「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)
- 講談社 (2006年2月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062575119
作品紹介・あらすじ
複雑に見える身の回りの現象も「複雑ネットワーク」の考え方を応用すれば単純な関係に置き換えることができる。伝染病やコンピューター・ウイルスの感染経路、ニューロンやタンパク質の情報伝達の方法。会社や社会の中の人間関係に「意外な法則」が見えてくる。
感想・レビュー・書評
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450円購入2006-04-01
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【要約】
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【ノート】
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notITなネットワーク本。グラフ理論とかそっちの話。スモールワールド/スケールフリーネットワークなどのネットワーク理論の紹介に留まっており、発展性とか未来を感じられる要素は少ない。もう一歩未来を見せてほしかった。
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友だちと呼べる人は何人くらいいますか? 人によって違うでしょうね。友だちの定義の仕方にもよるでしょう。たとえば、電話番号とかメールアドレスを知っている人とか、それぐらいで考えて見ると100人以上という人もいるかもしれません。さあ、その友だちのネットワークを使って世界の人々とつながってみましょう。友だちの友だちは皆友だちとすると、何人くらいたどっていくと世界の人々とつながることができると思いますか。もちろん、電話も自動車もない村などを含めていけば事情は変わるでしょうが、だいたい5,6人たどれば世界中の誰にでも行き着けるのだそうです。それを「スモールワールド」と呼びます。こういうことを数学的に考えている人たちがいます。そしてこのネットワークの考え方を、伝染病だったり、脳の中の神経ネットワークだったり、さらにはうわさや評判の広がり方から商売の仕方にまで応用しようとしている人たちもいます。数学が苦手でも、なんとなく図を見ていると雰囲気がわかります。挑戦してみませんか?
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中公新書よりも平易な書き方で科学的な話題にふれていたので好ましい。
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Wed, 03 Feb 2010
ネットワーク科学の本はバラバシの「新ネットワーク思考」が有名だが
近年急激に研究成果がつみあげられたことで
網羅的に,浅く広く解説する,そして一般の人にも分かりやすい
ポップな本があってもいいだろう.
本書はまさにそんな本だ.
まさにブルーバックス.
著者は 若手の研究者の部類にはいる 先生だが
その広範な知識と,かるいユーモアの混ざったような事例は
ネットワーク科学を身近なものに感じさせるだろう.
読んでみたら予想よりも良かった一冊! -
ネットワークの複雑さの評価や定義の話がメイン。グラフ理論から始まって、フリースケール性・スモールワールド性などといった今でしらなかった情報がゲットできてよかった。脳科学の話で特に視野のニューラルネットワークが、「側抑制」という具体例で示してくれて、イメージがつかめた。社会科学的にもコミュニティーの形成など、ホモフィリーなどの単純なルールで現実に類似したネットワークが形成できることが具体的に示してくれてわかりやすい。
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教員からのコメント:複雑ネットワークに関する一般向けの解説書です.研究・勉強に役立つと考えられます.
