笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062646147

作品紹介・あらすじ

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ出張のお供に、S&Mシリーズを全巻Kindleにて購入。本シリーズを久しぶりに読みましたが、本作はシンプルでテンポの良いお話だったのかなと思います。

    主人公たちが今回立ち向かう謎は消失トリック。天才数学者から与えられた謎を解き明かそうとする中で、遺産相続をめぐり、殺人事件が起こってしまうというストーリー。

    刊行された当時からすると結構、斬新な印象を受けるトリックだったのかなとも思いますが、現代のさまざまなミステリーのことを考えると、割とトリック自体は珍しくはないように感じました。

  • S&Mシリーズ第3弾。
    天才数学者の住む館で起きた殺人事件。
    犀川助教授と萌絵のコンビが挑む。
    相変わらず彼のセンスある洒落た台詞がかっこいい。
    ふたりの恋の進展も気になりつつ…
    オリオン像が消えた謎。白骨死体の正体。
    今回の事件のトリックはわかりやすかった。
    自分でも館の図面からもしかして…と予想できたほど。
    ただ、白骨死体の正体は三人のうち誰なのか…犀川が出した結論が合っているのか分からないまま…
    「中と外はどうやって決めるの?」の問いに「君が決めるんだ」とお爺さんは答える。
    きっとこれが答えに繋がるんだろうな、と思ったものの…
    結局誰だったんだろ~

  • S&Mシリーズ第3弾!

    すごいよねぇ(*˘ー˘*).。.:*♡
    計算され尽くしていて素晴らしい。

    超安定の面白さ!!!



    嬉しいのは、星が出てくる.☆.。.:*・°
    プラネタリウムが出てくるっ⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝

    オリオン座をモチーフにした『三ツ星館』
    その庭に建つオリオン像。

    なんて素敵♡
    住みたい!!

    天才数学者博士がこの館の地下に住んでいるのですが、館を設計したのは博士の息子。
    天才一家です。

    犀川先生と萌絵が到着した夜、オリオン像の下に死体が。

    2人は事件を解いていきます。

    私のイメージだと、犀川先生は(めっちゃタバコ吸う)落合陽一です♡(^▽^;).。oO(オコラナイデネ)

    現代はタバコを吸う人が少ないので、ここまでスパスパしてると新鮮です笑

    犀川先生はタバコを吸ってる時に本領を発揮します。
    心拍数の増加がいいのかな。

    萌絵との関係も見どころのひとつ。

    私の想像では、萌絵は可愛いキャラなのですが、先生とのやり取りでたまに色気を感じます。
    お洒落だなぁと思ったシーンもしばしば。

    ーーーーー

    「いいものもってるの」萌絵はそう言って、ジャンパのポケットに手を突っ込み、煙草を取り出した。そして、素早く一本を口にくわえて火をつける。犀川は呆気にとられて何も言えなかった。
    「どうぞ、先生」
    彼女は自分で一口吸い込んだあと、煙草を犀川の口に運んだ。
    それは、犀川が今一番欲しかったものだった。(本文より)

    (ここで次の節に切り替わります)

    ーーーーー

    くぅ〜( *˙˙*)たまらんですね。
    ピンチを潜り抜けた後の萌絵の行動なんですが、犀川先生が押され気味なの、すごくいい♡

    メインの謎が本格的なのはもちろんなのですが、先生や博士の考える独自の解釈が面白い。

    ーーーーー

    「自分以外の存在に何かの影響を及ぼすとしたら、それは思考によってであり、そして、自分の存在を確認する作業によってだ。その思考運動が、外界を定義し、同時に自らの存在を認識させる。それが、君たちの言葉でいう社会であり、社会を動かしているものの本質だ。たとえば、人間は呼吸しなければ生きられないが、呼吸するものがすべて人間の歴史に関るわけではない。呼吸することは、歴史とは無関係だ。呼吸をしていることが、生きていることと同義ではないという意味だ。しかし、毎日何をしているのか、と問われれば、 呼吸をしていると答えるより、他にない」(本文より)

    ーーーーー

    萌絵が博士に「毎日何をなさっていらっしゃるのですか?」との質問への回答だ。

    面白い。
    思わず付箋貼りましたよ(*´艸`)
    はい。毎日呼吸してます。
    天才に迂闊に質問できないですね…笑

    私は、どんな小説を読んでいても、こんなちょっとしたやりとりが好きな部分だったりする。
    多ければ多いほど感情移入の度合いが強かったりする。
    この作品ではないですが「この情報、いる〜?」っていうような遊びごごろがある小説も大好き(≧∀≦)

    とにかく、細かく挙げるときりがないほどの魅力が沢山詰まったシリーズである。

    森博嗣作品、まだ読破してない事を嬉しく思う‪(*∩´꒳`∩*)

    これからも少しずつ読んで、死ぬまでには読破するぞ!!(このセリフ、死亡フラグじゃありませんように…( ≖ᴗ≖​))ふふ…

    おもしろいので、超おすすめです!!❀.(*´▽`*)❀.




