残り全部バケーション

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087714890

感想・レビュー・書評

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  • +++
    人生の<小さな奇跡>の物語
    夫の浮気が原因で離婚する夫婦と、その一人娘。ひょんなことから、「家族解散前の思い出」として〈岡田〉と名乗る男とドライブすることに──(第一章「残り全部バケーション」)他、五章構成の連作集。
    +++
    表題作のほか、「タキオン作戦」 「検問」 「小さな兵隊」 「飛べても8分」
    +++

    毒島の恐ろしさに、命じられた危ない仕事を命じられるままにこなす溝口とその手下の岡田のコンビの掛け合いが絶妙で、小悪党ながらわくわくする。伊坂さん上手い。そして、それぞれの物語が微妙に重なり合い、繋がり合ってくるりと元に戻るところも伊坂さんらしくてうれしくなる。岡田のスイーツブログのハンドル、サキって、あの沙希ちゃん、ですよね。罪を憎んで人を憎まず、ワルたちのキャラクターが愛おしすぎる一冊である。

  • ♪憎みきれない ろくでなし~ って歌が似合う本。(笑。
    ダメンズ好きにはお勧めデスよ。
    ふふ。

  • 「短編小説のふりをした長編小説です」というのは確かチルドレンの帯の言葉だったけれど、これも似た構成です。伊坂さんは愛嬌がある、というか憎みきれない悪人を描くよね。私の生活では決してお近づきにはなりたくないけれど、物語のあちら側にいる限り、微笑ましくも見えてしまうような。
    悪党たちも裏側はこんなかもしれないよ、という伊坂さんの皮肉の効いたユーモアなのかなとも思うけれど、残り全部バケーション、その響きだけで、ふらふらとなびいてしまいそうなパワーがあるのです。

  • よかった。読後の爽快感といいひさびさに自分がすきな伊坂さんらしいものが読めた気がします。

    とにかく岡田と溝口が面白くて、でも岡田は全然出てこないから
    岡田のことが気になって気になってずんずん読み進めてたらあんなふうに出てくるなんて...。やられた。

  • 今回、読書スタイルを変えてみようと思い切って最終章から読んでみました。
    最後を始めに読むのは、ネタバレして面白くないかと思いきや意外と短編集みたいに違和感なく読めて、その後に始めから読むと、最終章で自分の思い描いてた人物そこにはいて、最終章になるまでの出会いや、思いが自分の描いてたのと違ってたりすると、これも読む楽しさのひとつかなと思いました。

  • いかがわしい仕事を請け負うコンビの連作集。

    伊坂作品らしく、キャラクターやセリフが立ちまくっています。
    テーマは男の友情でしょうか、日本人の感性をくすぐりますね。
    作品中の各章でのリンクは伊坂さんの十八番で、最終章がそれまでの章の総決算という感じでした。
    最後はハッピーエンド的予感を残して終わるのも余韻があってよかったです。

  • 5つの章から構成されている伊坂ワールド全開の作品ですね!
    基本的には溝口という暴力団の兄貴とその子分の岡田の関係を中心に、その2人関わる人達との奇想天外なストーリーなのですが、伊坂幸太郎ならではのタッチで展開していきます。
    結末はどうなったのか?分からずじまいの尻切れな内容ですが、そこを読者に想像させるような形も伊坂ワールドですね!
    伊坂ファンには納得の内容だったのではないでしょうか?
    私的には面白かったです!

  • 全5章からなる連作短編集
    面白い。 
    長編も好きだけど、伊坂さんの書く連作短編集は本当に好み。リンクの仕方が絶妙でたまりません。 どの話もかなり好きだけど、第2章の「タキオン作戦」が重くて、軽快で、優しくて、滑稽で好きだ。 
    本書は読めば読むほど、余分な力が抜けてなんか「大丈夫なんじゃね?」って気分になります。 
    「残り全部バケーション」いいじゃないですか。アタシもそう生きたいもんだ。

  • 「こうやって、レバーをドライブに入れておけば、自然に前に進むから」。最新刊、『残り全部バケーション』。フラットなのに読了感がとても爽やかな余韻が残りとてもいい。第一章「残り物全部バケーション」から徐々に加速していく感じがまた、たまらない。ある種の哲学でさえある。


    「人を騙すには、真実とか事実じゃなくて、真実っぽさなんですよ」


    「今の世の中、なんでもかんでも、マニュアル通りなんですよねえ」


    「おまえ、何か面倒臭いことを言い出したんだろ、どうせ。『別れるなら、奥さんに言うわよ』だとか、『お金をちょうだい、さもなくば』だとか。人間、『さもなくば』なんて日本語、使う時が来たら、おしまいだよ。人生のうちで、そうそうないぜ、そんな場面」


    「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えることにする」
    恋人を失った主人公がラストで口にしする台詞だ。
    「悲しみを忘れなければならない。僕にはまだ残された時間があった」


    「いいか、飛んでも八分、歩けば十分、メールは一瞬。だとしても、飛べるなら飛ぶべきだ。そんな経験、しなきゃ損だろうが」
    「はあ」
    「八分も十分も大差ねえ、なんて言ってるのはな、『どうせ人間社会は、死んじゃうんだから何したって関係ねえよ』って言ってるのと同じだろ」
    「同じじゃないですよ」
    「どうせいつかは死ぬけどな、生き方は大事なんだよ」

    『子供作るより、友達作るほうがはるかに難しい』


    うん、もう、名言尽くし。「溝口」「岡田」コンビの再登場をどこかの作中で望みます。

  • なんだか憎めない小悪党たちの物語。軽妙な会話と魅力的なキャラクターで、要所要所に笑いのツボもあります。愉快に読める一冊。
    なのだけれど、数々の伏線がそれとなく張られていて。馬鹿馬鹿しい行動にもきちんと理由があったりもして。実にお見事! なるほど、こうなるためのものだったのね。
    「タキオン作戦」、いいなあ。ここまでやられたら完全に信じ込んでしまいそうです。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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