残り全部バケーション

著者 :
  • 集英社
3.83
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本棚登録 : 6886
感想 : 948
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714890

感想・レビュー・書評

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  • 厳密には☆3.5くらいかな。

    章単位で時系列が少し前後したりするのがまた面白い。
    溝口さんの相棒は岡田→太田→高田とどんどん代わってゆく。今気付いたけど、全員「田」がつくんですね。ま、とくに深い意味はないだろうけど(笑)

    2章の虐待されてる少年を救おうと、手の凝ったタキオン作戦を展開するくだりはたまらない。こういう知的な悪戯、誰もが一度は憧れたことではないでしょうか。

    最後は少しびっくり。どんでん返しというかなんというか。

    岡田のなんといっていいのか分からない魅力が溝口を通じて十二分に伝わる。

    登場人物、とくに主人公たちは決して世間一般でいう「いい人」ではないが、伊坂ワールドらしく、微笑ましい物語に仕上がっている。



    『俺の人生、残りは夏休みだ。宿題なしでな』




    ------追記-------

    クライマックスで溝口が岡田と20年来の付き合いであることを暴露するシーンがあって、その時は?で結局読み終えて、整理しても?な状態。

    ところが他のレビュー見ていて思い当りました。思わず、なるほど!とにやけてしまいました。こういう繋がり、伊坂さん好きだなあ。で、そこが素敵。

  • ゆるくてオシャレな悪党たちのストーリー。
    伊坂さんの王道手法により、キャラがどれも魅力的で憎めない仕上がりに♪
    裏稼業が舞台ですが、ところどころに入ってくる笑いのセンスがたまりません。
    ラストへの伏線も巧妙で、最終ページが近づくに従ってドッキドキ。
    一気に読める一冊です。

  • まさに伊坂ワールドといった感じ。溝口のいい加減だけど、なぜか憎めないキャラクターが面白く、続きはどうなったんだろうというラストも「バイバイ・ブラックバード」と同じで想像力を膨らませるし、ラストの文章のために伏線を張っているのも流石と思った。

  •  あそこが伏線だったかー!という驚きはない。 なぜならここぞとばかりに怪しげに存在していたから。
     こういう場合は正解伏線の場合とミスリードの場合とがあるのだけど、この作品はほとんどが正解伏線だと言ってよいほどの回収率の高さだった(笑) けど、あからさまだとしても、散らしと回収のタイミングやバランスが心地良かったので不快感は無し!
     しっかし、伊坂さんは「アウトロー、因果、繋がり」のパターンが好きだなーと感じる作品でした。

  • 久し振りにヒットしました!岡田君の人を飲んだような感じとか、溝口のアホなんだけど憎めない感じとか、キャラがどれも素晴らしかったです。時間が前後するので、途中で何度も確認し直しながら読んだけど、読み終わってすぐにもう一度最初から読みたい!と思ったのは久しぶりでした。伊坂さんらしい、悪い人たちを書いているのに、なぜか許せてしまう軽快なリズムっていったいどっから湧いてくるのか?不思議。図書館で借りましたが、これは購入してまた読みます。

  • 昔ながらの伊坂テイストの作品で、いつもどおりとても楽しかった。
    上手だけど、ひねりがあんまりないかなぁ、というのがちょっとだけ不満だったのだが、ここのみなさんのレビューを読んで、ブログの管理人に第一章の沙希ちゃん説があることを知り、うーんとうなった。
    http://blog.goo.ne.jp/sepurainnole/e/4cf1e86cbbef27f278af1fa674055661?st=0#comment-form
    というブログ主さんが、管理人=岡田説の問題点を挙げている。これは結構説得力ある。
    そういわれればそうだ。

    逆にサキが沙希である根拠って、作者が同じ連作短編の中に、同じ読み方の人物を何の説明もなく入れているってことが一番大きい。僕は読んでいるとき沙希ちゃんのことなんて、すっかり忘れていたけれど、作者がそれを忘れているとは思えない。そこには何らかの意味があるはずだと考えるのが自然だ。

