていく世界の危うさに翻弄される。

    各短編の冒頭に、オマージュされた文章が引用されているのだけれど、それがまた気が利いていて、いい。

  • 面白かったです。単独で読むのは初めての作家さんでした。
    連作短編集だとは途中まで気が付きませんでしたが、主人公はなかなかヘビーでした。
    科学的なことを扱いながら、物語は人の心理的な面に焦点を当てていくところが不思議で好きでした。
    「百匹目の火神」「水神計画」「薄ければ薄いほど」が特に好きでした。何かにすがらなくてはならない、人の弱さを感じました。

  • 擬似科学を扱いながら、文化について考える。
    佛点 水が気体になる沸点=社会の20パーセントを超えると変化する閾値 を意味しているが、佛点 である意味は何だろう。今までの社会が変わって、佛=悟った世界になる??  連作として再読したが、千晴 の存在だけしか読み取れず。

  • 最近好きな宮内さんの短編集。
    少し難しい言葉なども多いけど話自体はそんなに長くないのでSF初心者にも読みやすいかと。
    ただし、それほど面白かった!と言う話はなかったかなぁ・・?
    個人的にはオーギトミーの話が一番良かったかも。まぁ僅差ですが。

  • 各短編のテーマは重いがルポ形式で読み進めやすい。

  • 6つの短編集。猿の火熾し習慣が全国に広がる。普通に匙を曲げて工芸品。脳の局所破壊治療。ホスピスでの殺人。

    第三者的、科学史家的、ジャーナリスト的視点から、現実・虚構ないまぜに俯瞰的に書かれていて、今までにあまりなかったテイスト。

  • SFと分類したけど、合ってるのかな。

  • 没我适合的故事。好的,不好的是我決定了。彼女有天資了:自己做保护,还是自己打伤害都只结果自己。
    網岡無為的脳髄:隐私用途软盘。

著者プロフィール

1979年生まれ。小説家。著書に『盤上の夜』『ヨハネルブルグの天使たち』など多数。

「2020年 『最初のテロリスト カラコーゾフ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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