本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087463538

感想・レビュー・書評

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  • 短歌の世界に爆弾を投げ込んだ、幾人かの英雄のうちのひとり。
    (そのうちのひとりは寺山修司であることは間違いない)

    なのにどうしてこんなに親しみを感じてしまうんだ。

    彼はきっと読者に対して多大なる情報操作をしている。
    身辺雑記であるにもかかわらず、本当の日常が見えてこない。
    僕はミーハーな女の子ではない。
    だまされてはいけない。
    (人生初のあだなが事務でこっそり呼ばれていた「修行僧」!)

    たぶんそれは、どこか「かわいらしい」ためだ。
    かまってやりたいぬいぐるみのような。

    この人のもつ絶大なモテオーラには負ける。
    他の人だったら悔しいのに、この人は許せてしまうのだから、負ける。
    高橋源一郎を認められない「文学硬派」を自認しているが、この人だけは。

    つまり、好きになってしまったのだから仕方がない。

  • 地獄の汁のような味
    何故そんな本が家にあるのか。買ったのである。何故そんなことをしたのか。素敵な自分になるためだ。
    失礼ゆえの真実
    未来永劫教育テレビしかみられない

  • トイレや電車の中などで
    手元に欲しい、日常に溶け込む本。
    パラパラと読み返したくなる話ばかり。
    言葉選びのセンスがとても好み。
    不器用と見せかけて器用すぎる人だ。
    スキーの手袋とツナマヨの話が印象的。

  • 本の題名からして、穂村さんの叫びに似た声が聞こえてきそう。
    素敵レベルを上げたいけどあげられない、というエピソードが満載。
    くすっと笑って油断していたら、じんわり感動する話を入れてくる。
    ほむほむワールドにはまってしまった。

  • 活発なエネルギーに満ちたタイプとは真逆で、頭で考えることばかり先行して、行動的ではなく内向的で妄想にふけり、どこか冷めているのにコンプレックスは強く、いい大人なのに自意識過剰、そして残念ながら覇気が感じられない。
    紛れもなく著者サイドの人間であるぼくにとってこのエッセイは、心の拠り所でもあり、生き方の手本たりうるものでもある。

    世界は恐怖に溢れている。そこに何か滑稽な、笑いを発見できる能力。好奇心旺盛といっても、いろんなことに手を出すことだけではない。観察力・洞察力でもって言葉にアウトプットできるのなら、世界はより美しく映るのではないだろうか。

    巻末の三浦しをんの解説は、穂村弘の人物像を的確に言い当てている。

  • 「穂村さんは虎にはならない。」

    自意識が強すぎるゆえに、常に冷徹なまでに自己を観察。エスプレッソとの格闘に始まる大いに笑えるⅠ章。本や文芸に関する考察が嬉しいⅡ章。笑いを突き抜けた先にいる穂村さんが見えるⅢ章。理想の自分と現実の自分とのギャップを埋めるための穂村さん一流のユーモアが炸裂。

    小学校時代クラスの中で自分にだけあだ名がないことを恥じ、
    「影のうすい人」として雑誌のインタビューにその痛みを語り、
    スポーツジムにおいては「修行僧」と呼ばれ友達ができなかったと嘆く。

    自意識が強いということは常々穂村さん自身が書かれていることだがそれは
    中学校時代年賀状を熟読して女の子からのものを深読みしてみたり
    本人思うところの「もらえるはずのない」バレンタインのチョコレートに杞憂する件で
    頂点に達する。

    「自分が愛されようという気持ちで全身がぱんぱんになっていて、相手の言動には異常に敏感。しかし、こちらから誰かに働きかけるということができないのだ」

    なんだかね、このⅠ章を読んでいて、少々ニュアンスは違いますが
    「臆病な自尊心を飼い太らせた」結果虎になってしまった人の話を思い出したよ。

    自意識は飼い太らせると何になってしまうんだろ。
    何にしても「笑い」という方法で昇華させることを知っている穂村さんは虎にはならない。

  • 面白い!面白い!と読み進めて、何でこの本知ったんだっけ?と思っていたら、あとがきで分かった。三浦しをんがエッセイに書いてたんだった…。
    三浦しをんのエッセイ程のシンパシーは感じないが、ダメっぷりが面白い。ダメっぷりに共感できる。

  • ほむらさんの言う「こわい」という言葉が、あらゆることに対してクリアな視点を持っているっていうことがわかる。
    おそろしくネガティブなところも好き。
    きっと再読する。とても面白かった。
    おれは本当はこんなはずじゃないんだ…!って思ってるよ、毎日…

  • エッセイ集。「ひとりの時間の濃さ」をしてその女性を「美しい」と言う最後の一編がいい。「本来は誰だってその人ひとりの時間を生きている筈」なのに、多くのひとはたいてい「その事実から曖昧に目を逸らして」生きてしまっているからだと、穂村弘は書く。だからこそ、「身のこなしのひとつひとつがひとりの宿命を感じさせる」女性(ひと)を好きにならずにはいられないのだ。すごく納得、個人的に。

  • 消極的すぎて笑ってしまうけど、穂村さんの感覚はとても共感してしまう。

    充分、素敵レベル高い人だと思うわ。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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