エンブリオ 1 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 728
感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087478730

感想・レビュー・書評

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  • 借本。
    実話と思うと怖いけど、本当にありそうな感が。
    割とサクサクと読めたので、下巻が楽しみ。

  • 天才産婦人科医師の話。
    天才ゆえに極端な研究へ進んでしまい、人を助ける為に人を殺してしまう主人公。
    そんな彼は正しいのか間違っているのか。
    読み進めるうちに生命とは何なのか分からなくなってしまった。
    不妊に悩み人工授精を行う人もいれば簡単に堕胎する人もいる。
    色々と考えさせられる作品。

  • エンブリオ―それは受精後八週までの胎児。天才産婦人科医・岸川は、人為的に流産させたエンブリオを培養し臓器移植をするという、異常な「医療行為」に手を染めていた。優しい院長として患者に慕われる裏で、彼は法の盲点をつき、倫理を無視した試みを重ねる。彼が次に挑むのは、男性の妊娠実験…。神の領域に踏み込んだ先端医療はどこへ向かうのか。生命の尊厳を揺るがす衝撃の問題作。

    さすが帚木さん!すごく興味深く読めたしほんっとうに面白い!
    ただ岸川の人となりがあまりイメージできないような・・・

  •  取り上げている内容の怖さを際立たせるためなのか、登場人物の心象描写が極めて少なく感じる。あくまで上巻の感想なので、怒涛の巻き返しを期待して下巻を読みすすめるとしよう。

     産婦人科の岸川はマッドサイエンティストなのか、異常な医療行為の数々は鳥肌がたつ思いだ。岸川医師の心のどこかに、自分自身が非配偶者間人工授精による、不自然な誕生の仕方を悲しむ気持ちがあるのだろう。その裏返しとして、心無い医療行為に手を染めるのだと思う。 

  • 下巻で。

  • 電車内で読む時にはブックカバーを。
    面白かった!

  • まずミステリーとして見るならば、全体を貫くストーリーや様々な仕掛けと呼ぶに値する伏線などは秀逸だと思うし、早く先の展開を読み進めたくなる気持ちははやるばかりなんだけど、肝心なところの多くが明かされぬまま、おそらくは意図的に曖昧なまま置いて小説は閉幕しているので、何だかかゆいところに手が届かないような、指に刺さった棘がなかなか抜けないようなモヤーっとしたものが残る。
    ただ、あえてそんな不満点から述べてしまったけれど、この小説の最大にして唯一のテーマはそういった類のものではないので、謎の多くが明文化して示されていないというモヤモヤ感を打ち消して余りある満足を読後は得ることができた。
    じゃあそのテーマとは一体何なのかと問われても一言では言い表せられないのがもどかしくもあり、自分の知識、語彙の至らなさが嘆かわしくもあるのだが、とにかく、21世紀の最先端生殖医療とはここまでのものなのか、と素直に驚いたし、また非常に陳腐で月並みな表現なんだけど、生命発生のメカニズムというものに人の手を加えることについての是非なんかに関しても、どんな読者だってこれを読めば少なからず考えを及ばさざるをえない、そんな圧倒的で根源的な問い掛けを大いに感じた。

    「自然」という言葉は、たとえば木の枝を集めて巣を作るビーヴァーにも、山を削り木を伐ってビルディングを建てる人間にも等しく用いられるべきである、という考えを私は持っているんだけど、その延長線上、とまで言えるのかどうかは分からないが、作中に登場する“生殖活動に人為的に手を加えることを背徳的というのならば、自然な生命の終焉を阻害するすべての医療行為はあまねく認められないことになる”という主旨の表現には強く共感を覚える。
    本当にそうだと思う。
    できる限り病や怪我や死というものを遠ざけよう遠ざけようとしているすべての医療行為は、広義で言えば“神の意志”に反している。
    癌を早期発見して外科手術によって根治させるのは推奨するけれど、たとえ患者の望みであっても受精のメカニズムをいたずらに人の手が左右することはあってはならない、と勝手にどこかでラインを引いてしまい、あたかも人間が神の意志を代弁しているかのように振る舞うことこそが、最も背徳的なのかもしれない。

    それにしたってこの作品の主人公のように、一方では不特定の患者たちの幸福を実現するためという信念で以って既成の倫理を無視する先端治療を行い、他方では邪魔になった人間の命を虫けらのごとく消し去るなどという完全乖離したアイデンティティの持ち主なんているわけないよ、それ以外の部分では極めて常識的かつ聡明な人格と知性を備えながらさあ、と読者に思わせてしまうところがほんの少しだけ残念。

  • /?day=20051226

  • 天才医師といえば外科医のイメージが強いが、この本の主人公・産婦人科医の岸川はまさに天才。天才ゆえの倫理を無視した医療の研究と実践の数々が、難しいことなのに分かりやすく描かれており、圧倒的に引き込まれる。岸川視点でひとつひとつの行動・言動についての経緯や考えがものすごく丁寧に書かれているおかげだと思う。上巻ではまだ大きな事件とか事故は起こっていないので、小説としての盛り上がりはないが、今後の展開に期待せずにはいられない。人工受精〜エンブリオ産業・・・人間にとって何が正しくてどう進むべきなのか? ある程度自分の考えをもちながら下巻も読み進めていきたいと思う。

  • どこまでが真実なのでしょう?
    妊娠中なので、結構身近な問題にただ驚愕です!
    でも面白かったです。

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著者プロフィール

1947年、福岡県小郡市生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、TBSに勤務。退職後、九州大学医学部に学び、精神科医に。’93年に『三たびの海峡』(新潮社)で第14回吉川英治文学新人賞、’95年『閉鎖病棟』(新潮社)で第8回山本周五郎賞、’97年『逃亡』(新潮社)で第10回柴田錬三郎賞、’10年『水神』(新潮社)で第29回新田次郎文学賞、’11年『ソルハ』(あかね書房)で第60回小学館児童出版文化賞、12年『蠅の帝国』『蛍の航跡』(ともに新潮社)で第1回日本医療小説大賞、13年『日御子』(講談社)で第2回歴史時代作家クラブ賞作品賞、2018年『守教』(新潮社)で第52回吉川英治文学賞および第24回中山義秀文学賞を受賞。近著に『天に星 地に花』(集英社)、『悲素』(新潮社)、『受難』(KADOKAWA)など。

「2020年 『襲来 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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