    • Kさん
      Kaniさんこんばんは。

      Kaniさんのご感想に大共感すぎて、勢いでコメント書いてしまいました!

      私もS&Mシリーズ今読んでいます。
      小...
      Kaniさんこんばんは。

      Kaniさんのご感想に大共感すぎて、勢いでコメント書いてしまいました!

      私もS&Mシリーズ今読んでいます。
      小さなパズルピースが繊細に計算されて配置されている感じがたまりませんね!今後の萌絵ちゃんと先生の関係も気になるところです。

      小説のちょっとしたやりとりが好き……すごく分かります!特にS&Mシリーズは、細かいお気に入りポイントが多すぎて、ブクログのフレーズ機能で記録する手が止まりません笑

      Kaniさんの続きのご感想も楽しみにしております!
      2023/03/20
    • Kaniさん
      Kさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      共感…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
      ありがとうございます!
      めちゃく...
      Kさん、コメントありがとうございます❀.(*´▽`*)❀.

      共感…⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
      ありがとうございます!
      めちゃくちゃ嬉しいです(*´▽`*)

      このシリーズ、面白いですよね〜!
      ミステリも面白いし、先生と萌絵も考え方が面白いし。
      計算され尽くしていて、それらが全て回収される爽快感。
      素晴らしいです。・:+°
      読んだ後「好き!」って実感します笑

      ゆっくり味わいながら読みたいですね!
      共に楽しみましょうヽ(´▽`)ノ♡
      2023/03/21
  • 僕のライフワークでもあるこのS&Mシリーズをはじめとする森博嗣先生の各シリーズに登場する謎の天才女性科学者『真賀田四季(シキ・マガタ)』を追うというチャレンジ・シリーズ。まだS&Mシリーズの3作品目ですが、本書も理系ミステリーの魅力バクハツでした。本書には真賀田博士は出てこないけど・・・。

    そう言えば、本書から小説の書きぶりが今の森博嗣先生の書きぶりになって読みやすくなっていますね。つまり、文章で改行が多用されたり、会話シーンが多くなっていたり、状況説明や環境説明が少なくなっているということです。森博嗣先生の処女作でS&Mシリーズの記念すべき第1作『すべてがFになる』や前作の『冷たい密室と博士たち』はページにびっしり字が書いてあって読むのに時間がかかりましたが、本作はサクサク読むことができます。

    本書のあらすじですが・・・
    希代の数学者である天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティーに天王寺博士の孫のつてで招待された本シリーズの主人公、犀川創平助教授と大学生の西之園萌絵。パーティーの席上、博士は庭に設置されている大きなオリオン像を消してみせる。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、パーティーに招待されていた天王寺博士の家族二人の遺体が発見される・・・
    という感じです。

    本書のオリオン像のトリックについては序盤の方で大体分かってしまい、ちょっと犀川先生が気づくの遅いかなと思いましたが、やはり、犀川先生が自分の空間の中に入って、完全に事件の謎を解き明かすところは格好いいです。
    そして犀川先生が犯人を名指しした後で
      「動機?そんなものは知らない」
    と言い放ち、関係者を唖然とさせるところが、このS&M理系ミステリーシリーズの醍醐味ですよね。
    つまり『理系ミステリー』とは「ハウダニット(どうやったか?)」「フーダニット(誰がやったか?)」だけを追求し、ミステリー解明の三大要素の一つである「ホワイダニット(なぜやったか?)」を完全に無視するところにその本質があるのです(←適当)。

