凍りのくじら (講談社文庫)

著者 : 辻村深月

• 講談社 (2008年11月14日発売)

感想・レビュー・書評

[アレックスさんの感想 · 2023年8月24日]

ドラえもんは子供の頃に読みましたが、改めて読んでみたくなりました。
家族とはいえ考え方の違う人間同士ですが、やっぱりどこかで繋がっているんだなぁとしみじみ思いました。

[ジャルさんの感想 · 2023年8月17日]

スコシなんとか、の名前を付けてる理帆子さん、賢いけど、それでも一人では生きていけないんだな、と。別所くんとの不思議な関係も最後は謎が解けてスッキリです。そして、最後、かなり泣けました。一気読みです。

[Run太郎さんの感想 · 2023年7月30日]

主人公の性格や周囲の環境から全体的に暗い雰囲気を感じるが、ドラえもんが入ることによって話に柔らかさが出ているように感じた。
主人公の理帆子の性格は最初は掴みづらかったが、後半には今の自分たちも少なからず共感できるような気持ちを持っていることがわかる。
星4つにしたのは伏線が分かりやすいところがあったためですが、総じて面白かったのでおすすめです。

[はんぺんさんの感想 · 2023年7月7日]

辻村先生の作品を何冊か拝読しました。

10代の少年少女の感情について、痛いくらい刺さる描写をされる作家さんだと、いつも思わされます。

今作も、やっぱり刺さりまくりでした。
主人公が自分の周りの人間を観察対象としか捉えられない心理とか、主人公をストーキングする元恋人の心理に少なからず理解してしまったり。
そんな心理描写を読ませる展開から、ラストシーンではまさかのSF。
でも、とんでもない展開とは思わず、序盤の伏線が上手に回収された印象でした。

個人的には辻村先生の作品の中で一等賞です。

[コウメイさんの感想 · 2023年7月7日]

『スコシ・フザイ』な高校生理帆子の経験する奇跡の物語。
いや…奇跡だけでは説明しきれない重さがあります。

辻村先生の『ドラえもん』愛を信じて無防備に読み進めた自分を後悔したいくらい、感動もあるけれど、人間の怖さも描かれている。
ただ、その怖さも含めてぐんぐんと読み進めれるのは辻村ワールドならでは。

ドラえもんのSF（Sukoshi Fushigi）を物語の中に散りばめながら、理帆子の家族とのストーリーが徐々に明らかにされていく展開は流石です。

[manaさんの感想 · 2023年5月31日]

この本の少し不思議で、悲しいけれど、すごく温かい世界観が大好きです。とても惹き込まれました。


辻村深月先生の作品は、どの作品も物語に強く惹きこまれていく。共感し、自分自身を振り返させる、自分の中と見つめ合う時間を与えてくれます。他の作品を読んだ後にまた戻って来たいと思えるような作品でした。

[えりなさんの感想 · 2023年5月13日]

若尾がリアルでエグい　ストーカーになるのは自尊心が高いからというのも納得
ドラえもん読みたくなった！！！

[1080magicさんの感想 · 2023年4月2日]

現実社会の生きづらさを感じて窒息しそうな人びと、理帆子、郁也、そして若尾。氷の下で窒息しそうなクジラに届けとばかりの一閃の光としてのドラえもん。
　「痛かったら泣いて、苦しかったら助けてって言っちゃえばいいんだよ。きっと誰かが（ドラえもんが寄り添っていて）どうにか力を貸してくれる。」「テキオー灯」というアイテム。「君はきっとできる。君はいい子」藤子先生の「少し不思議な」励ましの言葉。
　SFごっこ。「少し・・」として他者を観察していたが、他者の風を受けている「帆」であることに気づく。
　最後の「あきら」の種明かしはミステリー。鮮やかな伏線回収。

[MIKIさんの感想 · 2023年2月17日]

SFの難しくない考え方は面白いなと思った。スコシ・フシギで泣ける物語。
最初の方は面倒くさい人間関係送ってる主人公だなと思ったけど、気づけば海面に顔を出して息を吸おうと必死で生きたクジラそのもののように、孤独で息苦しかったろうなと思う。
別所や郁也の存在は救いで希望だったなと思った。
そしてこの物語にはドラえもんが重要なポイントになってて、理帆子の心の支えになっていたのではないかな。

[ss512（試）さんの感想 · 2023年1月8日]

高校生の主人公とその視点で描かれる人間関係が妙にリアルで今のところ辻村作品で一番身近に感じた。時系列的には『メジャースプーン』とほぼ同時期かな。あのピアノ発表会にちょっとだけでてたあの子がキーマンに。主人公の人間関係の保ち方は頭が良く平和だけど楽しくはない。やはり少し・不在で居場所がない。こういう子はたまにいる。けどそんな人に光を与えてくれる存在が必ずいる。案外身近に。あーなんかもっと色々うまく書きたいけど語彙力が足りないよ。ドラえもーーーーん！ただ一つ言えるのは、「おもしろいよ、これは」。

辻村先生そして藤子先生に感謝！

著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ！』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」