- Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087520019
感想・レビュー・書評
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祝!集英社の仕掛け人さま、『人間失格』が2ヶ月近くで9万部余ですって、ビックリ仰天、まさに快挙という他ありませんね。
いわく「古典は時代を超えて読み継がれる力がある。表紙はそこへ若い人を導く入り口。今後も各作品の世界にマッチした新カバーを投入していく」
9月2日の日経「活字の海で」は、ジャケ買い広がる、として取り上げていますが、ビジネス書にもおしゃれなカラフルな表紙が増加しているらしいです。
「膨大な書籍が溢れる中、自分が面白いと感じる本を見つけるのは容易ではない。ジャケ買いはある種の衝動買いだが、直感を頼りに活字の世界をひらいていくのもまた楽しいはずだ。」と好意的な論調だけれど、何か変だ、と思うのは私だけでしょうか?
待望の『デスノート』地上波初公開を見ました。ウンザリ・汚い絵のタッチ・まったく創造性の欠片もない陳腐な展開で、欠伸が幾度も出てしまい、見ていて情けなくなって涙してしまいました。
その小畑健のありふれたつまらない絵柄の表紙でも、みんなで、漫画と間違えてひょっとして数千人が買うかも知れないね、とは嘲笑っていましたが、まっ、まさか、まさにカバーでバカが買ったという訳ですね。(あっ、ごめんなさい、ただシャレを言おうとしただけなんですけれど、ひどい、言い過ぎました)
いいえ、何も太宰治が読まれていけないはずがありませんが、そう、文学が読まれないより読まれるべきはずですが、ええーっと、断腸の思いでいいますが、やっぱり太宰治は読む必要がないものであります。
芥川龍之介全集は小学生のとき読み完璧にはまってしまいました。太宰治は中学時代から高校一年にかけてすべて読みましたが、ほんの少し魅惑されそうになったことを告白しますが、幸いにもこの退廃的なセンティメンタリズムに誘惑される気は起こりませんでした。表現も描写も、悲しいかな、もどき、それらしい猿真似以上のものは認められません。何といっても文章がヘタで読むに堪えません。
どうして芥川龍之介を登場させたのか?それは自殺という共通項目があるからですが、両者の存在意味は天と地の差があり、いけない、これをやると話が長くなるので今回は端折ります。機会があれば別稿で。
ええっと、今だに私は、敬愛する長部日出雄御大が太宰・太宰と大騒ぎしておられるのが腑に落ちません。『桜桃とキリスト もう一つの太宰治伝』は刺激的な本ではありましたが。
ウジウジした情けない泣き言を連ねた身勝手に人生に絶望し破壊的なことがあたかもすばらしいことであるかのように自己満足した駄文であるということこそが太宰の本質であります。
もしかして彼独自の作文スタイルなのかと思うと、違うんです、芥川賞が欲しくて選考委員に対して、くれないと死んじゃうから(違ったかな?まあ、それに近いことをメソメソと書き連ねたのです)などと懇願する手紙を送ってしまうという破廉恥な、どうしようもない幼稚な単なる阿呆・情けない男でしかありませんでした。
そして最後がまた象徴的ですね、不倫の相手と情死。
そんな人間の最低限のモラルも持ち合わせていない、額に汗して働いて食べて創造的に・建設的に生きようともしないで、裕福な出自に甘んじて無責任快楽男として生きたインチキ小説家の愚文を、いつまでも、繊細ですばらしいとか名作とかいって、文学史に残る古典とすることに、私は断固反対します。
彼を本当に思うのなら、もういい加減死に恥をさらすようなことは勘弁してあげてほしいと切に願います。
でもでも、人生に一度くらい滅法無駄な時があってもいいじゃない、とも思いますし、文庫の表紙の斬新な創意工夫で名作が再評価されるのは悪くない、もっともっとやってほしいと思います。駄作でも愚作でも何でも、とにかく本を読んだことのない人にきっかけになることは悪い訳はないですよね。と、何故か日経のコラムに同調する私でありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
太宰治の代表作。
この物語は、太宰治を表しているのだと感じました。
誰にでも、好かれるように仮面を付けて生活をして、その中でも悩み、苦しんでいく所は、現代に生きる人たちと同じなんだと感じました。 -
いわゆる名作古典として語り継がれる一作だが他の作品群とは全く違う切に迫る感じがあった。
解説にもある通り、太宰治の作品は読んだ人がまるで自分のことを書いてくれているかのように感じるという文句を読む前から聞いていたことがあった。まさかと思って読み進めるとアル中、ヤク中のやたら女に惚れられる男の話。経験として全く共感できないのに葉蔵自身がそれらに対して、どう考え、どう行動したか、あるいはなぜ行動しなかったかは本当に痛いほど共感できた。
幼い頃から純粋な愛や信頼を知らず道化を続けてきた葉蔵は人やものを信じては裏切られ、という体験を通じてより一層不信感を募らせていく。出会った女性一人一人が確実に葉蔵の心に傷をつけていくが一番は唯一の悪友のはずの堀木にも「生ける屍」としか思われておらず軽蔑されていることを知った瞬間の眼前の暗転。自分だけが取り残されている感覚。
続く罪の対義語を考えるシーンも圧巻。罪のアントとはなんなのか?法律と即答したところに堀木の東京人特有の割り切りの良さというか言い切って悪びれない感じがよく現れている。葉蔵の考える罪は法に先立って存在するものだ。罰は法律によって下されるものではなく、自分の心の中にある戒律によって下される。 -
面白い。
ひたすらに人間らしさ満点の一冊でした。
主人公が捻くれてるように思えるが、案外理解できる部分も多く、人間はやはり怖いなぁと感じさせられる。
面白かったです。 -
これは自分の話だ…と思って恐ろしいまでに共感し、没頭して読みました。
もちろん葉蔵に対して共感できない部分もありますが、誰が見てもただのクズだと切り捨てられない、どこか一つは自分と重ねてしまう部分がある男の話ではないでしょうか。
自分が文学にどっぷりハマるキッカケになった、今まで読んだ中で最も好きな小説です。 -
人間って恥ずかしくて滑稽で美しくてしんどくて嫌だよね、わかる
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これを10代のうちに読んで拗らせていった友人たちを数多く見てきたので大人になってから、と決めていた本
面白いしクズとも言い切れない人間臭さがいいところなんじゃないかな -
最初の一文がすべて。
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物語が進むにつれて共感できなくなった。
人間誰しも裏表はあるし、自分の意見を通すために、相手の意見を拒否することもある。けれど、主人公はそれが出来なくて流され、流されて楽な方に、楽な方にと行くと面倒見てくれる女の人やお酒や薬やらにどっぷり浸かって周りの悪い影響でしか行動できない人になってしまう。自分の意思とは周りから影響を受けて作られるもので、環境が悪かっただけでは済まされないこともなにかあったのかな。でも幼い頃の環境や家族との関係を見るともっと良い寄り添った教育ができていたのならば、人間失格と思うような人生にはならなかったのかな。 -
読む度感想が変わる面白い作品だと思います。
また読み返したところ、今回は「俺イケメンじゃなくてよかった〜☆」と思いました。