- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087477092
感想・レビュー・書評
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生きることは、悲しくて美しいことだなぁと思わせてくれる作品。
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小説のような、絵本のような、不思議で優しくてちょっと寂しいお話です。
「ホテルカクタス」というアパートで暮らす、帽子ときゅうりと数字の2の3人の日々。
読んでいると、3人が人間のように感じられるのですが、きゅうりが濃緑色に日焼けする、というような描写で「ああ、そのものなのだ」と改めて気付かされるおかしみがありました。
アパートの中庭に住む黒猫のお話もよかったな。
好きな空気の世界でした。 -
「ホテル カクタス」というアパートで暮らす、「帽子」と「きゅうり」と「数字の2」の物語。一番最初は、帽子とかきゅうりとか数字の2とかは要するになんなのだろ?と取っつきにくく、もしかしてつまらない寓話だったら嫌だなぁと、渋りつつ読み始めた。けれど。読み終わり、2度、3度と読み返すうちに、帽子ときゅうりと数字の2がなんとも言えず好ましく感じられるようになった。自分の普段聴いている音楽が、人といっしょに聴くとなぜかしっくり来なくて気恥ずかしい感覚、あるある。人でないからこそ、人の持つ心の本質がくっきりと出ていて、だからこんなに愛おしいのだと思う。
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江國香織さんのホテルカクタスを読み終わった。
大人の童話っていう印象。
主人公はきゅうりと数字の2と帽子。
これだけ聞くと、???ってなるけど、読んでみるとこの3人?の友情がなかなかいい。
短編連作みたいな感じだけど、どの話も少し切なさを感じたなぁ。
挿絵も素敵だった。 -
江國香織のおりなす、大人のための童話小説。
主人公達は「ホテルカクタス」というアパートに住む、きゅうり、数字の2と帽子。
彼らを取り巻く日常は不思議と心地がいい。のに、どこかリアリティがある。
そんな物語がたくさん詰まっています。
挿し絵も素敵です。
2017.3.21 -
「もしもう一度おなじことがあっても、俺はおなじようにするだろうな」
「ここが、ほかの場所よりいいって法はない」 -
帽子と数字の2ときゅうりが登場人物。
人物でないのに、なんってことないかのように擬人化して話は進む。けれど、時にそれぞれのもち味を組み込むところが愛らしい。2は割り切れない衝動に悩まされたりそれに美化を求めたり、きゅうりはパリッと爽やかな好青年で、まるでかじったソレのように青々しい香りがしてきそうだし、帽子は野となれ山となれとかいってるけど、なんだかんだむさ苦しいし。
二回三回と読んだら、もっともっと色んな発見がありそうな、そんな膨らみのある、おはなし。 -
子供にも読ませたくなるようなやわらかな、ほのぼのしたお話し。仲間たちとの出会いに別れは必ずやって来るわけだが、切ない気持ちも楽しい思い出があったからこそ。江國香織さんがどんな本を書くのか知らなかったけど、最初に出会ったものがこの本で良かった。彼女の作品を好きになったきっかけの一冊。丁寧な語り口が緩やかで穏やかな時間をもたらしてくれる。三人のキャラクターが不思議でいとおしい。