- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087478600
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
ご多分にもれず、朝ドラで興味を持って読んでみたクチ。
私は林真理子の思想や価値観は大嫌いだが、やはり書き手としてはうまいと思う。バブル時代から現在まで、とにもかくにも文筆家として生き残っているのはダテではない。ストーリーをテンポよく展開しているし、女のいやらしさの描写は大したものだ。彼女の描く女の本性は真実である。世の多くの男性にとっては受け入れがたいのだろうが。
白蓮ほどではないが、私の実の祖母もそこそこ良家のお嬢様で恋愛がらみでドラマティックな一生を送った人物だ。時代や環境にすんなり順応してしなやかに生きる人もいる一方で、頑強な枷があるほどそれを打ち砕いて飛び出したくなる人もいる。私は明らかに後者の血を引いている。 -
「筑紫の女王」と呼ばれた美しい歌人、柳原白蓮が、年下の恋人、宮崎龍介と駆け落ちした、世に名高い「白蓮事件」。華族と平民という階級を超え、愛を貫いたふたりの、いのちを懸けた恋。門外不出とされてきた七百余通の恋文を史料に得て、愛に翻弄され、時代に抗いながら、真実に生きようとする、大正の女たちを描き出す伝記小説の傑作。第八回柴田錬三郎賞受賞作。(背表紙より)
『花子とアン』を観ていて、花子よりも白蓮に興味が湧いて読んでみました。すごい。かっこいい。こんな風に生きられるって、本当に映画や小説のなかのお話みたいな人生。強くて美しい女性である白蓮、‘自由‘の中できっと幸せにいれたのでは。林真理子さんの本の中で一番好きになりました。 -
日本人がが自由恋愛できるようになったのはつい最近のこと。
長ーい歴史の中で女性は家の中で自分を押し殺して生きてきた。
結婚は個人ではなく家と家どおしでするもの。
家柄、貧富、出身地によって嫁ぎ先が大きく左右され、家柄がいいと特に自由がきかなくなる。
増して天皇の血をひく公家の出だとまったく自分だけの人生ではないはず。
がんじがらめの結婚生活の中で、若い学生と出会い、二人で逃亡という
当時ではとても考えられないようなスキャンダルを起こした実在の人物、
華族出身の美しき歌人・柳原白蓮の物語。
明治、大正時代のアイドルというと文壇の中から生まれていて、
彼女も相当な人気者だったので、世の注目は今の比ではなかったでしょう。
世間からバッシングを受けて、駆け落ち後はイバラの道だった。
それでもあきらめることなく愛を貫き通し、?子が82歳で亡くなるまで添い遂げたという。
二人の間を行き来した恋文の数は実に700通にものぼる。
それを二人は大切に保管し、今でも彼らの娘がその書簡を残している。
林真理子は小説の中で、そのいくつかを紹介している。
二人のあふれるような想いが、痛いほど伝わってくる生々しい恋文です。
-
白蓮の様な華族階級と伝右衛門の様な九州炭鉱で財を成した者との結婚から始まる書き出し、環境と考え方の余りの違いに面白く読めた。
中盤、年下の龍介が登場し、不倫をしてる白蓮の友達も同じように現実から逃避しようとダラダラしてる部分は面白さに欠けた。
最終章、白蓮と龍介の駆け落ち後の展開にまた面白さが復活した。
-
なんだか昼ドラを見ているようだった。
こういう恋愛ものはかなり苦手でしたが、文章が上手くて映像が頭の中に流れて読み進めやすかった。
フィクションであると思うとやはり時代の流れは凄いなと思う今日この頃。 -
筑紫の女王と呼ばれた柳原白蓮
落ちぶれた華族で金で炭坑成金の老人に
嫁いだ
華やかな白蓮を囲む 伊藤家の生活
愛人の芸者に産ませた養子養女との生活
歌を読み、本を出版することから
若い帝大生を恋に落ちる
そして世にいう白蓮事件
700通近い恋文を交わし
二人の子どもを育て
慎ましく生活した二人は凄いとしか
言い様がない
白蓮の最後まで世話して看取った
年下の宮崎龍介
彼も意志の強い両親のもとに育てられた
筋の通った男だった -
やむにやまれぬ恋というものをしたことがない人は、人間というものを本当に理解しているとは言えないかもしれない。
社会を縛る法規範や世間様のおっしゃるところの道徳観念、「かくあるべき」という常識を超えていかねば成就しえない愛情というものに、心臓をグッと掴まれたことはあるだろうか?
ダメだと分かっていながらやめられない、それこそ人間らしい人間である。
一般論から人を糾弾するのは誰にでもできることである。
良いか悪いかは別にして、柳原白蓮女史は、人にできないことを、すべてをかけてやってのけた。
私は、そこにしびれる憧れる。 -
20230226読了
-
読んでみたかった一冊。
切なさの中で
お互いの気持ちがブレることもなく
お互いを思いやり
生涯をまっとうした二人に
心打たれました