能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065324059

作品紹介・あらすじ

能力は遺伝するのか。そもそも「能力」とは何か。そして「遺伝」とは何だろうか。実はわからないことだらけの領域を第一人者が解説!

感想・レビュー・書評

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  • とても興味深い内容だったが、文系人間には結構難しかった。

    遺伝の研究は双子による臨床研究が知られているが、一卵性と二卵性による遺伝の確率の違いがきちんと数値で表れていることに驚いた。

    能力…というのはただ頭がいい、というだけでなく、集中力や継続力なども含めてのものであるというのは、ちゃんと考えたことがなかったが、ごもっともなことだと理解できた。

    残念ながら、netgalleyでは多くのグラフや統計は伏せられていたので、理解が深まらない部分も多かった。
    netgalley7.30

  • 遺伝子の不都合な真実・・・・・・
     
    遺伝子学の専門家による『遺伝子って、ぶっちゃけ人生にどれくらい影響しているの?』を明らかにしてくれる一冊。
     
    正直、専門用語の連発や、多用されている図も何を言いたいのか分かりにくいものが多く、専門外の者には難しい書籍ではあります。
     
    それでも伝わってくること。
     
     人生への遺伝子の影響は大きい
     
    環境だって遺伝子の影響がある。
     
    読書の目標としていた『遺伝を理解した上で、自分の能力を伸ばす!』というところは本書からは得られませんでしたが、『遺伝子に抗うことは所詮難しいことなんだな』ということを理解できただけでも意義のあった一冊でした。

  • もう少し一般人でもわかるように書いてあるのかと思いましたが、専門用語が多く、この手の本を読み慣れていないので難解に感じました。

    こんな私でもわかったことは、大谷翔平や藤井聡太と私達の遺伝子は99.9%まで同じなのに残りの0.1%のDNAの塩基配列の違いが大きな差になるということ。ヒトの遺伝子は30億個の塩基対からなっておりその0.1%である300万ヵ所に個人差があるということ。そう思うと遺伝だけを考えても大きな差ですね。

    唯一、一卵性双生児に限っては遺伝的には同じ条件で生まれ、心も類似するという。しかし、非共有環境の影響によりパーソナリティの違いが出るらしい。非共有環境とは、同じ家庭で生活する人同士で異なるだけでなく、同じ人の中でも時と場合では異なる特殊な要因であり、予測することも統制することもできない偶然要因とのこと…。難しいですね。

    私には一卵性双生児の孫がおり、1歳前から性格の違いを感じていた為、本書に興味を持ち献本に申込みをさせていただきました。まさか、当選するとは思っていなかったので、驚きました。本書を読む事により、知りたかった事が少しわかった気がします。ありがとうございました。

  •  遺伝対環境。どちらが重要なファクターか?

     結論は両方。しかし、遺伝的に決まる部分が大きい、とする。ヒトの遺伝の研究は一卵性双生児と二卵性双生児の差異を見ることで進歩してきた。

     しかし、ある遺伝子がこのファクターに直結…という単純な話ではなく、遺伝子aとbとcが重なるとこれが出やすい、ということだそう。

     知能と遺伝の間には相関があるが、さらに強い相関があるのは、知能と学歴、だそう。この部分は、パティシエは甘党の傾向がある、というようなもので「?」な感じ。

     親ガチャはある。しかし、本人の適性に合った、能力開発をしていけばそれも克服できる、とする。(直前に「人口ゼロの資本論」で親の所得と学歴はリンクする、と読んだばかりなのでこの部分、うのみにはできないが)

