国境 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.14
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本棚登録 : 609
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (848ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062738606

感想・レビュー・書評

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  • この前に読んだ本と内容も雰囲気もあまりに違って・・しかもあちらは自分の力不足故に評価が3になってしまい、こちらは娯楽性強くて5って笑。

    まあ、それでも面白いものは面白い。とても楽しめて大満足だったのでやはり☆は5です。

    「疫病神」ですっかり桑原と二宮のファンになり、シリーズの次のこの本を見つけた時、「えー、外国を舞台に?しかも北朝鮮?大阪でいいじゃなーい」といまいち乗り気になれなかったが・・ごめんなさい。撤回します。めちゃめちゃ面白かった!

    しかも、北朝鮮についてしっかり調査され非常にリアル(と思える)に現地の様子や国の様子がしっかり描かれており、この点も読み応え十分。

    そして、全く期待を裏切らない台詞の応酬。しびれました、今回も。ハラハラドキドキもした。ただ桑原が死んだとは一瞬も思いませんでしたけどね笑。相変わらず周囲のキャラクターも良い。ときどき噴き出したり、最後のシーンは思わずこちらもジーンとしたり。

    間違いなく娯楽本としては最高。シリーズものじゃなかったら「あー、読み終わっちゃった・・・」と読後とても悲しくなるけど、シリーズの次を読む期待を持たせてくれるのが嬉しい。

  • いやあ、話はむっちゃおもろいんやけど、文庫本で830ページを超えるのは勘弁して欲しい。上下どころか3券でもいいんじゃねえ???
    しかし、北朝鮮、ひどすぎるぜ、独裁国家・・・

  • 2017年3月20日
    831ページの長編。

    「疫病神」に続く2作目。
    桑原と二宮が北朝鮮に飛ぶところから物語は始まる。

    趙と名乗る詐欺師が関西の組筋から金を騙し取り、二宮も紹介した建設会社の重機の代金を持ち逃げされ、建設会社からこれまた組筋に話がいき、二宮が趙を探すことになり利害が一致した二人が視察団に紛れて平壌に飛ぶ。

    平壌ではすんでのところで趙に逃げられ、一度帰国、羅津に逃げた趙を追い、中国から中朝国境をめざし、北朝鮮に入る。

    北朝鮮では目を疑う惨状に日本の論理をぶつける桑原だが、通用するわけでもなく、平壌でゴロを巻いた黄の活躍と、ガイドの李の機転を効かせた働きもあって、趙を捉える。

    が、取られた金は戻らず、桑原、二宮、李とも命からがら脱北に成功する。

    趙は単なる駒であり、黒幕は日本にいることがわかったため、桑原と二宮は黒幕をつかむべく、大阪、奈良、神戸を走りまくる。

    疫病神では産廃業を舞台に、ヤクザのシノギを掠め取る話だったが、本作は北朝鮮に舞台を移し、日本の常識が通じないところで桑原のヤクザ風がところどころ発揮されるところに溜飲が下がる。

    日本に帰国後も詐欺師の黒幕をつかむべく、走り回る二人だが、黒幕が朧げにわかってくるに従って、群がる奴らも増え、二人の行く手を阻む。

    一体、誰が黒幕なのか?二人が手にできる金はどうなるのか?二宮は何度ピンチに陥るのか?と長編にもかかわらず、ページがどんどん進んでいく。

    一匹狼とはいえ、どこか人間味があり優しい桑原と、頼りなげだが機転がきくが、うまくいかない二宮のコンビが面白い。

    本作では北朝鮮の生活事情優しい地理事情の詳細に記述されていたが、参考文献の多さに驚き、また著者のこだわりに脱帽、感心するものである。

  • 講談社は京極夏彦で慣れているのだろうとはいえ、文庫本で 800ページ、3.5cm ほどの厚さはビビる。しかも、これだけのページ数でありながら、大半は北朝鮮に逃げた詐欺師をヤクザが追い詰めるというだけの話で、まったく飽きさせないのだから、ますますビビる。物語半ばからはほとんど一気読みで午前3時までかかって読了。