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1-4-1 複雑系
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わかりやすかった。
複雑ネットワークの導入としてはいい。
数式はほとんど扱わず、説明に終始している。
この本を土台に次の本へ進んでいこうと思っている。 -
数式が沢山でわたくしにはちょっと難しいブルーバックス。よく分からなくても読んでいて楽しい部分もあった。人間関係、コンピュータ、SNS、など理解しやすい切り口が豊富。
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ソフトウェアテストでは、全体を考えることが非常に重要で、全体を表現するために、マインドマップやNGTが使われているのですが、自分が描いている絵は、どちらかというと、南方熊楠曼荼羅に近いものです。
言葉で書くと、断片を書いて、それらを小さなまとまりにしてクラスター化し、最後に遠くの断片同士を線で繋ぐ方法です。つまり、ツリーではなく、ネットワークなのです(NGTは実は、ツリーではなくネットワークであることを最近知りました)。
それで、この方法をもっと一般化して、使いやすいものにしたいなぁと常々思っていました。
それには、まずネットワークそのものの構造や、仕組み、性質を知る必要があるだろうということで、この本を読みました。
★★★
ブルーバックスだけあって、高校生でも十分理解できるように書いてありました。
グラフ理論の入り口の話(一筆書きとか)から始まり、次に、正方格子やカゴメ格子と、木構造、そしてネットワークとの性質の違いが明らかにされます。
ネットワークを理解するためには、
・ノード間の平均距離(小・大)
例) 世界の全ての人に6人でたどり着ける(平均距離:小)
・クラスター性(大・小・なし)
例) 人々は小さなグループを形成する(クラスター性:大)
・平均次数(小・大)
例) 各人の知り合いは数十人と少ない(平均次数:小)
・次数のばらつき(べき則、指数則、スケールフリー、任意、なし)
例) 知り合いの多い人の数は、べき則に則っている(ばらつき:べき則)
※ 次数とは一つのノードから伸びている枝の数のことです。
を理解する必要があります。ネットワークは括弧内の1番目の性質(つまり例に挙げたとおり)なのですが、例えば、正方格子は、{大、大、小、なし}ですし、木構造は、{小、なし、小、なし}です。
最後に、ネットワークの例として、感染症の拡大の話や、コンピュータウィルスの話し、ミクシィの話、脳のニューラル・ネットワークの話などが載っていました。
★★★
ということで、すぐに使えるというわけではありませんが、戦わなければならない敵の姿がだいぶ明らかになってきたという感じがしました。
次数が特に高くなるハブに着目して対策を取らないとならないことなども感覚的には分かっていましたが、理論的に明確になりましたし、ネットワーク構造そのものを木構造で近似するのならクラスター性を表現できるようにしてやればよいのかといったこととか。。。
今度は、もう少し専門的な本を読んでみようかなと思いました。 -
予想以上に数式が無く,理系にとっては辛いかも。入門書であり,ネットワークがあらゆる学問であることを理解できた。
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ネットワークやインターネット、SNSとしてのtwiter,mixi,facebookを卒論として考える時に避けては通れない基本書である。引用文献とはならないが、具体的なテーマを論理だって考えるための助けになるので、研究テーマを決めるまえにぜひ読むべき本である。
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ネットワークを切り口に、歴史、原理、世界、ビジネス、生活を語っている。
ハブのいるネットワークは強い。 -
入門書だけど、わかんなかった。興味あるので、いつかわかる気がする。
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いくつかの枝とそれを繋ぐ線というシンプルなモデルからこれだけのことを語れるというのは本当にすごい。複雑でどこから手をつけたらいいかわからないような現実社会が、モデルの導入でこんなにすっきり明解に分析できてしまうとは思いもよらなかった。
もちろんここで説明されていることは導入の導入でしかないし、このモデルでは語ることのできないことのほうが多いだろう。たぶん、語れた部分についても多くの事象が捨象されただろうし、その中にこそ大事なヒントがあったかもしれない。
それでもこうしたモデル化が現実を一部であれ解明する糸口になるとこんなに鮮やかに示せるのは意味あることだと思う。社会科学は経済学を除けば統一的なモデル化の程度が自然科学に比べて低いと思うが、複雑で実験の難しい人間社会を扱うからこそモデル化が大事なんじゃないかと思う。 -
[ 内容 ]
複雑に見える身の回りの現象も「複雑ネットワーク」の考え方を応用すれば単純な関係に置き換えることができる。
伝染病やコンピューター・ウイルスの感染経路、ニューロンやタンパク質の情報伝達の方法。
会社や社会の中の人間関係に「意外な法則」が見えてくる。
[ 目次 ]
第1章 ネットワークのはじまり―グラフ理論の誕生
第2章 ネットワークの格子模様―碁盤目とその仲間
第3章 ネットワークの距離―ベーコン数とエルデシュ数
