13階段 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.07
  • (1961)
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  • (23)
本棚登録 : 14284
感想 : 1605
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748384

感想・レビュー・書評

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  • 終盤の展開が圧倒的でした。
    『そういうことか』とつい唸ってしまった。

  • かなり重たいテーマでしたが、被告人側、検察側、刑務官側、死刑囚側、あらゆる立場の心情が伝わって来てスラスラと読み進める事が出来ました。死刑制度に対する考え方も改めて考えさせられる物語でした。
    三上の過去も最後は分かってすっきり。最後まで二転三転する展開で読み終えた時は深いため息が出ました。本当に良い作品を読むと胸が詰まるような深い溜息が出ます。また何年か後に再読したい。

    13階段のタイトルの意味合いもなるほどねと納得。それにしてもやっぱり13という数字は忌み数なのね。

  • 喧嘩で人を殺した仮釈放中の青年が刑務官に誘われて始めた仕事は、記憶を失った死刑囚の冤罪を晴らすことだった。期限は3ヶ月、報酬は1000万円。
    テーマがかなり重いものなのに一気に読めた。
    冤罪を晴らして欲しいと依頼した人がまさかのあの人だったとは!
    日本の死刑制度を考えさせる話だった。

  • 久々に一気読みしてしまう面白さだった。
    13階段というと怪談話を連想したが、死刑執行までの手順が13個ある、というのが一番の理由のようだ。忘れた頃にまた読みたい。



    「裁判官が死刑判決を避ける一番の理由は、被告人が改悛の情を見せたかどうかなんだ」p84

    刑罰は何のためにあるか? 応報刑思想と目的刑思想とがあり、その両者を止揚して現在の刑罰体系の基礎が作られた。カントは“絶対応報こそ正義である”と語った。
    参照メモ/http://blogyang1954.blog.fc2.com/blog-entry-2207.html

  • 『13階段』高野和明氏
    緊張感 ★★★★★(5)
    意外性 ★★★★★(5)
    社会性 ★★★★★★(6)
    ※5段階評価では収まらず・・・。

    374ページ。
    刑務官とバディを組む20代の若者が問います。
    「法律は正しいのですか?本当に平等なのですか?地位のある人もない人も、頭のいい人も悪い人も、悪い人間は犯した罪に見合うように、正しく裁かれているのですか。」

    【A:購読動機】
    江戸川乱歩賞受賞作です。そして、巻末の選考委員のあとがきによれば、満場一致での受賞作品です。さらに、高野氏がデビュー作にしての受賞です。
    ここまで整っていたため、自然に「読みたい」となったのです。

    【B:タイトル;13階段】
    死刑を執行する場合には、法務大臣を13人目としてそのほか12名の捺印・決裁が必要です。この手続きを階段になぞらえて、13階段としています。

    物語の中心となる事件は、老夫婦の殺人事件です。この被告に対して死刑が確定しています。あとは執行手続きを待つのみとなります。

    【C:物語が動く】
    被告は、事件当日に交通事故にあったため、その日の記憶がありません。したがって被告自らの証言を得ることができません。
    しかし、物的証拠、状況証拠ともに、被告が殺人者であることから刑が確定します。
    一方で、被告のバイト先の勤務態度等から殺人を犯す性格、言動を想像することが難しく、「冤罪」の可能性も捨てきれていません。

    この冤罪を証明するために、依頼人が雇う弁護士経由で白羽の矢がたったのが刑務官です。
    刑務官とは、刑務所内で業務を執行する公務員です。また、死刑を執行する際に刑場に立ち合う役割を担っています。
    そして、刑務官が調査のバディとして選んだのが、同じ刑務所で仮出所が確定した20代の若者です。

    【D:テーマと参考文献】
    巻末の参考文献には「犯罪者の処遇」「日本の検察」「私はみた 犯罪被害者の地獄絵」「死刑執行人の苦悩」「死刑って何だ」「死刑囚の一日」をはじめ20冊以上の記述があります。
    取材、参考文献を通じて、少なくても以下のようなテーマが物語のなかで展開します。
    ・被告の犯行動機。
    ・仮釈放後に生活に適応することの困難さ。
    ・被害者、遺族側の苦悩。被告に対して消化できない感情。
    ・犯罪者と遺族側で取り交わされる和解内容とその影響。
    ・死刑を執行する刑務官の苦悩。

