漂砂のうたう

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 934
感想 : 173
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087713732

感想・レビュー・書評

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  • 舞台設定は面白いけど。伏線を回収していないところがあり、結局アレって何だったの感が拭えない。主人公だけがモラルがやたらしっかりしているかと思いきや、周囲に流されたりして、感情移入したり応援したりする気持ちにならない。色街の生活の様子がわかってとても興味深かったけど、小説の筋書きは余り面白くなかった。

  • 明治初期の根津遊郭が舞台。主人公は元御家人の次男坊。落ちぶれて落ち着いた先は遊郭の客引き。時代背景を丁寧に織り込み、怪しげな脇役と艶やかな花魁を嘘とうつつの世界を絶妙に絡める。ただ物語に強弱がないので終始読みずらかったかな。

  • 遊郭で働く、時代に翻弄された男の生き方。
    下の中くらいの生活に甘んじ、面倒な事は笑顔で誤魔化し、地面見て歩くような人生。悪い意味で現在しか見てない生き方をしている。

    この男、どこか太宰治『人間失格』の主人公に似てなくもない。あの粘着質で死にかけたような作風(褒めてます)に近しい。失望諦め逃避灰色半端無益甘え…行ったり来たりを惰性に繰り返す。おぉ、何かこの堕落感に惹かれる。自分によく似てるな、この人。私ならもう少し上手くやるさ、と意地張ってみたが虚しいだけ。こんな虚しい気持ちになる。
    あのカッコいい花魁のようにはなれない気がして、また虚しくなる。

  • 根津遊郭の話。あまり興が乗らない。

  • 時代に翻弄された人たちの話。
    遊郭を舞台にそこで働く者たちの逃げ場のない焦りとか苛立ちを書かれていた。
    表現がコワイと感じるところも多々あったし、受け入れがたい主人公の想いなんかもあったけど、その時代を生きた人たちの戸惑いなんかはよくわかったような気がする。

  • いろんな形の『思い遣り』を見せてもらいました。

  • 明治の根津遊郭が舞台。

    境界が曖昧な不思議な雰囲気で物語が進む。
    花魁の小野菊の凛とした姿が良く、結末にほっとした。

  • 第144回直木賞受賞作

    根津の遊廓にも江戸から明治にかけての改革の波が押し寄せる。
    話の途中から「自由」という言葉が出てくるが、使っているのは遊廓で働く男達だけ。
    花魁にはまだ自由は訪れない。

    改革の波はいつでも女性が後回しだなと思う。
    花魁を通して強い女性が垣間見える。

    全体を通して何か淡い色のベールが掛かっている印象がしたのは、何だろう?

    2013.11.13読了

  • 明治時代の遊郭が舞台。うーむ…。直木賞受賞作ということで気になってはいた本だったけどあまり合わなかった。というかやっぱり時代小説がどうにも苦手みたいだな。誰にも感情移入できなくて、文字が砂のように流れていくだけだった。2011/569

  • ご一新から十年。御家人の次男坊だった定九郎は、出自を隠し根津遊郭で働いている。花魁、遣手、男衆たち…変わりゆく時代に翻弄されながら、谷底で生きる男と女を描く長編小説。 偶然ですが、明治維新前後の武士をテーマにした小説が続きました。時代に翻弄された男たちの物語です。

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著者プロフィール

1967年生まれ。出版社勤務を経て、2004年『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。08年『茗荷谷の猫』が話題となり、09年回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞、11年『漂砂のうたう』で直木賞、14年『櫛挽道守』で中央公論文芸賞、柴田錬三郎賞、親鸞賞を受賞。他の小説作品に『浮世女房洒落日記』『笑い三年、泣き三月。』『ある男』『よこまち余話』、エッセイに『みちくさ道中』などがある。

「2019年 『光炎の人 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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