第4章 世界はせまい!?―スモールワールド
第5章 世界は不平等!?―スケールフリー
第6章 伝染病から身を守る―感染経路と予防接種
第7章 通信ネットワーク―インターネットと携帯電話
第8章 生命を支える―ニューロンとタンパク質
第9章 ビジネスを生き抜く―黒幕とエリートの社会
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
複雑ネットワークは言葉しか知らなかったので、大体どういうものかを知るために読んだ。その意味では分かりやすかった。6章以下は個別の応用事例なので、興味あるところだけ読んでもいいかも。
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伝染病、携帯、コンピュータなどあらゆるネットワークとその関係性について。
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5章まででネットワークについて説明し、6章以降は感染症、コンピューターネットワーク、ニューラルネットワーク、など、実例に基づいた話。前半が簡単だけど知らない話ばかりで、面白かった。ポイントはスモールワールドとスケイルフリーネットワーク。この本の最後にも、「まとめると、現実のほとんど全てのネットワークはスモールワールドである。そして、不平等さが顔をのぞかせる場面では、スケールフリー・ネットワークも数多く見られる。これらが、近年のネットワークの科学が解きほぐした一番大切な2点だ。」とある。スモールワールドっていうのは、世間は狭いっていうことで、世界中の誰とも6人を隔ててつながってますよとかそういう話。「友達の友達はアルカイーダ」とか。スケイルフリーの方は、「80対20の法則」とか、フラクタル、ベキ分布と関わってくるところ。経済物理学を思い出すなあ。ブルーバックスというものの存在を知ったのが高3の受験生真っ只中という遅さで、全然読んでいない。そして大学の講義は基礎の域をでないから、応用や最先端のことは全く分からない。まだまだブルーバックスのお世話になる余地はあるのです。あと、今野さんは、僕の興味のあるところによく顔を出してくる気がする。この本の周辺がご専門のはずではないと思うけど。それから、この本に写真を何枚か提供してる秋山仁はグラフ理論が専門だったのか。浪人時代アカデミーコモンで聴いた講演で、アメリカのなんとか先生のところに行ったと言ってたけど、それがハラリーだったのかな。関連リンク・『経済物理学の発見』http://review.webdoku.jp/note/4390/14870/1?id=228682
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内容はバラバシ『リンクド』の焼き直しというか、そのものの部分が多々ある。ただ、べき法則について丁寧に論じているし、宴会ゲームや双六などのボードゲームのネットワークやミクシーなどにふれているのは身近でよい。生き方に言及しているところは中公新書の『私たちはどうつながっているのか』の方が練れている。まぁこっちの方が後だからあたりまえだが。
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● 現実のほとんど全てのネットワークはスモールワールドである。そして、不平等さが顔をのぞかせる場面では、スケールフリー・ネットワークも数多く見られる。これらが、近年のネットワークの科学が解きほぐした一番大切な2点だ。
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NDC分類: 404.
スモールワールド理論についてお勉強するならこの本がよいと思います。 -
ネットワークについての研究は、単純化されすぎたモデルが現実に即さない場合が多々あるが、複雑ネットワークの挙動はより現実のものに近い。ワッツとストロガッツによるスモールワールド、バラバシによるスケールフリーネットワークの説明とその応用についてよくまとまっている。ネットワークの経路数/ノード数を「距離」という。スモールワールドネットワークはショートカットを入れることでこの距離が大幅に短くなっている。ノードあたりの経路数(枝の数)がべき乗則にそったものがスケールフリーネットワーク。これはWEBなどのように富める者はますます富む形になる(有名なサイトはより多くのリンクが張られる)。このモデルは感染症対策などにも用いられる。一様に予防接種を行なうよりも、リンクの多い人(ハブ)に対して治療を施すほうが効果的。ネットワークの理論では、ノード間を結ぶリンク一本=距離1ということになっているが、生物学などでは物理的な距離や順路も関係してくる。これらへの応用はまだこれから。
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ネットワークの基本やその研究の歴史から実ネットワークがもつとされるスモール・ワールド性やスケール・フリー性を簡潔に説明している。さらには、感染症ネットワークや通信ネットワーク、ニューロンやたんぱく質のネットワーク構造などの紹介もしている。ネットワークの概要を知るための入門書。ちょっと辛口に言うと、文章が少し読みにくかった。
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「複雑な世界、単純な法則」を短くまとめた感じの本。日本向けにmixiの話とかが追加されている。