13階段 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.07
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本棚登録 : 14284
感想 : 1605
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748384

感想・レビュー・書評

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  • 巻末の参考資料の多さから、かなり苦労して執筆されたものだとわかります。
    クライマックスでは、展開が加速され、サスペンス度が増して、ドキドキしながら読み進めました。
    事件の真相については、設定にも動機的にも、ちょっと飛躍があるように感じました。
    しかし、犯罪、受刑者、司法制度に深く踏み込んでいるのはもちろん、一般に知られない刑務官の有り様にも表現が及び、人間のドラマが描かれている傑作だと思います。

  • 話は重いが、先が気になってどんどん読み進められた。実際のところはどうなのか分からないが、死刑執行の描写が緻密かつリアル。
    しかし、死刑はこの国で実際に行われている。
    実際に執行に携わった刑務官はどういう気持ちなのだろうか。

  • 友人に紹介されて読んだ本です。

    著者は日本の死刑制度についてかなり勉強されたようで、

    参考文献だけでも二十数冊記載されていました。



    知らなかったジャンルのことだけに、

    実際の死刑の状況とか、刑務官の苦悶とか、

    矛盾した法制度とか、いろいろと勉強になりました。



    著者の高野和明氏は1985年より映画、テレビ、Vシネマの撮影現場で経験を積み、その後渡米して映画演出、撮影、編集を学ぶ。

    帰国後は映画やテレビなどの脚本家を経て2001年にデビュー作の本書で江戸川乱歩賞を受賞した、と言うことです。

    脚本家を経て作家になった方でいい作家さんって結構いますよね。

    もう亡くなった作家さんですが、野沢尚さんの本なんか大好きです。



    本書の底に横たわる大きなテーマのひとつは、「社会に対して何らかの負債を持つ人間が、それを背負いつつも社会の(または他人の)ために生きることはできるか」という問いかけだと思います。



    と、宮部みゆきさんが解説しているように、

    ミステリーのスリルを味わいながらも、考えさせられる物がありました。



    さすが脚本家だっただけあって読ませる筆力は十分です。

    クライマックスで驚かせて、終盤でさらにどんでん返し。

    (犯人はこの人では?)とちょっと予想していた部分があったのですが、

    それをさらに超えてきたので楽しめました。

  • 〇学んだこと
    1.犯罪者への報復である「応報刑思想」と、犯罪者を教育改善して社会的脅威を取り除く「目的刑思想」のどちらが良いか?
    ⇒善悪の価値観が多様化する以上、犯罪者への報復である「応報刑思想」を選択せざるを得ないと考える。だからこそ、犯罪の要因となる「貧困」や「暴力」から抜け出すことのできる社会システムの構築に、力を注ぐことが重要。
    2.「死刑執行」の賛否
    ⇒文化や宗教が国ごとに異なることを考慮すると、日本国内において、犯罪者に命を奪われた被害者を対象に「死刑執行」の賛否を問い、多数決で決定する以外の方法が思い浮かばない。(勉強不足を痛感しました)
    3.「自らが死ぬ恐怖」と「相手を殺す苦しみ」
    ⇒死生観・宗教などにも左右されるが、「自らの死」に対する恐怖は少なからずある。また、相手が極悪人であろうと「殺す苦しみ」が存在するのは事実だと思う。特に「相手を殺す苦しみ」については、犯罪防止の観点からも教育する必要があるように感じた。

  • 死刑という重たいテーマを題材にしているが、暗くならすぎずにスピード感もあるので一気に読めてしまう。というか、面白すぎて読むのをやめられなかった。
    死刑制度、冤罪、日本の法律、善と悪など考えさせられることがたくさんあった。また、本書を読んで知ったこともたくさんあった。あまりにもたくさんありすぎて、考えがまとまらないので、ここで書くのはやめておくけど。
    これだけの内容を含んでいるのに、ミステリーとしてもエンタメとしても楽しめるなんて本当にすごいとしか言いようがない。もともと作者が脚本家の方だからか、読み手を楽しませてくれる方法を熟知しているような印象。
    クライマックスはまさに怒涛の展開で、「っえ?っえ?っえ?」の連続だった。最後まできれいにまとめてしまうのではなく人間の本性を描き切っているのもとても共感ができた。

  • ムチャクチャ面白かったね。巻末の宮部みゆき先生のあとがきで、これがデビュー作と知って尚更驚いた。
    死刑囚ものの小説は今までいくらか読んだけど、刑務官側の記憶がリアル過ぎて4章過去読んでて吐き気を催したくらい。しかし、刑務官側だけではなく、多様な死刑囚、囚人、犯罪者側からのエピソード、心情が描かれていてとても立体的でした。考えが錯乱するくらい。正しさは誰にとっての正しさ?当事者?社会秩序?宗教的なもの?どれも正しいから答えがない。見方によって変わる。それを知っておかなくてはいけないんだろうね。

    しかし、あいつが真犯人だーと、気づかせておいての後半の怒涛の展開がスゴイ。読めない。
    中心である樹原が一番出番がないのも興味深い。

    これがあってのジェノサイドか。いやぁ、すごい。

  • ⚪︎重いテーマなのに読みやすい。罪とは、裁かれるとは、死刑とはなんなのか考えさせられる。もちろん、純粋にミステリー、推理小説としても楽しめる。

    ⚪︎死刑執行に至るまでの死刑囚と刑官の心理描写がリアル。また、法律関連の知識もぎっしりと組み込まれていて、なぜこんなにもリアルに書けるのだろうと思って読み終えたら、巻末の参考文献に死刑関連の書籍がびっしりと並んでいて納得。著者の圧倒的な調査量の賜物である。

    ⚪︎役割上の探偵役である三上と西郷の2人の視点で展開される。話が進むにつれ、二人は罪に向き合っていく。どちらの人物も過去に人を殺した経験により内面葛藤がよくみえる。
    人を殺した経験のある二人が死刑囚を救うために奮闘するという面白い構成。

    ⚪︎終盤の破滅葛藤が三上と西郷それぞれにあるのがいい。二人は同時に絶対絶命のピンチに陥るのだが、居る場所が違うため個人で危機を迎える。二人のピンチの場面を交互に見せる怒涛のこの展開は目が離せない。よくピンチの場面でありがちな誰かが助けに来るとことがなく、個人で危機を切り抜けるのもいい。破滅葛藤はこうでなければならないのだ。

  • タイトルから、死刑囚が死刑を待つまでの心理的な部分がストーリーの主体だと勘違いしてました・・・
    友人が「面白い」と連発するので、今さらながら読んでみたけど、ホント、面白いっ!
    いろんな伏線が張られていて、あっという間に読了。
    でも、最後がちょっと救われなかったのが・・・残念。

  • めちゃくちゃよかった。
    ジェノサイドが最高で、そのまま引き込まれて読み始めた。
    文章好きだ~~解説の宮部みゆきが平明にして重厚と評していたが正にその通り。好きだ。
    構成も緻密で、関連する書籍を大量に浴びた上で書かれていることを、衒学的にならずともわからせてくる感じがたまらない。好きだ!!!!
    罪を犯した人間がどのように生きるかについて。自分自身深く悔いていることがあり、全てが変わってしまう前に時を戻せないという諦観を磨いて生きてきたから、三上純一に感情移入してカタルシスを得た。彼と同じ年齢である今、読めて本当によかった。
    ジェノサイドもそうだったが、風呂敷広げてきっちり畳んでくるの最高。ラストの追い込みからの解放があまりにも心地よくて、もう既に記憶を消してもう一度読みたい。脳が喜んでいる。老後に期待している。

  • 文句なしの最高傑作!

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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