山魔の如き嗤うもの (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769181

感想・レビュー・書評

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  • このミスベスト10、2009年版8位。本作はうんちくっぽいとこあんまりなくて、ホラー感満載の連続殺人とその推理がほとんどです。んで、前読んだやつも同じような感じなんだけど、探偵さんが謎解きにはいって、いろいろ説明するとこで、登場人物の警部とかがいちいち「ほほー、なるほど」っとか感心するんだけど、読者の自分は、何を感心してるのか分からんのです。まあ、何でそうなるのって、頭が?マークだらけになってきます。そうこうしてるうちに、実は、その解釈だと最後の謎が解けなくって、結局、真犯人は違ってて解釈を再構成する必要があるんですよってなる。まあ、その辺の最後のどんでん返しが売りっぽいんですが、最初の解釈の段階で良くわかってないので、どんでん返しにも、ふーん、勝手にやってよ、てな感じになります。前のやつが、ブクログでの評価値やたら高かったり、本作が本格ミステリベスト10の2009年度1位に選ばれてたりするのは、本格として、論理的にはトリックが納得性があって、美しく解けていて、読んでる人はそれを理解してるってことなんですかね。ボクには理解できないんですけど。

  • いやぁ!くやしい!
    作者のミスリードにまんまと引っ掛かってしまった。謎解き序盤での刀城言耶の誤った推理とほぼ似たような物語を思い描いていたよ…
    今考えると伏線としては分かりやす過ぎるんだよなぁ…
    『首無の如き祟るもの』という傑作を生み出した作者なら、こんなあからさまなことしないっていうのに…
    そして、このミスリードに引っ掛かっているうちは、忌み山での一家消失事件の真相には絶対に辿り着けない。ミスリードとして完璧だよね!
    冒頭に「忌み山での一夜」という作中作が埋め込まれていて、これが作品全体の雰囲気をホラー色の強いものにしているのだが、終わってみればやはり本格ミステリで、もうお腹いっぱい。
    密室、人間消失、死体切断、顔の焼けた死体、見立て、これら全てに合理的で納得できる理由をつけた作者の手腕にはただただ敬服するばかりです。
    『首無』には少々劣るものの、やはり傑作には間違いないでしょう。

  • 成人参りの彼と共に忌み山をさすらい、幼い彼と共に祭壇に隠れて自分も怪異を体感した気分。
    ラストも地味に怖い。
    複雑怪奇な謎をどう解くのかワクワクするんだけど、謎が解けても憑かれた怖さを落とせないのがこのシリーズのおもしろさ。二転三転の推理の落ち着き先には毎回感心してしまう。

  • 大好きな刀城言耶シリーズです。

    昔から忌山として恐れられてきた乎山(かなやま)で起きた一家消失事件、その後の連続見立て殺人事件と、今回もわくわく?する事件が盛り沢山。
    乎山に棲むという化け物の、山女郎や山魔等の存在も、要所要所で素晴らしい雰囲気を醸し出してくれています。
    相変わらず、現実に起きた事件と、科学では解明出来ない領域との描かれ方のバランスが絶妙でした。
    その、科学では解明出来ないと思われた、靖美という登場人物が山中で遭遇した怪異も、事件を解決する過程で、きちんと説明されるのですが、「ああ、説明されてしまった…」という残念さはありませんでした。むしろ、過去の経験上、「…でも、やってくれますよね?」という期待が高まります。
    事件を解明して行く手順も、如何にも、これが真相だ!と思えるような事を一つ一つ、それらしく語った後、「でも違った」と潰して行くので、何と言うか、納得しやすいです。途中で、「三津田さん、もうこれが真相でいいよ!」と思ってしまったりもしますが。
    そして最後の最後は、やはり、やって下さいました。
    説明出来ない、残された謎!
    しかも、まさかの二段構え。
    これはもう、たまりません。



