下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち (講談社文庫)

著者 : 内田樹

• 講談社 (2009年7月15日発売)

感想・レビュー・書評

[gusさんの感想 · 2022年6月25日]

本書では、子どもが授業を真面目に聞かないこと、勉強をしないこと、すぐに転職する若者が増えていること、ニート問題など、人によっては近頃の若者はけしからんと根性論で片付けてしまいそうなテーマが扱われている。
しかし、実はこれらの背景には共通しているものがあり、それが消費者マインドだということがわかりやすく説明されていて、なるほどと大変感心した。
現代社会において、消費者マインドは、重要かつ不可欠な思考であるというイメージがあったので、教育などの場に持ち込まれることで弊害にもなり得るというのは新たな学びだった。

[みちさんの感想 · 2022年5月25日]

自己決定しないで相互扶助の中にいるのが強者。
自己決定するのが弱者。
今まで自分は完全に勘違いしていた。
自立した人間は、多くの他者によって取り囲まれている。そのネットワークの中で絶えず己自身を造型し、解体し、再改訂し、バージョンアップするのが自立した人間。
自己決定を強要しながら選択したことの責任は自分で被ることを強いられている。確かにどう考えても不条理。
生きることは学ぶ事。なるほどー面白くなってきた。

[jpomega2020さんの感想 · 2022年2月6日]

●著書は人生上がりの学者かとちょっと偏見があったが、この本は良かった。
●なぜ最近の学生が学ばないのか、すっきり解説してくれている。腑に落ちた。同じくニートが働かないのも然り。
●たしかに、なぜ勉強しないといけないのかなどの質問にはまともに取り合う必要はないはず。
●ニートの解決策はほぼないという身の蓋も無い結論だが、その通りではないか。今後我々が税金で補うしか術がないのは悔しいが…

[kikiさんの感想 · 2022年1月29日]

分かりやすくて非常に面白い。なるほどね、と頷きながらあっという間に読んでしまった。
君たちはどう生きるかを読んだ直後だったのだけれど、消費主体として自己確立をする子どもの話は両者に指摘されていて興味深い。
経済的合理性だけを目指す教育や社会、どうなんでしょう？

[すのまんさんの感想 · 2021年7月20日]

腑に落ちる話がたくさん。多面的なものの見方を身につけるのに役立つ。

[やまびとさんの感想 · 2021年4月14日]

ある意味ホラーです。生まれついての消費者は、バザールの商人と同じ,儲かるか損するかが価値基準で有り、その行動原理は、幼き時より深く精神を支配していると師範はときます。

[POCOさんの感想 · 2021年2月28日]

この本に書かれている考察が正解かはどうかは問題ではなく、しかし納得できる内容だった。労働から入るか、消費から入るか、この考え方はとても腑に落ちたし、コロナ禍である現在、オンライン授業における大学に対する評価を見るに自分も消費者の目線で大学を捉えていたことに気付く｡学びとはどういうものか、学ぶ姿勢に不可欠なものは何か。対談の部分は著者の語調が強くてほんの少しハラハラしながら読んだ。一歩間違うと「昔は良かった、今のなんとけしからんことか」だけで受け取られてしまいがちだが、よく咀嚼して理解したい。

[しょうさんの感想 · 2021年2月7日]

ノイズをシグナルに変換するプロセスが学びのプロセスそのもの

[ナサさんの感想 · 2021年1月27日]

学ばない子どもたちの一人として、ストンと胸に落ちるという訳ではないがかなり納得させられる論だった。学びは何の役にたつの？という質問に対して、"答えることのできない問いには答えなくてよいのです"という考えはかなり納得のいくものがあった。自己責任論の危険さの話もかなり良かった。

[緑色のライオンさんの感想 · 2020年12月22日]

対価を支払う価値があるのかを確認する作業から学ばなくなり、働いたら負け、との理論が成立する。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』（以上、ミシマ社）、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」