    【E:読み終えて】
    事件のニュースが途絶えることのない昨今です。事件が発生したあとに裁判がはじまります。その過程で、被告と遺族のやりとり等が行われ、刑期が確定します。

    しかし、わたくしたちは、報道を通じてこの一連のプロセスを知ることはほぼ皆無です。
    そうした意味において、この「13階段」はフィクションとはいえ、被告側そして遺族側の生活、苦悩を想像する機会を与えてくれます。

    それが何に役立つのか?まったく役立たないかもしれません。
    巻末に記述のとおり多くの参考文献に支えられた「13階段」は、通りすぎるにはもったいないかもしれない・・・と思うのでした。

  • おすすめありがとうでした。面白かった。法律が正しいかわからないけど、寡黙で粋な大人は、情熱を持った2人に力を貸すんだと思う。

  • 重たいテーマだったが、引き込まれて一気読み。面白かった!審査員満場一致の江戸川乱歩賞と書いてたが納得。
    ズシンと来る読み応えなのに、流れるように読んでしまう。これがデビュー作だと聞いてびっくり。脱帽!

  • 死刑制度とミステリーがうまく融合している作品。不自然や無理のある点がなく、読みやすい。それでいて、最後は伏線回収や新事実発覚で楽しめた。

  • とても面白かった。
    本格ミステリーはあまり読まないのだけれど、やっぱり面白いですねー。一度スイッチが入ると止まらなくなるし、仕事中もあー早く続きが読みたい!と禁断症状が出てきてしまいますw
    死刑制度について深く考えさせられる物語でした。
    いつ訪れるか分からない刑の執行に毎日怯える死刑囚の恐怖、そして刑の執行に直接携わらなければならない刑務官の葛藤の描写が凄まじい。
    刑務官の南郷と、傷害致死の罪で服役し仮出所中の三上がある死刑囚の冤罪を晴らすために手を組んで調査をするのですが、二人の心の声を聞いていると、死刑と殺人の違いは何なのだろう?と分からなくなってきます。
    そして、被害者家族、加害者家族の苦しみも痛いほど伝わってきます。
    プラス何度も起こるどんでん返し。怒濤の展開。エンタメとしても最高です!
    ほっこりする読書も大好きだけど、こういう読書もやっぱり大好物だぁ。

    • Kの本棚さん
      こっとんさん(^^)
      こんにちは。いつも私の知らない本をたくさん読んでらっしゃって、感想を拝見しながら、すごいなあ、私も読んでみたい本がたく...
      こっとんさん(^^)
      こんにちは。いつも私の知らない本をたくさん読んでらっしゃって、感想を拝見しながら、すごいなあ、私も読んでみたい本がたくさんある!と思っていました。
      13階段は珍しく(?)私も読んだことのある本で、高野和明さんの緻密な文章と設定に引き込まれますよね。死刑制度について、こんなに考えることはなかったので、私にとっても印象深い一冊でした。
      自分も読んだことのある本をまた違う角度から感想を読むのも面白いなあと思いました!
      またいろいろと本の世界を共有できたら嬉しいです!
      2023/08/12
    • こっとんさん
      Kの本棚さん、こんばんは♪
      重厚なミステリーを読んだのは久しぶりの私。
      その一冊がKの本棚さんと共通の本だったとは嬉しいです!
      Kの本棚さん...
      Kの本棚さん、こんばんは♪
      重厚なミステリーを読んだのは久しぶりの私。
      その一冊がKの本棚さんと共通の本だったとは嬉しいです!
      Kの本棚さんとの共通本は、私のお気に入りの本が多くて、それもまた嬉しい!
      Kの本棚さんのレビューはいつも「うんうん、わかる!」と思いながら読ませていただいてます。
      これからもどうぞよろしくお願いしますね♪
      2023/08/12
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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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