狐罠 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062648547

感想・レビュー・書評

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  • 贋作を売りつけられた仕返しに、贋作を売りつけるという贋作バトルって趣向が面白い。X線蛍光分析などの科学的な分析に引っかからないような贋作制作の工夫などは興味深かった。古美術という堅苦しい世界を描いていはいるが、キャラはデフォルメが効いてるし気軽に読めた。またミステリーの部分である殺人事件の解明も古美術に根ざしたものでよかった。

  • 「旗師」宇佐見陶子シリーズの1作目です。
    興味深い世界を堪能しました。

    なかなか素人には敷居の高い骨董の世界。
    専門的な説明もあって硬くなってもよさそうなのにそうならない。
    決して軽いテンポの文章ではないのに読み易い。
    何故か?
    たぶんエンターテイメント性が高いから。

    主人公陶子とカメラマン硝子の壊れ物コンビ(陶器と硝子ですね)。
    (最後まで本名が出なかった)プロフェッサーDに、
    練馬署の犬猿コンビ(ブルドッグと猿顔だから)。
    冬狐堂(陶子の屋号)と銀座の狸こと橘。
    単語を見ているだけで楽しい。
    各章のタイトルもいいですね。
    「罠のなかの狐」「仕掛ける狐」等々興味もイメージも膨らみます。

    それになんたって登場人物達ですよ。
    謎めいた大英博物館の元研究員はもちろん、
    国立博物館の主任研究員に妖怪じみた贋作師、
    爽やか笑顔の保険会社調査員やら悪評高い骨董商。
    大学教授の元夫や客師、銘木屋、更には刑事まで。
    業界を取り巻くいろんな人種が入り乱れて楽しいったらありません。

    狐と狸の化かし合いもとい騙し合いに殺人事件まで絡んできて。
    そのスピード感でページをめくる手が止まりませんでした。
    ハラハラドキドキはもちろん、どんでん返しもちゃんと用意されてます。
    読後感は「あー楽しかった」です。

  • 一気に読める。骨董業界について興味深く読める。展開ややや強引。

  • 初めて読んだ北森作品。
    ぐいぐい引き込まれておもしろかったー。

  • 「なんでも鑑定団」を好きでよく見ています。
    骨董品、確かにいい物はいいですね。
    骨董市でお手軽な値段で買える陶器は買った事あります。
    図書館で偶然手にしたこの本、
    骨董、鑑定、贋作の言葉に魅かれて読みました。
    やはり、素人が簡単に骨董に手は出せないと思いました。
    まあ、それ程の骨董品には手が出ませんが・・・

  • 古美術ミステリーと聞いて、テレビの2時間サスペンスみたいなトンデモ系かと思いきや、本格的に読ませる話で、引き込まれた。

    何より、骨董に関する記述が専門的で細かいのに、知識の全くない自分でも面白く読める。蒔絵の文箱の文様の描写など、見たことがあるかのように鮮やかに頭に浮かぶ。

    ただ、知識的なものより、登場人物それぞれの個性が際立っているのことが、この話の魅力をより増している。
    主人公の冷静でいながら内に秘めた熱や、敵となる橘薫堂の品の良さをとりつくろった中に垣間見える下劣さなど、実際にそこにいる人のよう。

    一点、硝子さんの口調は疑問。筆者が男性か女性か知らずに読み始め、途中も「どっちなんだろう?」と疑問が解けずにいたが、陶子と硝子の会話で、男性だなと。三十女言い過ぎだと思う。

  • 骨董の世界って深い!そして、美術品の価値って危うい。
    フィクションとは思いつつ、食事のときに使える焼き物好き程度でいよう。。。と誓う。
    骨董の世界という普段なじみのない世界の説明のためか、文章がくどくどしく感じられて入り込むのにはやや時間が必要。でも慣れるといっきに加速する。
    殺人事件よりも贋作を巡る駆け引きのスリルが中心で最後の最後までドキドキの連続。
    途中の陶子の危機はルパンの813とかぶった。
    うーん、やられた。。。とやはり思う読後。
    このところ、高校生の恋愛話を読んでいて、ふわふわで小さな女の子が(でも胸はデカイ)泣いてるだけなのに、なんでかハッピーエンド。なんとなく鬱々としていただけに、陶子に硝子がものすごくかっこいい。頼もしい。タフな二人に惚れる。
    「三十女は、これくらいじゃめげないって。」

  • 古美術のうんちくは楽しく、「目利き殺し」を挑むという設定は目新しい。ただプロットは少し弱かったか。

  • 旗師・冬狐堂シリーズ第一弾。
    目利き殺しを仕掛けられた陶子が、仕掛け返そうと決意するが、
    そこには別の思惑が入り込んでいて、骨董商や贋作者、
    大学教授から保険会社の調査員に博物館の研究員までが
    入り乱れての壮大な騙し合いに発展する。
    「なんて世界なんだ、まったく!」と陶子がボヤクほどにスゴイ。
    どこまでも追いかけてくる緊張感。
    仕掛けられた『罠』を楽しんでください。

  •  古美術ミステリーの大傑作です。

     詐欺なら騙すほうが一方的に悪いが、こと古美術に関しては鑑識眼がない騙されるほうが悪い。
     店舗を持たない骨董商(旗師)の冬狐堂・宇佐美陶子は、まんまと同業の骨董商に騙され贋物をつかまされるが、贋物をつかまされたという噂がたてば自らの信用に関わるので、訴えることもできない。
     ならば自らの手で意趣返しするしかない。これが狐が仕掛けた罠だ。
     
     相手は老舗の老親父でさながら古狸なので、狐と狸の化かし合いです。
     
     古美術に関する蘊蓄満載で、オススメのミステリーは聞かれたら真っ先にこれをすすめて、北森ファンを増やしています。
     これを面白くなかったと言った友人はいまのところひとりもいません。
     絶対オススメ!

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著者プロフィール

1961年山口県生まれ。駒澤大学文学部歴史学科卒業。’95 年『狂乱廿四孝』で第6回鮎川 哲也賞を受賞しデビュー。’99 年『花の下にて春死なむ』(本書)で第 52 回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門を受賞した。他の著書に、本書と『花の下にて春死なむ』『桜宵』『螢坂』の〈香菜里屋〉シリーズ、骨董を舞台にした〈旗師・冬狐堂〉シリーズ 、民俗学をテーマとした〈蓮丈那智フィールドファイル〉シリーズなど多数。2010 年 1月逝去。

「2021年 『香菜里屋を知っていますか 香菜里屋シリーズ4〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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