13階段 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.07
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感想 : 1605
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062748384

感想・レビュー・書評

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  • 最近、クリミナルマインドにハマって、見てるけど、いつも思うのは、一人の犠牲と多くの犠牲なら、どっちをとる?っていう疑問だ。

    犯人は追い詰められて、凶器を離さない場合、大抵FBIに撃ち殺されるからだ。

    まぁ、それは、アメリカの話であって、「13階段」は、日本の話だ。

    斧でズタズタに二人の人間を殺し、死刑判決となった樹原亮は、事件に関する前後のことを、捕まる前のバイク事故で覚えていない。
    それでも、犯人とされ、死刑判決されたのは、殺された人の物を持っていたから。

    でも、もし冤罪で死刑なら。。。

    ミステリーというジャンルの中で
    この本は、自分たちが平和に暮らしている日本で

    死刑とはなにか。
    犯罪とはなにか。
    正義とはなにか。

    という問題たちに、どう向き合ってるのか、どう向き合うべきなのかを考えさせる。

    死刑を執行したことのある刑務所の南郷と、傷害致死で仮釈放中の三上が、死刑囚の冤罪を晴らすために奮闘する。

    人を殺したことのある人が、人を救う。

    以下ネタバレ。

    これは、決してハッピーエンドではない。
    息子を救うために支払っていたお金が、息子を殺す資金になっていたと誰が思うだろう。
    家族とやり直したくて、人を救うために奮闘した人が、人殺しをしてしまうと誰が思うだろう。

    悪いのはだれか?
    木下友理を犯した青年か?
    安藤を脅した保護看師か?

    切なくてやるせなくて、だけど、これから先に彼らの幸せが待っていると思いたい。

  • 電車通学中にのんびり読もうかなと思っていたのですが、ページをめくる手が止められませんでした。
    死刑制度という重いテーマも、死刑執行の場面も非常に細かく描写されており、とても興味深かったです。
    死刑を執行する刑務官の責任の重さや精神的負担の大きさ、前科者の社会復帰の難しさなど、高校生の私にはあまり触れることの無い題材で、考え方が広がるような気がしました。
    同年代の方にも読んで欲しいと思えるような、私の中でとても心に残る作品でした。

  • 死刑囚の冤罪をはらすため、元刑務官と前科持ちの青年が協力して捜査に乗りだすという大好きなテイストに、死刑執行までのカウントダウンが始まっているハラハラ感が相まって、最後まで読むスピードが変えられない作品でした。

    なかなか身近には感じられない死刑執行と執行者の憤りがとても興味深かった。
    おもしろかった!というには重い作品だけど、先が気になる内容でした。

    羽田空港の煽り文章に惹かれて購入し、行き帰りの飛行機で読破。
    さすが書店員。おっしゃる通りでした。

  • 2018.7.9読了
    ☆4.5

    テンポが良く続きが気になり2日で一気読み。
    刑務官や検察官、保護観察中の元殺人犯、法務省、遺族など様々な立場から見た死刑制度というものを知ることができ、とても考えさせられる作品だった。

  • 読後感が重い……

    しかし、かような余韻こそが作品の善し悪しを決定づけるのだ。

    映画は以前、観ていた。
    実のところ、なかなかの作品だと思っていたのだが、原作を読んでテイストが違うことに少なからず驚いた。
    当然であるが、小説のすばらしさを映画では伝え切れていない。2時間という尺のため、ある意味コンパクトで、「いいお話」でまとまっている感はいなめない。

    この原作は、決して「いいお話」ではない。
    登場人物達の心の葛藤が、この作品を重厚なものにしている。
    冤罪で捕まった死刑囚を救う、刑務所の看守と過失致死の罪をつぐない出獄した手の青年とのバディものだ。
    死刑執行までのタイムリミットがもうけられたサスペンスに加え、真犯人を捜すミステリと、エンタメ要素をふんだんに取り入れて飽きさせない。

    そして手に汗握って読み終えたのだが……
    この重たさに今はひたっていたい。

  • 第47回江戸川乱歩賞受賞作品。

    事件の記憶を失った死刑囚。

    彼の冤罪を晴らすべく動き出した一人の刑務官・南郷と,
    殺人の罪で服役し,仮釈放となった青年・三上。

    事件の手掛かりは「階段」。残された期間は三ヶ月。
    さて真犯人は誰か。

    真相に至るまでのスリリングな物語の裏で,死刑を執行する刑務官,される罪人,それを求刑する検察官たちの苦悩に触れ,死刑制度の是非について自分も深く考えさせられた。

    法律とは何か。正義とは何か。

    この『13階段』を上り終えた先に待っているのは,
    果たして正義か,それとも罪か。

    最後の宮部みゆきさんの解説を読むまで,
    余韻から抜け出せませんでした。

  • 細かい瑕疵が気になるところもある。が、死刑制度や、法制度、刑務官の仕事について考えさせられた。

    主人公二人のコンビは息もあっていて、時にはコミカルなところもあり好ましいので、最後まで一気読みでした。

    一番救われないのは〇〇ちゃん。それが読後感を少し悪くしてるかな。

  • とんでもない一冊に出会ってしまった。
    終盤に二転三転しつつ怒涛のように明かされていく真相に読む手が止まらなかった。
    法律、死刑制度の正しさ、正義とは何かと考えさせられました。

  • デビュー作とは思えないほどの完成度の小説を生み出す作者というのが世の中には稀にいる。
    まさに作者はその1人。
    デビュー作なのに読み進める度に「手堅い」という感想が強くなる。
    死刑制度という重いテーマを扱っているにも関わらず、文章は極めて冷静であり、複数の登場人物の各持論を展開することで人の命や罪に対して、決して説教的ではなく複雑で多面的な物語が構成されている。
    ミステリー作品やミステリー要素を含む作品は、改めて最初から読み直したときに初読の際には気にも留めなかった重要な描写があることに気づけるかどうか、というのが重要だと思っているがこの作品はその要素を十分に満たしていた。

    作中の一番大きなミスリードは読んでいて「流石にこれはミスリードだな!」と気づきはしたものの二転三転する展開は緊迫感があり、点と点が線に繋がるあの感覚が得られていい作品と巡り会えたと思った。オススメ。

  • 後半にかけて面白くなっていった!文章が淡白で最初は何だかなーって思ってたけどこれはこれでいいのかな。最初に出てきた何気ないところが全て伏線だった。

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著者プロフィール

1964年生まれ。2001年に『13階段』で第47回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。著書に『幽霊人命救助隊』、『夢のカルテ』(阪上仁志との共著)など。2011年、『ジェノサイド』で第2回山田風太郎賞を受賞。自著のドラマ化『6時間後に君は死ぬ』では脚本・監督も務めた。

「2012年 『グレイヴディッガー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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