    また本書での読みどころは、謎解きもさることながら、やはり、犀川先生と西之園萌絵との恋の行方でしょう。
    今回は以前にも増して萌絵ちゃんの犀川先生に対する『好き好き攻撃』が激しい(笑)。
    犀川先生も萌絵の気持ちを正確に理解しているところはちょっと驚き(笑)ですが、まあ、13歳も年下で小学生の頃から知っている女の子が自分に憧れてる気持ちって、解らんでもないですね。
    ただ、萌絵ちゃんももう21歳だしね。いつまでも子供扱いするのもかわいそうな気もします。
    さりとて34歳にもなる助教授が、二十歳そこそこの学生に手を出したなんていうと世間体も悪いしねぇ。犀川先生も悩みどころです(笑)。

    森博嗣先生の作品には必ず素晴らしい名言がちりばめられていますが、今回も犀川先生、格好いいことをずばっと言ってくれています。
    『教育~教育というものが概念として存在するとすれば~』についてです。
      『人間は自分の生き様をみせること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。
      一般に使われている教育という言葉は、ありもしない幻想でしかない。』
    うん。格好いいですね。
    しかも、これが実際、教育者(犀川先生も作者の森博嗣先生も)の言葉なのですから(笑)。

    という訳で、話は戻って、ラストの萌絵ちゃんからの犀川先生への謎解きには、困ったもんです。
    YESと答えてもNoと答えても、どちらにしても『萌絵得』ですもの(笑)。
    まあ、僕だったらそうですね~。
    「おでこにチュウ」くらいで勘弁しておくか。って、クラリスとルパンのラストシーンかっていうのっ←

  • シリーズ3作目。「定義するものが存在する」というテーマに沿ったトリックと犯人像に鳥肌立ちまくり。ラストの展開には呆然としました。余韻がすごすぎ。私たちが見ていたのは、本当に博士自身だったのだろうか…。公園にいたのが本物の博士…??

     「君が決めるんだ」

    このシリーズは、本当に「天才」という存在の書き方が上手いですね。真賀田四季ほどとは言わないですが、天王寺博士が醸し出す「理解できない領域にいる天才像」にゾクゾクしっぱなしでした。今後の作品でいったいどんな魅力的な天才が登場するのか、楽しみに読んでいきたいと思います。


  • S&Mシリーズ3作目。
    相変わらず面白い。
    何度読んでも面白い。

    今作は1作目のように天才が出てくる。
    天才数学者との会話がまた知的で楽しい。

    共通しているのは
    1作目の天才真賀田博士も
    今作の天才天王寺博士も
    会話の無駄を徹底的に省く。
    天王寺博士の「不定だ」発言連発が爽快。

    今作はS&Mの最後のやりとりも良い。
    完全にラブストーリー。
    事件のトリックより何より
    萌絵からの難題に気づいて、
    一番真剣に取り組む犀川がまた好きになった。

    でも実は犀川助教授のクリスマスに対する考え方が
    一番印象的。
    私の中で犀川と言ったら、これというくらい。

    「十二月二十五日だから、1、2、2、5の数を
    全部足すとちょうど10になる、
    というくらいの印象しかない。」
    まず足してみようと思わない…
    と、初めて読んだときの衝撃が忘れられない。

  • 天才数学者が住む館で起こった殺人事件。
    数学者の出題する問題と、殺人現場の謎を犀川先生が解決する。
    今回の事件は犀川先生も結構積極的に動いていたし、萌絵はより大胆になっていってて面白かった。

    消失トリックは簡単に思ったけれど、岡目八目かもなぁ。
    もしその場にいてトリックを見せられたらきっと分からなかったんじゃないかなとも思う。
    犯人も見当がつきやすい。
    それでもやっぱり事件の謎を詳らかにしていく犀川先生は格好いいし面白い!
    萌絵との仲もちょっとずつ進展してて、次ぎの巻も楽しみ。

  • '23年3月4日、Amazon audibleで、聴き終えました。S&Mシリーズ、三作目。以前も、読んでるはずだけど…内容はあまり記憶に無かったです。

    でも、像消失のトリックは、すぐにわかりました。なので、ウッスラとは、記憶があったのかな?
    まあ、面白かったけど…作者の碩学、衒学ぶりが、ちょっと鼻についたかな…各章のタイトルが、「格好つけすぎ!」と感じました。僕の、やっかみ?

