彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
3.76
  • (144)
  • (279)
  • (230)
  • (26)
  • (8)
本棚登録 : 2802
感想 : 243
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062940030

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 主人公はいきなり棺桶の中から目を覚ます。少し先の未来の話であることを強調するための目的としてのインパクトは大で作者の思惑通りなのだが、森博嗣らしさというか、それ以上の過剰な未来の説明はなくもちろん棺桶もその後は机に成り下がって話は進んでいく。このドライさとあまり音が聞こえてこない静かな空間で話が進む感覚が、本に閉じこもることが目的で読書をしている場合、大変心地よい。
    ウォーカロンというアンドロイドの超進化系と人間に、どれだけの違いがあるのか?一冊かけても答えは出ずむしろどんどん複雑化していく。読んでいるうちに、果たしてこんなにややこしいなら区別をつける違いはあるのだろうか…と主人公と同じ気持ちになってくる。主人公のハギリ博士はややこしいから区別しないなんて暢気な発想ではないだろうが…。しかしそれと同時に、無意識に人間という種の保存に同意して読んでいるし、ウォーカロンを自分たちの子孫とするには抵抗がある。見た目も内臓も生身のヒト、感情があり意思があり知能とすればヒトより上。では保存されるべきナチュラルな人類とは、何をもってしてナチュラルと言えるのか。インスピレーションがあること?子供を産めること?同じ人類を殺したいと思えること?すべてプログラミングしてインストールできることなのでは?考えれば考えるほど差は軽微だ。シリーズを通してハギリ博士の思考の行き着く先がどうなるか、興味深くみていきたい。

    マガタ博士が出てきたのはFシリーズからひとっとびにこのシリーズに飛んできたわたしには想定外の喜びだった。マガタ博士という固有名詞で、物語が一気にSF感を増すのがたまらない。

  • なんかいつか現実になりそうな話。
    いつでも森博嗣は森博嗣だなぁって感じ。
    そしてまだマガタ博士出ますか・・・!!
    引っ張るなぁ。

  • アンドロイドは電気羊の夢を見るか?に着想を得た作品なんでしょうけど、作者が理系なので考え方もかなり理系的ですよね。
    そこらへんの思考を読むのは楽しかったのですが、森博嗣の理想的な超人がここにも出てくるんですね……。きっと森博嗣にとってこのメアリースー的な存在は圧倒的なんでしょう。私はこういうのが苦手……というか、もう少し魅力的に書いてあったらいいのに。
    不安に包まれたシリーズ一作目。さてどうなるのかな……。

  • Wシリーズ第1作。
    えー「すべてFになる」とか、最早まったく覚えてないし〜。ミステリじゃなくてSFだな、こりゃ。
    各章の冒頭に「電気羊…」が引用されてる。そう言えば、先週「ブレードランナー2049」観たところ。あんまり関係ないけど。

  • 森先生の本は、すべてがFになるの一冊しか読んだことがないが、とても好き。今回の新シリーズもとても期待していた。1冊目は結構時間をかけて読んだ。人間とワォーカロンの区別、とても哲学の問題だと思う。クローンの羊は、羊なのでしょうか?という質問が頭から離れない。

  • ハギリ博士はわりとアツい。続きを読みたくなった

  • 未来の世界とそれが抱える問題など、SF感は抜群。
    でもシリーズものとは言え、もう少し謎を明らかにしてから終わって欲しかった。

  • 【あらすじ】
    ウォーカロン。「単独歩行者」と呼ばれる人工細胞で作られた生命体。人間との差はほとんどなく、容易に違いは識別できない。研究者のハギリは、何者かに命を狙われた。心当たりはなかった。彼を保護しに来たウグイによると、ウォーカロンと人間を識別するためのハギリの研究成果が襲撃理由ではないかとのことだが。人間性とは命とは何か問いかける、知性が予見する未来の物語。

    【感想】

  • 近未来の世界観は魅力的。もうちょっとアクションシーンが派手だと攻殻機動隊シリーズみたいに映画化されそうなくらい。
    ただ最後に真賀田四季が出てくるのが…。新シリーズなのにまたマガタ神万能説を使ってしまうのか、というのが少々残念

  • 完全な続き物と知らずに読み始めてしまった。一番知りたかったことの真相はここでは語られないので次を読むしかない。
    今どき、というのがハギリの口癖なのか、どんな世界が広がっているのか想像する楽しみがあった。宿で、今では珍しいご馳走というのが出てきたけど、随分と味気ない世の中になっているのだなと。
    人間と人間ではない者の世界を想像する上で、人間とは何かを考える機会になって面白かったが、会話やハギリの考察部分が多いので後半は飽きかけた。いつもマガタ博士に翻弄されている感じがしっくりこない。

全243件中 101 - 110件を表示

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森博嗣の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×