- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087712728
感想・レビュー・書評
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映画化されると知って、読んでみた1冊。多分、架空の島・美浜島を巨大な津波が襲い、生き残った3人のその後を描く。冒頭からの津波のシーンは、目を覆いたくなるようなもの。思わず、奥付で発売日を確認してしまった。実際に東日本大震災を経験した後の作品だったら、そこで読むことを止めてしまったと思う。作品自体は悪くないのだが、生き残った3人の誰にも、どこにも救いがないので、星は2つ。とても息苦しい作品だった。
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複雑で強烈な作品で一言で感想を書くのが難しい。というかこの作品を軽々しく評する能力が私にはない。
希望と絶望。
望みと失望。
慈しみと蔑み。
様々なあい反するものが描かれている。
自然による暴力、人の暴力。
そして思っていても届かない気持ち。
他人は自分が求めているようには考えてはいないという事実。
求めても得られない愛情。
残酷な現実が次々と押し寄せる小説だったが哀しみが胸をうちました。苦しいです。 -
子供の頃こら父親の暴力に耐え、大人になってからも父親の暴力にあいながら、ただ耐える少年。
自然が起こす暴力、人の暴力に暴力で立ち向かう少年。
『光』というタイトルはどういう意味なのだろう? -
2009/04/04
意味などない。死も不幸もただの出来事だ。それらはただ、やってくる。
暗い。重い。胸糞悪い。
でも、三浦しをんらしい文章。結局一気に読んでしまった。
血でも友情でもない絆を描くところは相変わらずで、描写が巧みっていうか非常に私好みなのも変わらない。
引き込まれる、力がある。
暗い海の底でうっそりと息をする獣の瞳に宿る光。
どこまでもつながる暴力の螺旋。
輔の哀れさと、信之の哀しさと。
南海子の空虚さと椿の幼さと美花の身勝手さと。
『暴力はやってくるのではなく、帰ってくるのだ。』
まほろ~がなぜか読みすすまないあたしが、何故か一気に読んでしまったぁ
あたしは輔が一番気になるなぁ。好き、とか、かわいいとか、かわいそうとか、どれも違うけど。一番ひっかかる。共感?
卑屈に相手の顔色を伺って、撫でてくれる手をいつまでも待っている。あるいは、押し流してくれる波を。
しかしあらゆるヒトは、特に女は、南海子なんじゃないだろうか。
なんだか信之は一番かわいそう。一番「あの日」に翻弄されている。
『こうなると思ってたんだよ。こうなればいいと思ってた。俺がお願いしたとおりに津波が来てそんでみんな死んだ!すげえよ、みんな死んだよ絶対死んだよね。ね、そうでしょ、ゆき兄!』
あたしは、タイトルは希望の光でも救いの光でもないような気がする。
たとえば、泥と白骨に埋もれた島の灯台の放つ光。
信之の瞳に眠る光。
さいごの瞬間の輔の瞳にきらめいた光。
昏く、鈍く、鋭く、またたく光。
同情や愛情では恢復しない傷があるかぎり、刑罰はひとを救わない。自分に癒えることのない傷を与えたものが、たとえば刑務所に三年入ったからといって、うれしくもなんともない。刑罰にはせいぜい、「これで我慢してくれ」と、癒えない傷を覆って誤魔化す絆創膏程度の力しかない。腹が減って死に瀕した生き物に、食い物に似せた発泡スチロールの模型を与え、「腹を満たせ」と言うようなものだ。ありがたがって模型に食いつくやつは馬鹿だ。 -
かなりどぎつい描写があるものの、
見る間に物語に惹き込まれていきました。
人を信頼することとは、命の重み、について考えてしまう内容でした。
淡々と自分を押し殺して生きてゆくことは可能なのでしょうか。 -
なに?これ
なんだがさっぱりだ。かすかな起承転結はあるものの、殺人とエロしか残らない。主人公のあまりにフラットな心を読むのかなぁ。よくわかんないままに読了。 -
冒頭のシーンがあまりにもタイムリーすぎてしんどい…。現実は小説よりあまりに残酷だ。みんな光を求めて生きるのにどこからも光が射してこない救いのない物語だった。三浦しをんの凄さと抽斗の多さを感じる一冊。2011/195