    でも…知的(?)好奇心を刺激する、面白い小説だと思いました。

  • 数学的な言葉たちが、事件のキーワードとしても人生・人間関係のキーワードとしても光る、犀川&萌絵シリーズ第3作!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    天才数学者・天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館。
    そこで開かれるパーティーに参加することになった犀川助教授とお嬢様大学生・萌絵。

    その席で天王寺博士は、館の庭にあるオリオン像を消してみせる。

    そして、再び出現したオリオン像の下には、死体が転がっていた…

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    前作にあたるシリーズ第2作「冷たい密室と博士たち」は、ゆったりした話運びで、衝撃的なエピソードも少なめのお話だったため、正直なところ、失速気味のようにもうつりました。

    ところが、第3作「笑わない数学者」は、最初から最後までコンスタントに情報がもたらされたため、程よいスピード感がありました。
    またそれらの情報が、さらに読み手の推理をかきたててくれ、とても面白かったです。
    結局のところ、わたしが推理した内容はことごとく外れ(苦笑)、最後に「こ、これは当たってるだろう?!」と思った渾身の推理も、読み手に解釈を委ねられた形で物語は幕を閉じました。

    「定義があれば、存在する」(460ページ)
    「ねえ、どっちが中なの?」(中略)「君が決めるんだ」(479ページ)

    こうした数学的なセリフが、事件のからくりやラストシーンと絶妙に呼応していて、非常に気持ちよく読みきれました。
    最後に残った謎は、読み手の想像に任されたものの、それはけして後味の悪い任され方ではありませんでした。
    「定義すれば、存在する」という物語全体を貫くキーワードが、物語だけでなく人生を別の角度から考えるためのキーワードにも見え、おもしろい言葉に出会えたなと思いました。


    「これは最高に難問だ。
    (解けたことにしようか…、とけなかったかことにしようか…)」(474ページ)

    これだけ読むとなんてことはない文章かもしれませんが、この言葉が書かれているエピソードを読むと、犀川と萌絵の関係性をあらわす上で、この学問的な言葉がニクイ演出となっているのがわかります。
    数学的な言葉たちが、事件にも読み手の人生にも、こんなにも効いてくるなんて…驚きを通りこして悔しくなってしまうくらい、おもしろい物語でした。

  • 再読。

    今となっては、結構散見されるトリックたけれど初めて読んだときは思いもつかなかったことを思い出す。
    ただ、安定の面白さで飽きることなく読了。
    複雑な人間関係は事をややこしくする。人に言えない秘密は多く抱えるものではない。

  • 1999年作品
    トリックと犯人はわかりやすいかもしれない。(Mr.マリックの豪華トリック)
    存在しない人を存在されるようにするのは難しい。
    銃刀法で散弾銃は毎年、本人と散弾銃・球数・保管場所を警察が確認するので、10年前には没収されている。持っていなくなったら指名手配だしな。
    (ふと、親父の散弾銃で思い出した。いちゃもんをつけるつもりはないが)

    この物語の魅力的なところは犀川先生と萌絵のやりとりが笑える。
    モテない犀川先生34歳の今後が楽しみです。

  • 森ミステリィ第3弾!
    これまで読んできた中で1番好きかも……。

    偉大な数学者、天王寺博士の住む「三ツ星館」で起こる、"庭の大きなオリオン像が消える謎"と"殺人事件"を、犀川教授と萌絵の師弟コンビが解き明かしていくお話。

    星座×建築×ミステリー×心理……はい、私の好きなものがつまりにつまってました。笑

    今回は"問題に対する向き合い方"を学ばせて貰ったような気がします。
    ・問題には無意味なことも、些細だけど無視できないことも紛れこんでいる
    ・自由な発想のためには常識を捨て去る必要がある
    ・何をどう定義するかは自分で決めること

    萌絵ちゃんの恋(?)の駆け引きも面白かったです!頭の回転が早いと、計算だけじゃなくて、相手の行動の先の先のまで読んで、仕掛けられるようになるのかな笑しかも、それをちゃんと解釈して内心タジタジ(?)になりながらも大人な対応してる犀川先生も良い笑

    ……あれ?
    でも、地下室にいたのは誰だったんだろう…
    再読したくなる本でした

  • ミステリなんだけどもトリックとか犯人とかより二人の今後が気になって仕方がないから続きをまだまだ読み勧めます。

  • 結構ベタな館モノに見える。
    地下室に引き篭もる天才数学者、消えた建築家、12年前の事件、内と外の連続密室。複雑に入り組んだ家系図。
    オリオン像が消えるトリックについては、ミステリ読みならば、すぐ気づいてしまう。中学生の初読時の私も気づき、一見すると凡作に見える。
    ただ、天才である犀川が、こんな単純な謎に気付かないのは何故か?作者の森氏が本作について、インタビューで「逆トリック」と言っていたのは何故か?地下室にいたのは本当は誰なのか?
    改めて読むと、あえて答えを開示していない、アンチミステリのような作であったと気づく。考察も多数なされているが、このシリーズやはりめちゃくちゃ面白い。