     豊富な図表と引用で、遺伝学というのがこのような学問なのだ、と知れたことも収穫。

  • 双生児の調査で遺伝の影響が明らかになっている、そんな知識はあったが、本書に掲載されている大規模調査の結果は、残酷なものに思えた。
    想像が付きやすい顔立ちや身長、影響があるだろうな思える走るなどの身体能力。それだけでなく、協調性や外向性などの精神的と思われるものまで遺伝の影響は色濃く、ざっくり半分程度を説明するという。
    驚いたのは環境までが影響されているということ。単なる外部要因と思えるが、自分の行動が環境に影響を与えることで、結果的に環境にも有意な差が見られると理解した。
    遺伝が半分だとしても残り半分は運とか、ちょっとした心がけの差異とか。全部ひっくるめて自分なんだから、キチンと付き合わないといけないな。

  • 途中、論文のような図や説明があり難しかった。作者の独特な表現もあり、内容が入りにくかったが、独自の意図があり興味深い。
    遺伝と環境要因が複雑に絡み合い相互作用していく中で、自分らしく生きることを前向きに考えたくなる。たとえ自分に前向きな遺伝子が少なく、前向きな環境に置かれていなくても。

  • 人間ならばDNA配列の99.9%は同一
    つまり、世に才能を知らしめる人と凡人の差はDNA配列0.1%の範疇ということ
    しかしながら、0.1%に相当する塩基対は300万ヶ所
    遺伝的多様性はこの組み合わせで生じるのだが、実にゼロが2万個以上並ぶパターンらしい
    あまりにも組み合わせが多いので、例えば身長を構成する要素だけでも、社会集団全体の分布と一組の家族内での分布がほぼ重なる
    つまりはどんな両親の元でも突然変異は起こるのではないか?と受け取れたが、理解が追いついてない…

  • 2023.07.11
    遺伝を正面から受け止める必要性を改めて感じる。
    私の理解では、遺伝と環境(生育環境)は、ある意味ではニワトリと卵の関係にも思えてならない。
    遺伝を否定しても、環境を否定しても、正鵠には達しない。相互作用が働くからである。
    本書を人文学的にさらに身も蓋もなく述べているのが橘玲氏の著作である。
    両者の作品を読み比べるとさらに理解が増す。
    なお、本書はブクログさまからご恵与いただきました。改めて御礼申し上げます。抽選に当たって嬉しいです。

  • この本を読む前は遺伝の影響もあるが、成長してからの環境や行動が社会的な立場を左右すると考えていた。

    その考え方は合っている部分と間違っている部分があった。
    遺伝は非常に複雑である。また、能力が発揮されること自体も想像以上に単純ではない。
    大前提としてあらゆる能力に関することに遺伝が影響を及ぼしている。そして、遺伝情報は外生変数であり、環境などの外的要因の影響を受けない。遺伝情報はセントラルドグマである。
    本書では能力と才能という言葉を使い分けているが、才能は遺伝と学習、社会的な文脈が合致したときに発揮される。
    さらに、能力も個人間・個人内・環境のレベルの確率状態が影響する。

    後半には行動遺伝学の発見についての説明、知能に関する遺伝の影響を図るポリジェニック・スコアについて書かれている。

    遺伝のことについてわかっていることとわかっていないことを峻別し、そのうえで倫理的な判断を下すようにしていきたい。

  • 遺伝と生活環境と交差因子が多くて、0、100の議論は難しいなりに、どのような手法が取られてきて、どのような成果が知られているのか解説している。

    男の子っぽさ、女の子っぽさ、社会性なと興味深い。

    一読では表面的なところに終始してしまい、もったいなかったかも。

    ブルーバックスって、確かにこういう位置付けだと思うが、素養や興味がないと読み進めるのはきつい。他国での著名な本のの翻訳本とかの方が読みやすいように思う。
    まぁ、専門的な話でも、こうやって一般向けに売られるいるというのが、恵まれた環境なのだと思う。

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授
主要著作・論文:『生まれが9割の世界をどう生きるか―遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SBクリエイティブ,2022年),『なぜヒトは学ぶのか―教育を生物学的に考える』(講談社,2018年),『遺伝と環境の心理学―人間行動遺伝学入門』(培風館,2014年)など

「2023年 『教育の起源を探る 進化と文化の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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