残り全部バケーション

著者 : 伊坂幸太郎

• 集英社 (2012年12月5日発売)

感想・レビュー・書評

[こゆきうさぎ148さんの感想 · 2020年11月27日]

「えっ、ここで終わり？！岡田は？！」
という、ものすごい見事なラストは必見。

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当たり屋、怪しい取引の立会人…
上からの指示で、裏稼業に従事してきた溝口と岡田コンビ。

しかし岡田が突然、裏稼業を辞めると言い出した。
その理由とは？
そしてなぜそこに、離婚して家族バラバラになる一家が絡んできちゃえるんだ？？

やることえげつないのに、なぜかグッときてしまう、5本の短編集。

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裏稼業に携わる溝口と岡田の物語…ではありますが、話によっては時系列が前後したりするので、自分で整理が必要です。

第一章は特に、離婚して一家離散する家族の最後の１日と、溝口・岡田の物語が並行していて、なかなか入り込めませんでした。

しかしそこをなんとか、ぐっと堪えて乗り越えてください。
そしてせめて第二章「タキオン作戦」までは、ぜひ読んでいただきたい。

「タキオン作戦」までくれば大丈夫、その先、読みたくなっちゃって止まらなくなりますから、どうぞご安心ください。

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伊坂幸太郎さんの作品は、なかなかダークな雰囲気が濃く、おもしろいのはわかるのですが、手に取るときに「ダークさに耐えられるだろうか…」とドキドキしてしまいます。

しかし「残り全部バケーション」は、ライトダークなお話でしたので、読みきれました。
しかもカラッとした空気の中に、サラッと心に刺さる言葉が書かれていたりして、侮れないお話ばかりでした。

特に特に「タキオン作戦」、もうこれだけでもいいですので(失礼)、読んでみてください。

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【おまけ】
ちなみにわたしが読んだ伊坂幸太郎さん作品をダークさで分類すると、こうなります。

最高にダークでヘビー(読み返すのはキツイ)
→「フーガはユーガ」

中くらいダーク(読み返せる)
→「死神の精度」

ライトダーク
→「残り全部バケーション」
→「重力ピエロ」

ほろり暖か(泣ける)
→「アイネクライネナハトムジーク」

それぞれの作品についも、ブクログで評価と感想、書いています。
ご参考にしていただければ幸いです。

[misameさんの感想 · 2020年8月8日]

会話のセンスが光る作品、との印象を持ちました。軽妙洒脱でテンポがいいのでスルスル読めてしまいます。人間の心理を巧みに突いた「タキオン作戦」が面白いです。実際には無理（いろんな意味で）ですがフィクションならではですね。

[ありが亭めんべいさんの感想 · 2018年6月21日]

私のツボに嵌まったので久しぶりの満点。まさしく伊坂ワールド全開の作品と見た。侍ブルーお得意の見事なパス回し を見るような繋がり方と例によって ふんだんにちりばめたユーモアが堪りません 笑。裏稼業の下請け孫請けを生業とする男コンビが歩く道、このコンビが絶妙な味わいです。そしてラストの落ちが美味しいスウィーツみたいでした♪
過日読んだAXより私は好きだった。

[tiaraさんの感想 · 2014年4月25日]

読みはじめて早々に、わーすごい伊坂幸太郎！と思いましたが、
どこまで読んでも最後まで伊坂幸太郎でした。
この人らしさという作風で読者を惹き付けられるのってすごいよね。

物騒なのに清々しく爽快です。

悪事の下請け、犯罪の派遣社員のような仕事を請け負う溝口さんと、彼と組んで仕事をする岡田くんと、その周辺のいろいろな人たちのお話。
例によって、読み切れないほどの伏線によってどんどん伊坂ワールドが立体化してきます。

仕事を抜けたい岡田くんが「友達になろうよ」とメールを送り、見知らぬ一家とドライブに出かける「残り全部バケーション」
岡田くんが父親に虐待されている小学生のために一芝居うつ「タキオン作戦」
溝口さんたちが盗難車のトランクに大金を見つける「検問」
岡田くんが同級生と一緒に弓子先生の窮地を救う「小さな兵隊」
溝口さんがボスの毒島を狙う男を探す「飛んでも8分」

なかでも、「超高速粒子タキオン」の話が好きだなぁ。
「残り全部バケーション」と「飛んでも8分」もつながりがいい。
溝口さんと岡田くんをどんどん好きになります。


「とんでもはっぷん」をインターネットで検索したらほんとにそのままで、ちょっとびっくりしちゃった。
「飛んでも8分歩いて10分」の派生語もほんとにあるんだー。
「飛んでも8分歩いて10分メールは一瞬、だとしても飛べるなら飛ぶべきだ」で、もう一度流行らせたくなる。

[タオタロウさんの感想 · 2023年4月24日]

面白かった！登場人物ひとりひとり個性があってクスッと笑えるテンポ

[lighthappyさんの感想 · 2016年4月8日]

#読了。連作集。
溝口と岡田は、毒島率いる犯罪集団のアウトソーシングを請け負う。岡田の子供のころの話から、岡田はどこへ行ってしまったのか？と、面白いキャラとセリフをちりばめた全5章。
時代背景が飛びとびになる中、伏線の回収が相変わらずお見事。最後まで楽しく読めた。”岡田は生きている”方に一票。

[rk25147さんの感想 · 2013年5月7日]

伊坂さんらしい短編集。面白かった！
それぞれの短編が共通の登場人物を抱えながら、
１本の線で繋がっているお話。

軽快な会話や展開、適度なボリュームに、手がどんどん進んだ。
個性的なキャラクターも魅力で、彼らの台詞が時に楽しく、
時に深い言葉をスッと投げかけてくれる。

最後は見事に、えっ・・そこで終わりー!!
とやられてしまうのだけど、モヤモヤもせず、
爽やかな読後感に浸れる作品。

[HNGSKさん · 2013/05/27]

私は、焼肉屋ではないと思いますね！！

[marin2011さんの感想 · 2023年1月5日]

裏稼業で生活する溝口と岡田。二人に起こるウィットに富んだ5つの出来事に、二人は軽口叩きながら越えていく。設定からして伊坂そんの真骨頂感があるし、もはや伊坂幸太郎さんにしか描けない面白さだ。名言も多く、芯をつく一言に僕たちは読むのをやめられないんだと思う。

[Kanaさんの感想 · 2016年6月15日]

当たり屋とかしちゃう悪い人なのに中身が意外に人間臭いというか・・・なんかそういう人を肯定してるというかうーんそういう感じもしなくもないけど・・・
ちょい謎な伊坂さんらしい小説だと思いました。

[moon-uさんの感想 · 2016年4月3日]

もともと大好きな伊坂さん、
この作品、大好き。

毒島さんが溝口さんに教えた食べ歩きのブログ。
きちんと読んだら
以外と岡田さんだって気付いたってことはないかなぁ。
溝口さんだからなぁ。

なんて、思ったりして。

岡田さんがほんと魅力的。
言葉遊びが抜群に面白かった。

著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。