  • ■帯
    消えたオリオン像、2つの殺人。
    部屋の中にいたはずの女性が庭で死んでいた。
    「この謎が解けるか?」
    ーー伝説の数学者が仕掛けた驚愕のトリック。

    ■感想、レビュー
    犀川先生、萌絵のS&Mシリーズ第3作。
    殺人事件の舞台になる「三ツ星館」の見取り図がわかりやすく、読み進めやすかったです。
    金田一少年の事件簿のイメージがなぜか消えませんでした。苦笑

    三ツ星館の主である、天才数学者 天王寺翔蔵。
    彼の身内が集まるパーティに招かれた、犀川と萌絵。
    館のシンボルである、庭のオリオン像が消えたとき、
    殺人事件が起こる。

    これも前作同様、萌絵が危険な目にあう場面があり、とても心臓に悪かったです。苦笑
    犀川先生、早く助けて~と思ってしまいました。

    狭い空間で、限られた登場人物たちから
    犯人とトリックを導き出す。

    事実が明らかになり、
    人間の業とか因縁のようなものが浮かび上がります。

    ただ、あくまでトリック解明が大きな部分を割くため、感情的なものをゆさぶってくる訳ではないから、
    ミステリーを純粋に楽しむことができます。
    なので、どんなに長くても読んでて疲れません。笑

  • シリーズ3作目
    まず目次見て、文字量にびっくりして笑った。

    トリックについては、こういうことかな~?となんとなく想像できたけど、
    犯人や詳しい部分まで考える暇もないほど、スイスイ読み進めることができた。

    読んでる途中で挫折しちゃったり、ということがよくある私だけど、このシリーズはどんどん読んでしまう。ほんとにおもしろいなー。
    世界観も、登場人物のやり取りも、読後の余韻も、なんだか心地いい。

    犀川先生が周りも見えなくなるほど自分の世界に入って、謎がとける場面が毎回ドキドキして好き。

  •  S&Mシリーズ第3作目。天才数学者、天才建築家、天才作家がいるなんかすごい一族内で起こるいざこざに巻き込まれた話。
     トリックに関しては、最初の方に館の図が出てきた時点で察していました。昔見たドラマに同じようなトリックがあったので、、、。
     一方で終わり方はいい感じでした。3人の天才の内生者が2人、死者が1人で誰が誰なのかは不定であるという読者に委ねられる形でした。
     最後に老人と話していた少女は西之園萌絵かなと思いました。中盤で唐突に出てきた、萌絵が塾に通わさせられた話がこの塾に向かう少女に繋がっていると感じたからです。
     徐々に周りから固められていく犀川助教授と西之園萌絵の関係に注目していきたいです。

  • 犀川助教授と萌絵がもう少し早く気づくのでは?と思ったトリックだった為この評価に

    今作の気に入ったセリフは
    素朴と単純って、どこが違うのかしら?
    現象としては同じだ。まぁ、違いといえば、観察者の先入観かな

  • 既にどっぷりとハマっているS&Mシリーズ第三作。これもめちゃくちゃ面白い。

    相変わらず犀川たちのかけ合いが楽しいのはもちろんなのだが、トリックに関しては比較的易しい。平面図を見れば回転するのは予想がつくし、そこからオリオン座の謎も解ける。
    睡眠薬、シーツ、壺などの伏線も巧い。
    しかし、その回転するトリックが、「地球の周りを太陽が回っていると思い込ませる」人類史上最大のトリック、つまり神のトリックと同じ構図のものだというには驚かされた。

    ...と、読後僕が感じたのはこの辺までなのだが、ネタバレサイトなどを見てもっと深い読みができることを教えられた。
    探偵役の犀川には分からないが、読者にはタイトルをヒントにして老人の正体が分かる。探偵にはなかなか分からないが、読者は用意された平面図をヒントにしてトリックを簡単に見破ることができる。
    まさに、"逆"になっているのである。
    どちらが中で、どちらが外?
    それは、僕が決めることだ。

