千年樹 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087465433

感想・レビュー・書評

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  • 時代を超えた「樹」にまつわる連作短編集。
    怖い話も良い話もあるが,娯楽という意味では微妙な出来。

  • いじめに悩む中学生の雅也がくすの巨樹の前で自殺を考える「萌芽」。
    タイムカプセルを埋めようとした幼稚園児の雅也と、こまどり組の17人が、木の下からガラスビンを発見する「瓶詰の約束」。
    くすの木の下で男を待つ女が、かつて同じ場所で男を待ち続けた女と出会う「梢の呼ぶ声」。
    木を上司や生徒に見立ててナイフで切り刻むのが日課の中学教師と、過去理不尽な切腹を命じられた男の運命が交じり合う「蝉鳴くや」。
    人を殺そうとしていたヤクザを昔ここで人を殺した盗賊の運命が救う「夜鳴き鳥」。
    ドライブ中偶然巨樹を発見した家族の前に150年前の間引きの風習と母の苦悩が蘇える「郭公の巣」。
    祖母の初恋を知った孫娘の共感を描いた「バァバの石段」。
    市役所職員となった41歳の雅也が、かつて自殺を試みた「くすの木」の伐採に立ち合う「落枝」。

    物語は、時に短編一編内で、また時に短編間の枠を超えて、時代を超えて交錯する。巨樹「くすの木」は千年にわたってすべてを見ていた・・・。

    ノーマークだったけど面白かった。
    最初やばい怖い話か?と話の筋が見えなかったけど、あれがくすの木の始まりだったんだね。

    ばぁばの石段が心暖まって好きだ

  • 長い年月の間、人間の生き様と死に様を眺めてきた巨樹。時代を超えるドラマを時に冷たく、時に温かく見守る姿がとても神々しい。
    それは作者の荻原氏の作風でもある。悲劇もどこか心穏やかになる文章のテクニックは、氏の懐の深さから生まれるのだろう。
    BGMは中島美嘉「桜色舞うころ」。

  • そこに植わっている楠木は、昔々から人間の歴史を見てきた。
    争いの果てに死ぬ人間と争うことを決心して生き続けようとする人間。
    戦争中にビンに大切な物をいれ保存していたものが
    時が流れて小学校のタイムカプセルを埋める時に発見される。
    男が来ないと分かっていても、自分のいいように考え待ち続ける女たち。
    ヤクザな世界で生きる幼い男たち。
    カッコウのような女たち。

    昔と今と同じような人物たちを書き、
    時代が変われど、人間のやることはさほど変わらないということ。
    それをホラーっぽい感じ、ミステリーっぽい感じ
    青春小説っぽい感じ、いろいろなテイストで書いてある。

    荻原さんって、色がきまっていない。
    読む本ごとに違う感じだ。
    それっていいのか悪いのか分からないけど。

    ( ・_ゝ・)<余韻を残す一つ一つの短編が集まり長編になる

  • この短編集は、性に合わんかった。
    全てに尻切れトンボ感があって、もにょもにょする。

  • 4月-10。3.5点。
    神社内にあった、樹齢千年のくすの木。
    この木にまつわる、連作短編。
    過去と現在が交錯しながら、どっちかというと悲劇が中心。
    読後感が良くないとのレビューもあったが、
    読ませる力があると思った。

  • のっぺりと田んぼが広がる風景の中
    一か所だけこんもりと緑が盛り上がったところがある。
    そこには小さな神社と、一本の大きな木がある。
    そんな風景を見ると、和んでしまう。
    日本人だなあ。
    そんな、鎮守の森は、人の営みをやさしく見守っている
    というイメージが染みついている。
    トトロもそのイメージの延長ですね。
    でも、そんなイメージで読み始めると
    しっぺ返しを食らいますよ。
    そんなものは人間側の勝手な解釈だって。

  • 荻原浩さんにしては、読後感がダークだと思った。
    正直に言うと読後感があんまりよろしくない。それはまぁ、本に引っ張られての事だから、力のある本なのは間違い無し。ただ、好き嫌い分かれるかも。

  • 1本の木を中心に語られる今昔。

  • 子盗りの木の下で繰り広げられてきた人間模様が時代を超えて交錯し、悲しみをまとってずっしりと重く描かれている連作集。仄暗いという言葉がぴったり。なんともやるせない読後感。好き嫌い分かれそうだけど、私はそのダークさに曳き込まれた。面白かった!

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著者プロフィール

1956年、埼玉県生まれ。成城大学経済学部卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。97年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞。14年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞。16年『海の見える理髪店』で直木賞。著作は多数。近著に『楽園の真下』『それでも空は青い』『海馬の尻尾』『ストロベリーライフ』『ギブ・ミー・ア・チャンス』『金魚姫』など。18年『人生がそんなにも美しいのなら』で漫画家デビュー。

「2022年 『ワンダーランド急行』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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