ホテルカクタス (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 356
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087477092

感想・レビュー・書評

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  • 生きることは、悲しくて美しいことだなぁと思わせてくれる作品。

  • 小説のような、絵本のような、不思議で優しくてちょっと寂しいお話です。
    「ホテルカクタス」というアパートで暮らす、帽子ときゅうりと数字の2の3人の日々。
    読んでいると、3人が人間のように感じられるのですが、きゅうりが濃緑色に日焼けする、というような描写で「ああ、そのものなのだ」と改めて気付かされるおかしみがありました。
    アパートの中庭に住む黒猫のお話もよかったな。
    好きな空気の世界でした。

  • 「ホテル カクタス」というアパートで暮らす、「帽子」と「きゅうり」と「数字の2」の物語。一番最初は、帽子とかきゅうりとか数字の2とかは要するになんなのだろ?と取っつきにくく、もしかしてつまらない寓話だったら嫌だなぁと、渋りつつ読み始めた。けれど。読み終わり、2度、3度と読み返すうちに、帽子ときゅうりと数字の2がなんとも言えず好ましく感じられるようになった。自分の普段聴いている音楽が、人といっしょに聴くとなぜかしっくり来なくて気恥ずかしい感覚、あるある。人でないからこそ、人の持つ心の本質がくっきりと出ていて、だからこんなに愛おしいのだと思う。

  • ‪江國香織さんのホテルカクタスを読み終わった。‬
    ‪大人の童話っていう印象。‬
    ‪主人公はきゅうりと数字の2と帽子。‬
    ‪これだけ聞くと、???ってなるけど、読んでみるとこの3人?の友情がなかなかいい。‬
    ‪短編連作みたいな感じだけど、どの話も少し切なさを感じたなぁ。‬
    挿絵も素敵だった。

  • その昔谷山浩子の『猫森集会』を読んだ時のような不思議な気持ちになれる本、と言いたいところだが妙なところでシュールで現実的。

    帽子(無職)・きゅうり(脳筋)・2(心配性)というホテルカクタス(という名のアパート)に住む住人の4年に渡る友情日常。

    3人の名前があだ名なのかな?と思うと妙に本当だったりするので困惑する。最初きゅうりだけに真っ直ぐだからイスには座らない、はずだったのに実家は南出身なのでよく曲がっているのが特徴とかもうどうすれば。

    再会を匂わせて物語は終わるが、続編は読みたいけどない方が良くて、そこがもどかしいんだけど読んだ人が各々想像するのが良いタイプのお話。

  • 江國香織のおりなす、大人のための童話小説。

    主人公達は「ホテルカクタス」というアパートに住む、きゅうり、数字の2と帽子。
    彼らを取り巻く日常は不思議と心地がいい。のに、どこかリアリティがある。
    そんな物語がたくさん詰まっています。
    挿し絵も素敵です。  
                              2017.3.21

  • 「もしもう一度おなじことがあっても、俺はおなじようにするだろうな」

    「ここが、ほかの場所よりいいって法はない」

  • 帽子と数字の2ときゅうりが登場人物。
    人物でないのに、なんってことないかのように擬人化して話は進む。けれど、時にそれぞれのもち味を組み込むところが愛らしい。2は割り切れない衝動に悩まされたりそれに美化を求めたり、きゅうりはパリッと爽やかな好青年で、まるでかじったソレのように青々しい香りがしてきそうだし、帽子は野となれ山となれとかいってるけど、なんだかんだむさ苦しいし。

    二回三回と読んだら、もっともっと色んな発見がありそうな、そんな膨らみのある、おはなし。

  • すべての名前の付け方変わっていて、良かった!
    裏表紙にあるように、生きることの本質をみつめた、不思議でちょっぴりせつない物語でした。

    所々にある素敵なイラストもまた、良かったです。
    こんな感じにイラストが組み込まれている和書に初めて出会ったかも。

  • 子供にも読ませたくなるようなやわらかな、ほのぼのしたお話し。仲間たちとの出会いに別れは必ずやって来るわけだが、切ない気持ちも楽しい思い出があったからこそ。江國香織さんがどんな本を書くのか知らなかったけど、最初に出会ったものがこの本で良かった。彼女の作品を好きになったきっかけの一冊。丁寧な語り口が緩やかで穏やかな時間をもたらしてくれる。三人のキャラクターが不思議でいとおしい。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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