- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087463156
作品紹介・あらすじ
異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。
感想・レビュー・書評
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深い闇の部分を垣間見たような感覚になる作品です。日本という国土固有の精神性が色濃く反映された作品で、ホラーともミステリーとも取れ、またある意味ノンフィクションかのような錯覚を想起させる作品でもありました。
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20221017 読了
3.5評価で四捨五入☆4つ
1日に1冊読めたのは何年ぶりだろう。
ついつい没頭して8時間ほどで読破。
ジャンルだと、サスペンス系になるのかな。
作中に出てくる某作品の結末が描かれていなかった事、
ラスト3行が腑に落ちなかったので評価4にはならず。
個人的には昔から好きな作家さんの1人です。 -
異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。
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異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿ってい...異動先の編集部で、偶然目にした未発表の原稿『聖域』。なぜ途中で終わっているのか。なぜこんなに力のある作家が世に出ていないのか。過去を辿っていくと、この原稿に関わったものは、みな破滅の道へと進んでいる。口々に警告されるが、でも続きを読みたい、結末を知りたい。憑かれたように実藤は、失踪した作家、水名川泉を追い求め東北の地へ。そこで彼が触れたものは。長編サスペンスの傑作。2022/06/04
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出版社の不人気文芸誌に異動させられた実藤。実藤の異動の直前に突然退職した篠原のデスクを整理している最中に『聖域』と題された小説の原稿を見つける。そこには魑魅魍魎と戦う慈明上人の壮絶なるストーリーが綴られていた。しかし、500枚以上の原稿はみかんであることに気がつく。作者の水名川泉の行方は、関係者も誰も知らない…。
いや、面白い。ここのところ、悪い言い方をすると"薄い"小説ばかりを読んできていたので、本作はゴッテリと重く濃厚だ。登場人物は実藤、泉以外はほとんど動かないし、多少何人も増えたところで、まったく「誰だっけ?」とならない配分がなされているのは、最近読んだ本の中でもずば抜けてよかった。
前半では作中作『聖域』のストーリーあらすじが記されるのだが、あらすじなのか本文なのかという振れ具合が少々ひっかかり、早く終わんないかなと思ってしまったのは事実である。
その後の水名川泉探しと、死後の世界を目の当たりにする、大きな事件こそ起こらなくなるものの、ゆらぎ繰り返される感覚も、冗長には感じない。最終的に結末を手に入れられるのか?ということすらどうでも良くなっていくのである。
口寄せ、イタコと死後の世界というのは、ちょっとやりすぎな感じはあったものの、篠田節子らしい切り口で、決して胡散臭かったり、必要以上に語るわけでない部分は好感が持てた。
長い作品だが、読む分にはさほど長く感じないのではないか。それくらい完成度は高い。 -
読み始めから
グイグイ引き込まれました。
先はとんな展開になるのか
見つけられるのか・・・
完成できるのか・・・ -
週末を利用して一気読み。最初は単なるミステリー、サスペンスの様相だったが、中盤からは死と生、仏教の世界などを盛り込んで、スケールアップ。最後までそのスケールとスピード感を保っていたのも、文章が読みやすいということと無関係では無さそう。篠田節子の小説を初めて読んだが、もう一冊読んでみようという気になった。
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関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。
文芸部へ移動となった編集者・実藤は、辞めていった前任者・篠原の残していった荷物の中からその原稿を偶然見つけ、得体の知れぬ魅力を秘めた世界に引きずり込まれる。
この小説を完成させたい、と、失踪した女流作家・水名川泉の行方を捜し求める実藤は、「聖域」の舞台である東北へ辿りつく━
長編サスペンス。
古い作品(1994年刊行)だけど、作中に携帯電話とか出てこない不便さのあるところが時代的で良いと。
すぐ連絡とれたり検索できたりする現代だと違った展開だろうか?と思ったり。
水名川泉を追っているところがハラハラしました-
死生感、宗教、救いのありかた、いろいろ思ったけど文にするのは難しい…
面白く読みました。 -
異動先の編集部で偶然見つけた未発表の未完原稿に魅了された実藤が、僧侶が主人公のそれの続きが読みたい、結末を知りたい一心で、失踪した謎めく作者を追い求め、ついに見つけた新興宗教のイタコな彼女に、故人が夢に現れる中、続きの執筆を迫る。現実の動きと導入部の作中作に隔たりがなく滑らか。自然体なみっしりさ。
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篠田エンターテイメントはやはり読み応えがある。面白い。しかしこれは、そもそも主人公である実藤に魅力が乏しく、また、彼が小説「聖域」にそこまで強く惹かれる理由に説得力が足りなかったように思う。そして、周囲の人々がことごとく水名川泉を忌避するのも大げさな謎かけっぽくて納得感が薄かった。
何かに憑りつかれた男の人生の顛末を描くことこそが著者の本分で、あの世とかこの世とか実相とか色即是空とかは本来的なテーマではないのだと思うが、どちらかというともっとそっちへシフトした物語が読みたかったな、という気持ちにさせられた。 -
以前この著者の本で「仮想儀礼」というのを読んだことがあるが、それも宗教がテーマのお話だった。この本も「宗教」や「信仰」にかかわてくる。かわったテーマでなかなか面白かった。