    とはいえ、ラストが焼肉屋からのメールだったりしても、作品としてはまったくしまらないわけで。その可能性もあまり考えられない。もしサキが沙希ちゃんなら、あのエンディングはどう考えられるか。

    重要な伏線は、沙希ちゃんだって、溝口が書いたメールのことを岡田と同様に知っているということである。それなら、沙希ちゃんからメールが返ってくることになるわけだ。沙希ちゃんは、おそらく岡田さんからのメールで、何か事情があるのだろうと考える。沙希ちゃんが岡田さんが生きていることを知っていれば、そういう内容になるし、知らなければ知らないという内容になる。後者はかなり悲劇的。焼肉屋からのメールとはまるで重みが違う。

    伊坂さんって、甘さ辛さ、かなりぎりぎりのバランスで書いているけれど、最近はどちらかといえば辛目の作品がメインになっている。そうなると、これはおそらく悲劇であり、そのようなニュアンスを持たせるためにあえてブログの管理人の名前をサキちゃんにしたのだろう。僕はそんなふうに考えた。

    そこまで解釈する余地を残したのは、さすが伊坂マジック! と言えると思うけど。

  • なんともかんとも
    独特のキャラに空間ですねー
    心がなさそうでいて、みょーに温かかったり
    何も考えてなさそうで深ーいところで色々考えていたりして
    この浮遊感
    だけれど、それだけではなくて
    散りばめられた言葉に意味や教訓があったりして
    もちろん連作短編の繋がりが伊坂作品らしい展開で
    (登場人物の名前は憶えておきましょう)
    (登場人物の係わったエピソードを憶えておきましょう)
    (登場人物の身体特徴は憶えておきましょう)

    伊坂氏の頭の中を見てみたい
    これこそ伊坂発想!!
    って感じです

    重すぎず、軽すぎず、楽しくて、おおーって感じで

    大好きです!!
    http://momokeita.blog.fc2.com/blog-entry-293.html

  • ☆3つ。

    なんだかなぁ~な作品である。面白くないことはない。でもワクワクはしなし。いやハッキリ言って読んでいてたいくつだ。

    それとボリュームが凄く少ないね。まあスラスラと読めるところは悪くないのだけれど、これで1400円では、一文字あたりの単価にするとかなり高い!

    そういう高給取りの有名ベテラン作家さんもいるけど、伊坂くんはまだそういう境地の人ではないでしょうに。

    出版社の皆様、まだ若いんだから甘やかしちゃぁいかんと思うよ。


    いや今回はかなりな上から目線発言でまことに偉そうですまぬ。でも一読者の素直な感想、ってことで。。。

  • 久々に好きになった伊坂さんテイストが満載でした。
    憎めない悪人たち!
    普通なんてない。変人じゃないとやってられない。
    どんなに理不尽で不幸でも救いがある。

    毒島さんって以前の作品のどっかで出てきたことあるはず…なんだけど何だったか出てこない。。。

  • 帯から
      裏稼業コンビ「溝口」と「岡田」をめぐる全5章。
      【人生、まだ続いていくから】

    5章からなる短編集(?)が、それぞれつながっている面白さ。
    そして、悪人なのに魅力ある登場人物たち。
    伊坂さんは悪人のはずなのに、魅力的!な人間を書くのが大変上手いです。
    溝口然り。岡田然り。そして毒島然り。そして高田然り。
    それは、「陽気なギャングが地球を回す」も同じですが、
    もしかしたら伊坂さんご自身がそんな要素を兼ね備えてらっしゃるのかもしれません。
    憎めない悪人要素を、です。
    男性としてはそれも魅力の一つになるのかもしれません。

    これから、高文祭の吹奏楽部の発表を聞きに行ってきます。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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