- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062879774
感想・レビュー・書評
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天皇がいかに多忙で、自分の時間が少ないかを再確認。生まれた時から「それが当然」という環境で育っていなかったら、とても耐えられないだろう。
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購入場所:あおい書店 六本木店
読書期間:2009年3月12日〜2009年3月23日 -
(200902)
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授業のネタに読んでみた。外国の要人が迎賓館を使えるのはどんな時?とか、疑問に思っていたことが色々解決。
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天皇が行われている「ご公務」を、仕事内容によって分類したうえでわかりやすく解説している本です。普段あまり知る機会のない陛下の日常が、細かな部分まで記述されていて、面白く読ませてもらいました。
天皇が「国家機関」として行われる(字面だけを見ると廃れた憲法学説であるところの国家法人説を連想させますね)国事行為、外国にたいする日本の代表としての仕事、国民との交流を目的として行われる仕事など、本書を見ると、陛下が様々な役割をなさっておいでだということがよくわかります。年間700件以上のご公務をこなされる陛下は、私の想像するよりもはるかに多忙な日常を送っておいでのようでした。それはもう、読んでいるだけでこちらが疲れてしまうほど。「人に会う」ということが人間にとって極めてストレスフルな行為であることを思うと、陛下のご心労はいかばかりなものか、想像すらできません。
全体としては、国事行為の記述などよりも公的行為のほうに本書のウエイトが置かれており、とてもわかりやすいものです。一方で、内奏や進講などといった政治性の高い仕事については、あまり公表されないためか記述も控え目です。去年ニュースにもなったベルギー国王の動静を始めとして、ヨーロッパの王室の多くが、自国の政治に介入する余地を残しているのと比べると、日本の「君主の行為から政治性を排する」姿勢は徹底しているといえるでしょう。それは、もちろん憲法規定によるものという側面もあるでしょうが、古くは大正政変の折に尾崎行雄の行った演説が示すように、天皇の言動を政治利用する余地をなくすことが民主政治のシンボルの1つとして強く意識されている、ということが大きいのかもしれません。
(2009年2月入手・読了)