進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062575386

感想・レビュー・書評

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  • 本当に分かりやすくて知識が増える。
    最新の成果は書かれていないかもしれないが,基本をおさえるには読みやすくて良い本だ。

  • 機会があって池谷先生のとっても楽しい講演会に出席、オマケにサイン入りの本書を頂いた。はい、自慢です。解りやすく、楽しかった講演会の勢いで読み始めましたが、易しいはずの内容はどんどんと混迷を深めるばかり。優秀な中高生に向けた講義だったらしいけれど、ダメな大人にはついて行けないところも多々あった。それにしても脳の不思議よ。細かく分かれていて巧みに作動しているのに感心させられた一方、視覚などで入力されていない情報を過激なくらい補っているのにはびっくり。科学者の思考や実験アプローチも面白かった。

  • 大脳生理学を研究する著者が中高生を対象に、最新の脳科学研究をテーマにおくる講義録。
    学生と著者による対話形式なので少しづつ核心に迫っていき、その道の知識ゼロの私でも興味深く楽しく読むことが出来た。

    ~memo~
    ・能力のリミッターは脳ではなく身体。
    ・脳の構造は入ってくる情報(身体の構造変化など)によって、柔軟に形を変える。
    ・脳の大きさ、しわの多さは知能と比例しない。使わない機能に対しての脳の部分は退化する。
    ・脳は場所ごとに専門化しているが、その境界はあいまい。

  • しびれるほど面白い、という帯の文句がまったく大げさでない。最新(といってももう5年以上前だけど)の神経細胞のミクロな理解から、マクロな脳の働きというか、脳自体をどう理解できるか、という。
    脳のあやふやさはシナプスの仕組みによるもので、脳はほぼフルスロットルで活動しててつまり内部情報がほとんどで、ゆらぎが決定的な影響を与えるという。これだけ言ってもわけ分からないけど、何か脳の動きのイメージがガラッと変わった感じ。
    あと、科学が説明できるのは相関だけで、因果関係を証明は出来ない、科学は解釈学だ、とか。

  • 最高に知的好奇心を刺激する本。

    人間の脳みそがなぜど忘れするのか、曖昧なのかを説明する部分は鳥肌が立った。
    高校生への授業を文章にするというのは素晴らしい試みだと思う。
    文系で特に勉強しないよくある馬鹿大学生(俺)ですらサクサク読めた。

  • 面白い

  • 相当おもしろかった。
    これまで脳科学の本はいろいろ読んできて、難しいところは飛ばしながらなんとなくわかるところだけを拾い読みしていたのだけれど、その飛ばしてきたところの一部をかなり理解できた。
    それと同時に、脳を理解するためには、ちょっと化学の勉強しんとあかんなぁ・・・と再認識。この難しい内容をこれほどわかりやすく書いた本はほかになかなかないと思う。
    意識とは何か、人間とAIとの違いは何か・・・彼の考えでしかなく、答えが出ているわけではないけれど、とても参考になった。
    自分の生き方を考える上で、脳の仕組みを知ることはわたしにとってはとても役に立つので、もっともっと知りたい。

  • これは…面白い!!

    脳科学という分野にうさんくささを抱いていましたが、著者の人柄が全面にあらわれた表現や脳科学の危うさ、哲学観、倫理観がしっかりしている印象を受けて、『著者の言うことは信用できる』と感じました。
    著者を知ったきっかけはほぼ日刊イトイ新聞。その中での糸井重里氏と池谷氏の対談は刺激的で面白いです。特に『理由後付け』の展開はなるほどと唸らせるものがあります。
    本書にも出てきた『進化の意味なんてない』、『好きなものに理由はない』といった、およそ理系の骨頂である理詰めを放棄してるところは惹かれるものがあります。確かにそうなんですよね、例えば彼女の耳が好きとか言っても、じゃあ同じ耳の形をした人が好きかといえば、そうでないときもある。ボールを打つ快感が好きで野球をやっている、でも、テニスは好きじゃない。こういうのって、本質ではないんですよね。じゃあ本質は何かと言われても、うまく説明できない。これが今の限界だと思います。未来はこういったことも説明できるようになっているんでしょうか?

    中でも一番の衝撃は、プラトンのイデアを解決したこと!脳の記憶が曖昧であるからこそ、少し様子が違っても同じ物と判断できるとは…この事実を知ったらプラトンもさぞびっくりするでしょう。そういえば思い出しましたが、西垣通『こころの情報学』によれば、人間の心はオートポイエーシスとアフォーダンスの二つで構成されていると言います。これもなるほど!と納得できるので、そのジャンルが好きな方は読んでみて下さい。

    脳自らのリスクマネジメント、それを端的に『進化しすぎた脳』だと、タイトルにもなっています。
    何かの危機に晒されたときにすぐ対応できるよう、全力では活動していないようです。何かの危機とは…例えば先天的異常(四肢が無いとか)でしょうか、他にもあると思いますが浮かびません(笑)
    さらっと書いていますが、これがまた非常にスゴくて、例えばリスクマネジメントなんて経済用語が流行したのはつい最近のことだし、いや昔からリスクマネジメントという言葉がなくても、そういう概念はあったでしょうが、それを積極的に管理しはじめたのはやはり最近のことで、そういった点では脳は人類の歴史から、千年以上も前から既に発達させているんですよね。
    しかし、医療が発達していなかった昔では、先天異常者への扱いは不遇で、最悪殺してしまうケースもあったと思います。当時は余裕が無かったので致し方ないことだったのだと思います。
    そう考えると、脳は危機管理の先取りをずっと前から行っていた、それって単純に『脳ってスゴい!』の一言に尽きますね。

    ここまで脳が解明されると、未来は現代以上に倫理が求められる時代になると危惧します。
    脳科学の進歩を止めろと言っているのではありません。脳科学に限らず、所謂科学の進歩で倫理的・道徳的問題が浮上したことは間違いありません(着床前診断、平均寿命の延長による社会・経済環境の整備、尊厳死、脳死、性転換など)。今挙げた問題だけでも未解決なのに、科学の進歩が現代人の生活に全くと言っていいほど追い付いていないことが『果たして大丈夫なのか?』と思われるんです。

    本書と、本川達雄『ゾウの時間 ネズミの時間』に共通点、『体積と表面積』の関係も面白い。本書は、限られた体積(脳)に効率を良くするためにシワを作って表面積を増やした。『ゾウの時間 ネズミの時間』では、サイズの大きさに着目して、心拍数の速遅を見い出した。(ちなみに動物の一生の心拍数は1億回で、サイズの小さい動物ほど短命)。

    色々本を読んで知識量は浅く広く持っていると自負していますが、本書では驚きの連続で興奮します。

    終章では哲学に近い議論の展開(意識とは、科学とは)があり、これこそファイヤアーベントとリンクしていて興奮を覚えました。
    『読んで良かった!』と心から思える一冊でした。

  • 脳科学者の池谷裕二氏が、高校生に講義をした内容を収録した本。

    すごくクリアに、当時の最新の研究について語っている。


    池谷氏のすごい所は、その参考文献の多さと、それをちゃんと記憶しておくところ。そして、それが非常に的確に引用される点。

    自分もこんな風にバイオメカニクスについて語ることができればなぁ・・・なんて考えてしまった。

    勉強しなければ・・・。

  • 講義形式で進む内容は、著者の思考にも触れることができ、論理的な展開は痛快だった。題名の「進化しすぎた脳」と表現されている意図は汲み取れず、本の内容と一致しきれていないように感じる。

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著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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