    活動が極めて限定される北朝鮮を舞台にした、細い糸をたぐるような追跡劇は、単なるエンターテイメント小説の枠に収まらず、北朝鮮平壌や経済特区の内情を克明に描いてルポタージュ的な面白さも併せ持つ。

  • 疫病神の続編。結構長かった。北朝鮮の描写は本当は過酷なんだろうけど、それをガイドのお爺さんの魅力で、悲惨すぎるものになって居ないのが良かった。バランスのとれた作品。

  • 衝撃だった。ここまで悲惨な状況だとは思ってもみなかった。それでもなお、この国は“地上の楽園”なのか。建設コンサルタント業の二宮と暴力団幹部・桑原の「疫病神コンビ」が、詐欺師を追って潜入した国・北朝鮮で目にしたものは、まるで想像を絶する世界だった―。読み出したら止まらないサスペンス超大作。

    疫病神シリーズ第二弾。逃げた詐欺師の一人を追って北朝鮮に乗り込む。バトルありカーチェイスあり、ハラハラドキドキでアクション映画顔負けのエンターテイメント小説です。シリーズ第一作目の『疫病神』よりも、キャラがさらに生き生きしていて、コミカルな仕上がりになっていると感じました。結末も一発逆転……と思いきや、そこは『疫病神』なんですね。いやー面白かったー。

  • おもしろい。エッセイもおもしろいけど。桑原さんが最高。二宮さんも素敵。

  • <驚>
    本文庫の解説を今は亡き藤原伊織さんが書いているのを知って驚愕。そして読んで面白く読み終わったら涙した。『テロリストのパラソル』の藤原伊織。いつ亡くなったんだっけ。あまりに早く若かったよなぁ,とまた涙。一体どの本の感想書いてんだ!とは思うが僕の感想はいつもこんなのだから今回だってこれでいいのである。イオリン,あらためて冥福をお祈りします。

    そして今回黒川博行の諸々作品を調べたせいで僕にとっては誠に目からうろこのエライ事に気づいた。なぁんと黒川博行はチョッキ(直木)賞を三回も獲っている。僕はチョッキ賞は塵芥川賞と同じで一人の作家には一回しかとらせないものだと思っていた。いやはやまぢ驚いた。

    (あ,誠に余談なのですが僕はこの黒川博行の「疫病神シリーズ」を読み始めてまだ2週間足らずの初級者ですが既に全編読んだ様な先輩諸氏に質問です。このシリーズは初出はどこかの雑誌に「連載」されたものなのでしょうか。それとも書き下ろしですか?)

  • 厄介者第2弾

    北朝鮮の実情が緊迫感を持って描かれている。
    我々の知らないうちに北朝鮮の経済を牛耳られているのかもしれない。

  • 最初はちょっと冗長な感じがしたのですが、2度目の渡航あたりから一気に引き込まれページをめくるのがもどかしいほどぐいぐいとラストまで読み進めました。いくら闇世界のお話でもありえない、滅茶苦茶だなあ、と苦笑しながらなのですがこのページ数をラストまで一気に読ませるリーダビリティはさすがです。本当に現地で取材をされていたと読後知り、きっと現在も現地はこの詳しい描写と大差がないのだろうと悲しくなりました。二人の微妙な距離感と信頼度が何とも言えず好きです。ラスト1頁の描写で貰った優しい読後感にとても嬉しくなりました。

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著者プロフィール

黒川博行
1949年、愛媛県生まれ。京都市立芸術大学彫刻科卒業後、会社員、府立高校の美術教師として勤務するが、83年「二度のお別れ」でサントリミステリー大賞佳作を受賞し、翌年、同作でデビュー。86年「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞、96年『カウント・プラン』で推理作家協会賞を、2014年『破門』で直木賞、20年ミステリー文学大賞を受賞した。

「2022年 『連鎖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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