『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1530
感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062761468

感想・レビュー・書評

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  • そして誰もいなく・・・
     「鏡の国のアリス」をモチーフにした作品。いかにも意味ありげな増える扉、人形やチェス盤などが配置された「アリス・ミラー城」は怪しい雰囲気満点です。
     チェスの駒に見立てて次々と人が殺されていく様子は、海外の某作品を彷彿とさせます。容疑者が絞られていくなかで、顔のない死体が一役買っているのもそうですが、章ごとに視点が変わっていく演出で、どこか犯人が絞りきれない感じがあります。
     著者のお家芸である物理的なトリックは、なかなかのインパクト。ですが、本書の企みは大きく分けるともう1つあります。こちらは舞台の必然性にも繋がっており、納得した反面、かなりずる賢い印象を受けました。

  • クローズドサークル。
    集められた探偵、怪しい館。
    マニアには堪らない要素満載です。

    鏡の国のアリスが鏡の国へ入る時に使ったというアリス・ミラーを探すために集められた探偵たち。
    そして誰もいなくなったのインディアン人形の様にひとり殺されると減っていくチェスの駒。
    ラストの作中の違和感が氷解する感じまでとても楽しめました。
    面白かったです。

    ★5つにならなかったのは、やっぱり動機でしょうかー。
    どうせならルディの「探偵なんて必要無い」とかの方がまだ良かったかも、なレベル。笑

    それでも世界観はとても楽しめました。
    アリス・ミラーどうせなら見つかって欲しかったですね。

  • 2016年1月2日読了。
    2016年3冊目。

  • いつも北山先生には最後に驚かされます。

  • 鏡の国のアリスの世界を思わせるアリス・ミラー城を舞台とした,「そして誰もいなくなった」風のミステリ。筒井道隆の「ロートレック荘事件」のような叙述トリック一本で作られた作品。
    アリス・ミラー城に集まった探偵は,10人ではなく11人であり,犯人の「アリス」が存在しないように感じさせるべく,叙述トリックが駆使されている。
    北山猛邦らしく,物理トリックを使った密室も出てくるが,作中での軽く扱われているし,それほど驚けるトリックでもない。
    アリスの存在は,読者には隠されているが,作中の人物には当然に存在しているはずなのに,全く犯人として疑われている描写がないなど,「んん…」と思われる点はあるが,こういう読者を騙そうとするサービス精神溢れる作品は好みの作風である。
    とはいえ,アリスが犯人であるという真相を見てもそこまで驚愕できなかったのは事実。読者としてすれた読者になってしまったのかもしれないが,叙述トリックとして,もう少し「おお」と思われる部分が欲しかった。★3かな。

  • 『アリス・ミラー』を探すため、集められた探偵たち。
    そこで殺人が起こり、次々と犠牲者が増えていく。

    クローズドサークル好きには是非オススメしたい作品。
    叙述トリックは好きではないが、この作品は素直に許せた。
    ただ、どうしても「現場の探偵たち気付けよ」と思ってしまうので、敢えての☆4つ。

  • クローズドサークルの話は、けっこう好きで、この小説も気になって読んでみた。


    ある孤島に集められた10人。島にある城、アリス・ミラー城に隠された鏡を見つけるために集められた。しかし、翌朝に探偵の1人が殺害された。顔を硫酸で焼かれ密室だった。次々に殺される探偵たち。犯人は誰なのか。その目的は。


    かなりスプラッターなかんじで、グロイかんじ。そして、ちょっと怖いなーと思いながらもわくわくしながら読んだ。犯人は誰かな?動機とかなんだろとか。
    だけど、いざ読み終わって、犯人が分っても納得がいかない。ネタバレサイトみてももやもやする。
    なんか、そりゃないよーってかんじ。


    作者の罠にまんまとハマったかもしれないけど、納得がいかなすぎ。



    2015.2.7 読了

  • 北山猛邦の『『アリス・ミラー城』殺人事件』を読了。

    ある孤島での連続殺人。『そして誰もいなくなった』のインディアン人形を彷彿とさせる、消えていくチェスの駒。そして集められた探偵たち。
    本格ファンならこれらだけでワクワクしてしまうだろう。

    舞台設定だけでなく、非常に様々な物理トリックが使われている点も面白い。思いもつかないようなものから意外性抜群のものまで、前作までに比べてかなり楽しめる。

    登場人物がきちんと書き分け出来ていて非常に覚えやすいのも評価できる。

    但し、読み終わったあとに残念だと思うこともあった。それはズバリ犯人に関することなのだが、どう考えても不自然だと言わざるを得ないのである。詳しくは書けないが、あえて言うなら「探偵が何人も集まっている中でそれはないのでは」と言いたくなるほど。当然こんな説明だけでは意味不明ととられてしまうだろうが、気になった方は読まれるとよく解ると思う。本当にこの点だけは納得が行かなかった。

    しかし、見たこともないような物理トリックが使われていることも事実(それが実際に可能かどうかは兎も角)。総合的に見て、城シリーズでは断トツの作品ではないだろうか。

    最後に、城シリーズは10年ほど前から第五作となる『『石球城』殺人事件』が予定されているようだが、幻にならないことを切に願う次第である。

  • 2014/12/22

  • 2年近く積んでいたことが悔やまれる傑作。

    物語は幻想的な雰囲気で始まり、あまり説明がないままに進んで行くので最初は戸惑ったが、慣れてしまえば一気読み。
    中盤に差し込まれるサスペンスフルな展開も良いアクセントになっていて中弛みすることはありません。

    正直物理トリックは「へぇ〜そうなんだ〜」という感じでしたが、最後に明かされる真相には完全にやられました。
    実は1度可能性としては頭に浮かんだのですが、すぐに排除してしまったものだったので余計に悔しい。ミスリード部分を否定の根拠にしてしまうという都合のいい読者っぷりを晒してしまった…

    物理の北山などと呼ばれているが、それだけではない事が証明された一冊なのではないでしょうか。

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著者プロフィール

2002年、『『クロック城』殺人事件』(講談社ノベルス)で第24回メフィスト賞を受賞しデビュー。代表作として、デビュー作に端を発する一連の〈城〉シリーズなどがある。

「2022年 『月灯館殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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