    …そして、メインの二つのオチの陰に隠れてしまっていますが…お吉は一体、何だったんでしょうね…。

  • またややこしい舞台が魅力的だ!
    あらすじ;小さな集落の旧家・郷木家の四男・靖美はずっと敬遠していた成人の参りをするため、郷里へ戻ってきた。話しかけられても返事をするな――そんな言葉をかけられ、一人三山へ出発するが、疑心暗鬼からか忌山に迷い込んでしまう。そこで見たのは存在しないはずの一軒家だった。住人である一家に許しを請い、一泊した翌日目撃したのは――。消えた一家。六地蔵さまのと不気味な童謡をなぞらえたかのような、殺人事件に刀城言耶が挑む。

    「厭魅」や「首無」よりもはるかに読みやすい。理由は多分いちいち名前の読み方や誰が何家の人かなどを確認せずに済んだからだろう。六地蔵様とその不気味な同様をなぞらえた殺人事件という、王道を突き進みつつ作者の非凡なる才能により新しく重厚な物語を構築してしまっているのだ。他の作家とは確実に一線を画す格式ある文体がくせになる。また恐怖に面した際の人間の心理描写が秀逸。
    見せ場たる謎解き部分はやはりいつもの何重ものどんでん返しの連続なのだが、それでも今回は読者が既に見抜いているであろう謎の比重が今回は高く、さほど混乱せずに読めた。三津田さんの真骨頂たるこの謎解き部分の焦りがあまり好きじゃないけど、それに眼を瞑ってでも手に取り、読みふけってしまう名作。
    今回もあまり怖くないです。

  • 2011/5/29読了。トリックや事件も凝っているし面白いと思うが、どうも京極の百鬼夜行シリーズのようには好きになれない。これまで通り戦後すぐの田舎が舞台で、原日本的な装飾も多分に出てくるのだが、それがどうにも嘘っぽい。空気感がないというか。キャラクターも味がなく、特に主人公探偵の刀城言耶に魅力がないのが致命的。自分がキャラ小説を読みすぎた反動か、とも思えるが、こういう作品はキャラが立ってなんぼだと感じる。

  • 208ページ時点の考察。
    靖美が金(もしくは金山)を独占するために立一家族を殺害。怪異に遭い、おかしくなったふりをしている。

    読了後の感想。
    推理したことが、全部当たって全部外れるといういつものパターンが楽しませてくれる。
    そして最初に適当に考えたことが案外当たっていた(笑)。
    ここまで清々しいまでの連続殺人モノはなかなかないので、本当にこのシリーズに手を出して良かったと思えた。

  • まさに浅見光彦が金田一の事件に対峙したかのような。
    1作目よりも火サス感の強い作品。
    前作で刀城言耶がいなかったのは此処に来てたからか〜と、シリーズ物ならではの繋がりが見えるのも嬉しい。
    ちなみに、私の中の浅見光彦は中村俊介。

  • 三津田信三2作目。
    刀城言耶シリーズの四作目。
    首無よりおもしろかった。
    相変わらず話はおもしろくなかったけど、犯人の動機になるほどねーと思ってしまったので笑
    犯人自体は自分もだけど1番みんな予想してそう。
    トリックはやっぱりほとんど全部おもしろくなかった。自分だったら気づくのにと思っちゃったりするし。
    最後の20ページくらいの話の終わらせ方、演出がよかった。

  • 刀城言耶シリーズ第四弾。
    山村の風習の成人参りでの怪異と恐怖の体験を聞きつけ忌み山に訪れた言耶だったが、不可解な連続殺人事件に巻き込まれる。真相は如何に。
    シリーズを順番に読んできていますが、今回のが冒頭から1番おどろおどろしい作品でした。
    内容に関しては情報量が多くて整理するのが大変です。
    解決編では毎度の如く言耶の迷走推理が披露されどれも説得力があるが、いや違うんかい!っと突っ込みたくなる気分にさせられます。
    真相は、頭の片隅にあったことではありましたが経緯は思いつかなかったです。
    次は短編1に進みます。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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