右岸 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087467949

感想・レビュー・書評

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  • むーん

  • 週末はわけあって家でごろごろしてたので、一気読みでした。
    左岸を読んでから少し経っているので、若干記憶のあやしいところもなくはなかったのですが、ほとんどは覚えていたので、いい感じに謎解きができたように思います。
    あのとき、九はこんな気持ちで茉莉と接していたのかとか、事故の真相とか、茉莉と会わないようになってからの生活等々。
    いろいろ大変だったみたいです、九も。

    ただ、私は自分が女だからか、「左岸」のほうが好み。
    もちろん「右岸」がなければまとまらない大作ではあるのですが。

  • 右岸の下巻を読み終わった。
    左岸よりましだったとはいえ、何も残らない小説だった。
    人の一生を描くという試みは成功といえるかもしれないが、だから何?みたいな感じであった。

  • 左岸とは違い九の目線で書いたお話。
    なぜ、あの時に九はこんな行動を起こしたのか、というのが分かって面白かった。
    人はどれだけ抑制しても目先の欲に目がくらんでしまうんだな、と感じた。

  • ちょっとハチャメチャな気もしないでもないけど、いろんな人生があるよな、と思った。でも九にも穏やかな平凡な、人生後半の静かな、温かな人生がやって来そうに思えて、良かった。

  • あみとさき

    きゅうとまり

    そういちろうとあらたときよ

    ななとたくみとぎんじ

    それぞれの運命

  • 特別な能力や才能を持っている人には、
    その人しか知らない悩みがあり、
    苦しみがあり、悲しみの物語がある。


    ごく普通の生活を送れることにこそ、
    晴れた青い空を綺麗と感じ、
    吹き抜ける風を心地よく感じ、
    何気ないひとときを幸せと感じる。

    この小説によって、そのことを再度認識させてくれました。

  • 九の回顧録が描かれている場面が登場します。

    下巻は
    愛する妻を失い
    九自身も事故に遭い
    記憶を喪失したまま
    パリから帰国した場面から始まります。
    そして
    九は静かに植物を育て森を作ろうとします。

    九の知らないところで
    ひとり歩きする九という人物。
    才能を
    ひけらかしたり自慢したりしてはダメ。
    それをしてしまうと、
    人の目は変わってしまうから。

    マジックだと納得するのに、
    超能力になると
    何か神がかりな力を見出そうとする人。

    奇跡を見せてほしいとせがむ人。

    人が人を救うことは可能なのか。


    九は記憶を取り戻すのか。
    その先に待っているものは何なのか。

    人間の一生を2冊にまとめると
    こんなにもはしょらなくちゃいけないのかあ。

    後半の九はどんどん人間味があふれてきます。
    やさぐれてみたり、体たらくになったり。

    九が黄色いオババからもらう言葉たち。

    「辛いのが基本さ。
     幸せが基本なんて者は実はどこにもおらんのだ。」

    「悲しみはまぎれもなく全人類、
     王様だろうが何だろうが、
     すべての人間に与えられている。」

    人は生まれて死ぬ。
    必ず苦しみと悲しみを抱えている。
    それをどう受け入れていくのか。
    苦しみのついでに、ささやかな幸福がある。

    九自身が変化していくように、
    周りもまた変わっていく。

    そして大切なひとがまた一人旅立つ。

    臨終の際にあらわれた七。
    死んでもなお九を想い続けるネネ。

    講演会の舞台に立つ母親の七を見た九が、
    説教や脅迫よりも
    希望を見出してほしいと思う場面。

    人間は間違えるけど
    最後には軌道を修正しようとする力。

    駄目だけではなく、
    どこかに希望を。

    母親に対してそう思う九の場面は、
    読んでいて
    悲しいとも苦しいとも言えない気持ちになった。

    いったい九の人生は運命は何処に向かうんだろうと思ったけど、
    読後感はよかったです。

    たくさんの旅をして
    おとなになって原点に帰ってきた九。
    そこに待っていたのは。

    人生は川のよう。
    始まりは同じ場所のようでも
    下流に行くにつれ
    どんどん川幅はひろがり
    そして離れていく。

    向こう岸を覗くだけ。

    ぼくは右岸。
    あなたは左岸。

    そしてあの人もまた遠い川岸。




    左岸も読まなくちゃ。
    買いに行かなくちゃ。

    下巻はバントヒット!おー、って感じが。

  • これは面白かったです。
    左岸と右岸の順で読んで大正解。
    著者の本ははじめて読んだけど、こういうの書く人なんですね。
    エロさも含めて日々の出来事すべてをとおして生きることの意味を深く考えさせられる一冊。
    激しく盛り上がる最後ではないですが、一人の男の生き様がじわじわ浮かび上がってくるとともに、左岸の女との不思議な絆が強調されて泣きそうでした。
    ぜひぜひ、お勧めです。

  • 2012.5.22読了。
    左岸はとっても引き込まれるように読めたのだけど、右岸はそこまでのわくわくというか、楽しみがなかった。
    文体、文章、語り方、なんなんだろう?

    九ちゃんの特別な力とかオババの教えとか、そういうのは抵抗はなかったんだけど。
    でも、右岸・左岸どちらにも感じたのは、人生だな、これがってこと。楽しいことばかりじゃないし、悲しい事や辛い事もたくさんあるけど、そうして一日一日が過ぎていくのが、人生なんだなって。

    やっぱり、これは恋愛とい意味でのラブストーリーじゃない。人間愛のお話だ。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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