白蓮れんれん (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478600

感想・レビュー・書評

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  • ドラマ、花子とアンを見た方の多くが興味を持たれるという白蓮さん。
    有名な「白蓮事件」というのもあるらしいですが、私はまったく知らず。

    実際の恋文を、膨大な資料を紐解いて描かれたこの小説、読んでみて衝撃的なことが多かったです。
    1つはまずその時代背景。
    当時の結婚は個人の恋愛によるものというより、家と家の結びつきのためという要素が強いことは知っていましたが、こんな風に個人の声に焦点を当ててみると壮絶ですね。まして、高貴と言われる方々にはその方々の、下々の者にはその者なりの不自由さがあって、なんとも切なくなります。

    当時は姦通罪なんていうものもあって、今よりも不倫などに対して厳しかった時代。
    不倫がよいことだとは言いませんが、自分で選んだわけではない人と一生添い遂げるのは、何程大変でしょうか。運良くいい人に巡り会えればいいですが、白蓮にしたって20代で結婚した相手の年齢は50代。年齢差が悪いのではなく、趣味や教養をはじめ、共通点が少ない中でともに歩むというのは並大抵の苦労でないはず。

    恋愛する心持ちは私もわかるので、彼女たちの気持ちもわかりますが、周りを巻き込んで我を貫こうとしても大抵のことは上手くいかない。
    そんな中で、白蓮が最期まで最愛の人と添い遂げたという実話に、とても勇気づけられる思いでした。小説には書かれていませんが、二人のその後が少し解説に書かれていて、魂を削るような凄まじい人生の最後に、幸せに二人が暮らせた様子が垣間見れてよかったです。

    それにしても、こんな時代に随分と大胆なことを白蓮はしたものですね。むしろ、こんな時代だからできたんでしょうか。ちょうど抑圧され続けた女性たちが声を上げ始めた時代ですものね。

    読み終わった後は、長い夢から醒めたような気分です。
    誰に正義があるかなんて、その人の立場によって変わってくるでしょうが、何事も貫き通した人はとても強いですね。一方で私は、最後まで隠し通すこともまた強さだと思っています。
    切なくも情熱的な、時代を色濃く反映させた恋の物語でした。

  • 柳原白蓮と宮崎龍介の書簡を元に書かれた小説。白蓮と義理の妹(伊藤家)の二つの視点から書かれているからか、客観的で面白い。

  • 読み始め…16.3.18
    読み終わり…16.3.20

    NHKの朝ドラで放送された「花子とアン」で
    主人公花子(実名村岡花子さん)の腹心の友として登場した蓮さまこと、柳原白蓮。ドラマの影響で興味が沸いて 林真理子さんだったらきっと分かりやすく気軽に読ませてくれるでしょうと思って読んだのが「白蓮れんれん」です。

    軽くてわかりやすくてドラマを観ていたおかげもあってなのか、まるでドラマを再現しているんじゃないかと思われるような 確かこんなシーンがあったよね...という場面がところどころにあるように思えて 白蓮さんが「花子のアン」の仲間由紀恵さんの蓮さまになって頭の中に浮かび上がってきていました。

    これは読んだ後で知ったことですが
    「花子とアン」の脚本を書いた脚本家さんと林真理子さんはご友人関係にあるようで、もしかしたら「花子のアン」の脚本には「白蓮れんれん」が参考にされていたのではないかということらしく、そう言われるとやっぱりそうなのかな...という感じでした。

  • 「百連事件」の柳原白蓮(燁子)を描いた小説で、
    燁子が伊藤伝右衛門のもとに嫁いだところから
    駆け落ちするまでを描いてます。
    朝ドラで気になって読みました。

    ただの不倫話と言ってしまえばそれまでなのですが、
    不倫が両者死罪の重罪とされ協力者もまた中追放か死罪とういう時代、
    まさに命がけだった事を考えると今の不倫とは
    全く重さの違うものであったのだろうなぁとは想像出来ます。

    高貴な出で、お金のある男に嫁ぎ、才能にも恵まれた自由な身の上。
    そんな何不自由のない暮らしを捨てて男の為に命を賭ける。
    賭けたのは男だったのか、自身だったのか・・・。
    彼女は馬鹿な女だったのか、聡明な女だったのか・・・。
    私にはよく解りませんでしたが、
    当時によくこんな波乱万丈な生き方が出来たものだと思います。

    本の全体としての感想は、半ばぐらいまでは面白く読みましたが、
    途中から会話がそこらのおばさんのようなぞんざいな
    品のない口調になってきたのが妙に気になったのと、
    だんだん話自体がざっくりまとめに入りだし、
    最初の方のような丁寧な描写がなくなってきたのが残念でしたね。

  • 『だけど私、頑張ったもの。
    本当に本当に頑張ったもの。
    死ぬよりつらいことがたくさんあったけれど負けなかったわ。』

  • 事実は小説より奇なり。
    波瀾万丈の人生だったんですね、蓮さま。

  • この作家の小説は初めて読むが、女流作家としての独自のスタンスを強く感じる。

  • 柳原白蓮とはこのような人物だったのか。と初めて知った。愛に生きた女性を書いたら林真理子さんの右に出るものはいません。読みごたえがありました。

  • だいぶ前の本なのに、朝ドラが始まった途端に文庫本ベストセラーでトップ10入りしていました。
    やはり朝ドラってみんな見てるんですね。

    そして、やっぱり主人公の花より、連さまが気になっちゃったんですね。
    私もそのうちの一人です。

    朝ドラでは本名ではないのでかなり脚色されていて、本当のところはどうなのだろうと、気になり読んでみました。
    林真理子さんの本、初めて読みましたが淡々と書かれていて、伝記としてドライに読めました。
    この本も1週間くらいかけて読みました。
    村岡花子は終りの方に名前だけ出てきました。
    ドラマとはちょっと違う真実が知られてよかったです。

    「真珠夫人」も読もうかな?

  • クライマックスが少し単調だった気がするが、確かにドラマチックな人生。このような人が実在とは。。

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著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

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