  • S&Mシリーズ3作目、最初の方でオリオン像の謎は分かったけど、ダイナミックなやり方はなかなか面白い。星に、数学に、と、もともと好きな分野だけに物語に引き込まれて、一気に読めた。ポケベルとか、時代の古さを感じるけど、伏線は回収されているし、すべての事象にきちんと説明がなされている。ストーリーに違和感ないのが、この作者の凄さ。西之園さんと先生のやりとりがやきもきする、これも魅力の一つ。次の作品も楽しみ。

  • 個人的には『すべてがFになる』並みに精巧な、少し単純で飲み込みやすいトリックだった。
    そして天才、天王寺翔蔵博士も天才ゆえにミステリアスな雰囲気を纏っていた。今回は数学とあわせて宇宙の話も絡ませて話が進んで行くので退屈せず、面白かった。
    殺人の犯行の動機は理解し難い感じだった。
    犀川先生と萌絵の恋の行方はどうなるのか、シリーズ読み進めていくごとに少しづつ進んでいるのかな。

  • 他の方も書いていたけど、犀川と萌絵の関係性の行方が気になるためにシリーズ追ってしまっている感がある。。今回も、萌絵の言動に乱される犀川先生がよかった。アクションシーンも良い!今回も天才数学者が登場したけど、子供への愛が感じられたり、意外と凡人に近い感覚も持っているんだなぁという印象でした。結局あの博士は誰だったのだろう...

  • ミステリーのストーリーが進む中での天才数学者と犀川の会話がとても高尚
    建物の外と内が逆、円の中が外になる
    「定義」とは何か

    犀川と西之園の関係がとてもいい

    森博嗣先生、流石です

  • シリーズ3作目、ミステリとしての出来は言わずもがな、犀川と萌絵の掛け合いが非常に心地よい。

    今回トリックの方は予想できた感はあるがそれでいて読ませる進行が素晴らしいと感じた。

  • さすがにトリックはすぐに分かったが、世界観はシリーズの中で一番自分好みだった。まだ3冊目だけど!

  • 鈴木彰にされた白骨遺体=天王寺翔蔵(笑わない数学者)
    天王寺翔蔵=天王寺宗太郎(地下でずっと哲学したかった)
    公園の変なおじさん=片山基生(柵から解放されて“自由”になりたかった)
    と想像。でも“MATHEMATICAL GOODBYE”って英題からして、特定できる答えはないんだろうな。最後の犀川先生と天王寺博士(とされている人)の会話は、自分と同じ実力を持つ人に会いたがっていたブラックジャックを連想した。

  • 面白い。読み終わっていろんな人の考察を見ると興味深かった。

  • 10年ぶりに再読。
    前に読んだ時も思ったけど、なぜ『笑わない数学者』というタイトルなんだろう。と今回も思った。なんとなく、森さんの考える「数学者」が詰まってる感じ。

    ミステリィとしては、犯人がすぐわかるものだけど、問題は数学。ページめくる手を止めて考えてしまう。

    あと定義について。
    昔、駅のアナウンスで「白線の内側にお下がりください」というのを聞いて、線の内側ってどっちだ、と思ったことを思い出した。常識的な内側はわかるけど、そう決まってるわけじゃないよねって。右側のドアが開きます、のアナウンスも不思議に感じたな、そう言えば。誰が進行方向向かって右って決めたんだろう。

  • 偉大な数学者、天王寺翔蔵の住む「三ツ星館」で起こる殺人。
    3作目にして、漸く犀川先生と萌絵ちゃんコンビにも随分慣れてきた。

    3作とも、かなり早い段階で犯人の目星はつく。
    オリオン像の謎も割と早い段階で気が付くのだが、数字4つを使って24を作るとか・・・そっちの方はからきし駄目な私・・・。
    オリオン像の謎が解けているのに、律子殺人の方の謎は全然解けていなくて、犀川先生の解説が終わるまで全く分かっていなかった。

    こういうミステリは大好きで、気が付くと一日没頭して読んでしまった。

    しかし、犀川先生の理性は凄いなぁ・・・(^^A
    この二人の続きが気になって仕方ない。

  • S&Mシリーズ第3作
    3作内で一番シチュエーションが好み。
    "天才数学者"もめちゃくちゃ好み。
    犀川先生と天王寺翔蔵の問答が心地よい。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

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