千年樹 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 134
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465433

感想・レビュー・書評

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  • 短編ではあるものの
    千年生きた樹にまつわる物語であり
    どれも時を超えて繋がっている。
    不思議ながらもホッコリしたりこわかったり

  • 泣きました。

  • 千年の時を経て、人々を見つめ続ける大木。その木を中心とした、現代とむかしの物語が交錯する。「托卵」など後味のザワっとするようなお話もあり、良い意味で荻原先生らしくない物語も。一つの短編に二つの時代、そして全てが連作短編になっているところなど、その技巧にも驚かされる。

  • いずれも尻切れ。モヤモヤしか残らない。

  • スタートの話から悲しくなる話なのだが、最後まで続きが読みたくて仕方がない短編集であった。短編と言えどくすの樹を中心にいろんな話がつながっているのがさすが。でも、荻原浩でも笑いの少ない荻原浩です。

  • 1000年と遠い昔、父と母と一緒に山中に逃げ、最後は餓えと寒さの中で息絶えた小さな幼子。その幼子が口からこぼれた種が芽吹いて、クスの大樹となる。
    そのクスの大樹のある風景の中で、現代と過去をオーバーラップさせながらたくさんの人間のドラマが語られる。
    どの話も物悲しく切ない。この大樹は暖かく包み込むようなこともなく、祟り神のように悪さをするでもなく、ただただ静かに人間の営みに耳をすませている感じ。時々出てくる1000年前に亡くなったであろう幼子の化身も、人を助けるでもなく困らせるでもなく、ただ大樹の周りに吹く風のように無邪気だ。
    それでも人々がこの大樹に大小様々な想いを持って、何となく頼っているような気がする。褒められたい、怒られたい、慰められたい・・・。
    千年樹。私はこのクスの大樹に父と母のような偉大さを感じました。

  • 巨樹の周りで繰り広げる、時代も人も交差しながら進むストーリー。どんな人やことにもほんの少しづつ巨樹がからんできて、千年の歴史の中で周りの人間たちがどういう風に右往左往してきたか巨樹から見下ろすような一冊です。

    少しづつ時代と人が交差してくるのがとっても面白いんだけど、ラスト綺麗に伏線回収して欲しかった。

    綺麗に丸っと片付けてほしかったなぁ。っていう残念感だけ残りました。

  • 荻原さんっていろんなジャンルの作品が書けるんだなぁ。この本は救いようのない悲しい気持ちにさせる内容。短編集だけど連作短編集で内容も重いので、どっしりとした長編を読んだ気分になった。樹齢1000年のくすの木の下で繰り広げられた哀しい人生の一コマや人生の終わり。平安時代、逆賊に襲撃され妻子と共にこの木に辿り着いた国司、第二次世界大戦中、たった一人で逃げてきた子供、好きな男と遊郭から逃げてきた女郎。どの人生も哀しい。救いのない哀しみいっぱいのストリーなので落ち込んでいる時は不向き。

  • 2017.7.1(土)¥150(-2割引き)+税。
    2017.8.12(土)。

  • 千年の昔、餓死した子どもの口から飢えて舐めていたクスの種がポロリと零れ、大地に根を張り巨樹になりました。この作品はその巨大なクスの樹の下で起こったあらゆる人々の悲喜こもごもの連作短編集です。命短し人間の愚かで悲しく美しい面々を淡々と見つめた巨樹には、小さな子どもの精霊が宿っています。木の下で局面を迎えた人々は樹の霊に翻弄され、救われたり死に導かれたりする。御神木となった巨樹は人々を助けたりしない。ただ高みから尊大に見下ろしているだけ。ドラマチックで悲しく少し怖い短編集でした。

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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