- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715842
感想・レビュー・書評
-
(2016.3.30)
(316P)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
カートを摂取した時と同じ症状が出る(多分)。出てくるみんなが愛おしい。
-
タイトル「恋するソマリア」には二重の意味が込められています。
ひとつは、ソマリアを振り向いてくれない美人女性に見立て、追えどもつかまえられない片思いの相手として描く。
もうひとつは、実在の若き美女・ハムディ姫への恋です。
わずか17歳にしてケーブルTVの世界に入って、政治家へのインタビューでカネをひきだして支局員を食わせるという政治力・経営力を発揮する。美しく、胆力があり、知的。いったい高野が惚れこんだこの女はなにものなのか。
「私は有名になりたいの。目標は大統領になること」
「有名になりたい」ということばの率直さ、力強さ。さわやかな立身出世主義の到達目標が大統領というのがすごい。
いいぞ剛腕ハムディ姫。統一ソマリアの大統領になった姿をぜひ見たい。 -
語学の天才による最新作。海賊の国・ブラックホークが墜ちた国・無政府の国というイメージしかなかったソマリアにここまで入り込んた彼の功績は大きい。前作「謎の独立国家ソマリランド」の続編的な本。写真も多く挿入。よくぞここまでトンデモない旅をするかと半ばあきれながら、ページをめくる手がとまらなかった。2015年1月第一刷。
-
現地の本当の生活(食)へと入りこんだり、銃撃戦まで遭ってしまったり、理解も緊張も更にアップした一冊。ニュースでは分からない情勢も分かるけど、国民性はちょっと無理かな…。決して自分では足を踏み入れたくない場所ですが、もっと読みたいとは思ってしまいます。情勢的に難しくなってると思うので、命を優先に考えるとできれば、という思いですが。
-
『謎の独立国家ソマリランド』の続編。前作より一歩踏みこみ、「普通の人たち」の生活や文化が高野節で生き生きと描かれ面白く一気に読めてしまうが、なぜここの人たちがイスラム過激派(アルシャバーブ)を支持してしまうのか?という件は考えさせられるものがある。とにかく高野氏が無事でよかった。
ツボは、「ソマリ最大の秘境」と、知事ツアー(?)3日目の村の雑貨屋へお買い物に行くところ。 -
面白かったです。
-
『謎の独立国家ソマリランド』でソマリ地域の社会や政治に関する潜入ルポを試みた著者が、今度は文化にターゲットを絞ってその様子をまとめ上げた第2弾。
著者がソマリ文化に心から心酔し、友人たちの助力を得ながら地元の住宅に招かれて料理を習ったり、ときには紛争地域で銃撃戦に巻き込まれたりと、息をつく間もなく怒涛のような出来事の連続に、読み手は強く惹きつけられる。
日本人の生活や文化における価値観とは全く異なったものがそこにはあり、それはそれで良いのだ、という当然のことをありありと見せつけられる様が本当に面白い。
重要な指摘だと感じたのは、ソマリ南部を支配していたアル・シャバーブ(著者が銃撃に巻き込まれたのもこの集団からと推測されている)や、かつて著者がルポを書いたアフガニスタンで抗争をつづけるタリバン等のいわゆるイスラム過激派が、マオイズム/農村主義の一種ではないかとみなしている点である。文化大革命に代表されるようなマオイズムは都市文化を批判し、農村にこそ人間の生活の本質があるという一種の思想であるが、西洋文明/都市文明を批判し、禁欲的な生活を強制するイスラム過激派にその類似性が見られるのではないか、という考えである。そのような観点で眺めてみると、日本においても「農村へのノスタルジー」のような弱いレベルでの農村主義は確かに存在するし、もう少しその度合いを強めればまさにカルトとしての「ヤマギシ会」のような運動もまさにそうであろう。つまり、我々はイスラム過激派の運動を自分たちの文明とは切り離されたものとして一見考えてしまいがちだが、そこには一種の共通する部分もあるのではないか、そここそがこの指摘の非常に重要な点ではないかと思う。
そうした難しい話はなしにしても、ルポとして読ませる一冊。これからのルポにも期待したい。 -
相手(ソマリア)の事を知りたいし、自分の事も知ってもらいたい。それはもうほとんど「恋」のようなのだ。
高野さんならではの手法(言葉、音楽、料理)で彼の地を理解したい!と努力奮闘するせつない冒険譚を辿るうち、日本ではほとんど知ることのできないソマリアの人々の現実の生活や暮らしがリアルで身近に感じられる。暗殺や銃撃が当たり前にある日常。ジャーナリストも権力者も命懸けだ。それにしても「恐怖の大王降臨」は、本当にお気の毒。参りました。面白かった。