凍りのくじら (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762007

感想・レビュー・書評

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  • SFの難しくない考え方は面白いなと思った。スコシ・フシギで泣ける物語。
    最初の方は面倒くさい人間関係送ってる主人公だなと思ったけど、気づけば海面に顔を出して息を吸おうと必死で生きたクジラそのもののように、孤独で息苦しかったろうなと思う。
    別所や郁也の存在は救いで希望だったなと思った。
    そしてこの物語にはドラえもんが重要なポイントになってて、理帆子の心の支えになっていたのではないかな。

  • 高校生の主人公とその視点で描かれる人間関係が妙にリアルで今のところ辻村作品で一番身近に感じた。時系列的には『メジャースプーン』とほぼ同時期かな。あのピアノ発表会にちょっとだけでてたあの子がキーマンに。主人公の人間関係の保ち方は頭が良く平和だけど楽しくはない。やはり少し・不在で居場所がない。こういう子はたまにいる。けどそんな人に光を与えてくれる存在が必ずいる。案外身近に。あーなんかもっと色々うまく書きたいけど語彙力が足りないよ。ドラえもーーーーん!ただ一つ言えるのは、「おもしろいよ、これは」。

    辻村先生そして藤子先生に感謝!

  • クールで頭が良いけれどスコシ・フザイな理帆子。
    他人を見下して遊んだり、誰とも深く関わらなかったり人付き合いに関して共感できる部分もあるけど、父親が消えていたり元彼がヤベェ奴なのにダラダラ構ってしまう辺りは「そういうものなのかな?」と思いながら読みました。

    別所や郁也に対して、自分のことやドラえもんのことを話す場面の理帆子はイキイキしていて、若尾と絡んでいる時とは別人みたいです。でも実際の人間ってこういうの抱えてますよね。それがとてもリアルでした。

    父親は結局死んでるの?
    母親はなぜ消えた父親に対しそんなクールなの?
    別所あきらの存在は?プレゼント買ってたのに?
    若尾はどうなった?
    少し気になる点も残っていますが、物語にグッと引き込まれ理帆子とひと夏過ごしたように感じられました。

  • ドラえもん大好き!!
    そして、ドラえもんの一つ一つのエピソードをここまで繊細に別のストーリーとして描けるのはもう天才としか言いようがない!

    笑えて泣けてゾッとして、また泣ける
    辻村深月は天才だわ

  • 前回読んだ新潮文庫版の「怪人二十面相」の解説が辻村深月で「凍りのくじら」の中のエピソードが辻村さんの実体験だったと言うのを読んでこちらの本を読みました。約550頁という大作ながら先が気になって読まずにいられなく3日での読破。まさかのドラえもんのオマージュ作品とは。だが作品自体はかなり重く主人公の理帆子と辻村さんがリンクしているかどうかはわからないがラストは現実の世界とドラえもんの秘密道具が融合した結末となっている。夏の図書館で出会った先輩の正体が解るとき凝り固まった理帆子の心が溶けてゆく。

  • ちょっと忙しくて、読むのに時間がかかってしまった。気持ちとしてはいつでも最後まで一気読みしたかだたのだが。おかげで、エピローグを読んだ後にはもう一度プロローグを読もうと思えた。

    心理描写がやはり繊細で巧み。周りを見下していたり、冷静に分析してはその場の自分の立場を演じてみたり。でも本当はそんな自分をどこかで好ましくなく思ってる。決して救いようのない、完全な高慢な主人公でないからこそ、何かのきっかけを彼女と一緒に追いかけていた気がした。父親の件から前に踏み出せていなかったのかもしれない。それがどこか暗い影を落とし、ともすれば若尾よりも危うさがあったように思う。
    その影を受け入れるための、母親の死であり、若尾の件であり、郁也と別所の「存在」なのだろうと思った。そしてその影がプロローグどおり、光を強く美しくする。よく計算された繋がりだと思う。

    私も幼い頃は「ドラえもん」で育った。「ドラえもん」が人間の心の機微や、人としてのあり方を教えてくれた。もちろん知識も知恵も。そんな「ドラえもん」を、一度全て剥ぎ落として核だけにして、再度新しい肉付けをしたような、大胆さも伺えた。「ドラえもん」や藤子先生は、こちらが大人になっても、どんな形であれ、人の優しさを教えてくれる。

  • 久しぶりに再読。
    私が辻村観月さんに
    どっぷりハマったきっかけの一冊です。

    一度読んでいるから、
    結末はわかっているはずなのに
    やはりジンとくる。

    そして読み進めながら、あっここにも
    ここにも伏線があったんだ!
    初めて読んだ時は気づかなかったなぁ
    と、思いながら読みました。

  • すごくファンです。
    次、どれを読もうかな。
    ドラえもんかなぁ~。

  • 全体的に暗めの話だったが、最後は希望が見える終わり方で良かった。特にお母さんの手紙の所は泣けてしまった。また、別所のキャラクターが好きだと思った。別所の正体については何となくそういうことかなと後半薄々感づいたが、正体がわかった場面は感動した。特に理帆子をライトで照らす場面。心が温かくなった。
    話としてはスロウハイツの神様と同じく伏線回収までが長くて、読むのがきつかったが、半分以上読み進めて、後半伏線回収の部分は感動させられた。

  • 芦田愛菜ちゃんの本「まなの本棚」で、辻村作品は「凍りのくじら」からと書いてあって、慌てて手にとった。
    辻村さんのドラえもん愛がよく伝わってくる。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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