恋するソマリア

著者 :
  • 集英社
4.09
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感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087715842

感想・レビュー・書評

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  • 今回も圧倒的面白さ。真面目な部分も不真面目な部分も最高。武装勢力に襲われてるくだりなんかはちょっとこれ大丈夫かとか思うが

  • 三省堂神保町本店でサイン本を入手。

    前作『謎の独立国家ソマリランド』よりもトーンを抑え気味で読みやすかった。著者と一緒にソマリランドとソマリアへ旅に行った気分になれる。

    遠く離れたソマリアのことを知らなくても、日常生活には一切困らないのだが、高野氏の本を読んだ後でアフリカの地図を見るとついついソマリアの位置を確認して一人でニヤニヤしてしまう。

    また、最近何かと騒がしいアラビア半島の地図がテレビに映っても、対岸にはソマリアがあり、イスラム教が海を渡っている過程に思いを巡らせてしまう。
    さらには、マラソンでエチオピアやケニアの東アフリカ勢がトップ集団を形成しているのを見ても、もしかしてこの中の何人かはソマリ人ではないかと考えてしまう。

    これもソマリアへの片想いだろうか。

  • ずっと読みたくて図書館で予約をいれていた。めぐり合わせがわるくてやっと順番がまわってきた。

    国際社会が単に「ソマリア」としか認識できていない地域に飛び込む筆者の冒険日記である。

    筆者によるとソマリアは少なくとも、ソマリランドとプントランドと南部ソマリアに大別できる。南部ソマリアはモガディショがあり、比較的肥沃な土地をもち、故に激しい内戦がおこなわれた。

    ソマリランド: 植民地時代イギリスによる間接統治が行われ、氏族の伝統で内政がおこなわれた。利権はなく、土地は貧しく遊牧民が多い。歴史的に争いは絶えないが、停戦の方法を知っている。イサック氏族が多い。
    南部ソマリア: 植民地時代イタリアによる直接統治が行われ、解放後深刻な治安の崩壊がおきた。最大の港キスマヨや大都市モガディショがあり、土地は肥沃。そのため様々な氏族がクラス。現在でもアル・シャバーブの拠点があるとされる。

    ソマリアに恋している筆者の目線を通して料理や日常のおしゃべりが再現され、ソマリアに自分がいるような気分を味わえる。一方でモガディショ郊外で襲撃される場面は心臓に悪い。

    暮らしに徐々にイスラム教の色彩が濃くなっていく過程をとらえられたのは数年おきにこの地を訪れる筆者ならではの発見で、ソマリア人以上にソマリアを理解できているのではないかと思う。

  • 待ってましたのソマリア本!
    前作があまりに奇想天外抱腹絶倒、世界情勢なんてこれっぽっちも理解できていない私ですら楽しくすいすい読めたので、ずっと心待ちにしておりました第二弾!

    さすがにソマリ世界にも詳しくなった著者だし、こっちも多少は知識があるんだよねぇぇ、二作目だしさ、前作のような驚きに満ちた展開もあまりなさそうだなあ、などと高をくくって読み進んだ前半。
    ソマリ娘に料理を習うくだりなど、ほほえましく楽しく読んでいたが、侮るなかれソマリア紀行!最終章で命からがらの絶体絶命の危機が待っていたとは!
    うーん、なんて危ないんだ。高野さん生きててよかった。本作が読めた。

    こんなに危ない目に遭っても、まだまだソマリ熱が冷めていないようなので、第三弾もあるかな!
    楽しみにしています。

  • 素晴らしい!!
    前作と合わせて読むのをおすすめ。
    読みやすくて笑いながら読めるけれど、シビアな現実も、どきっとするようなこともしっかり描かれていて、さすが高野秀行!な一冊。

    一番印象に残ったのは、命の危険にさらされた時に自分が戦うという発想がなかったことに気づく所。すごくハッとさせられた。
    生きることへの意識が、常に危険にさらされている人とそうでない人では、大きく隔たることを再認識した。

  • 言語を覚え、人の行けないところへ行き、人の出来ない体験をする。高野さんはそれをモットーにあちこちの辺境を訪ね歩いてきた。行動力といい洞察力といい、文章のわかりやすさといい、図抜けた存在だとこの作品でも改めて思った。

    ソマリランドとプントランド、ソマリアと巡った前作が質といい量と、独創性といいあまりに圧倒的だったので、二番煎じだと思ってあまり期待せずに読み始めた。
    しかし、その語り口のなめらかさもあってスルスルと一気読みしてしまった。

    ワイアップ、ハムディといった登場人物の描写は生き生きしているし、源氏物語やら石田三成といった例えは前作のようにやりすぎてなくて良い。リアル北斗の拳という書き方も一箇所しか出てこず効果的だった。家庭料理をマスターしようと執念を燃やしたり、誰も噛んでないのにカートを噛みまくったり、石のような糞をひり出すところは情けなくていい。

    戦闘については、「生きている兵隊」を読んだばっかりだし、高野さんの平易な書きっぷりが緊張感をそこなっている感じ。まあ戦場って案外そんなものかもしれないけど。それよりは戦闘を経験し、現地ジャーナリストに認められるというくだりには感動させられた。

    高野さんの作品を読んで、致命的だなと思うのは、親の描写が出来ないこと。大事なのは家庭料理よりも家庭なんだと思うが、そのあたりは子どもを作らず、勝手気ままに世界中を歩き回ってきたために、獲得できない視点なのだろう。高野さんが寄せてくれた、拙著「床抜け」の感想。そこには離婚や子どもに会えないということに関しての言及がまったくなかったことからも、そうなんじゃないかと思っている。

    とはいえ高野さんが所帯じみたことを書き始めたら、彼の作品のエンタメノンフとしての魅力は半減するので、今のまま突き進むのがいいのではないかな。

  • 読みやすく、わかり易く、面白かった。前の本は最後まで読めなかったので、また読んでみたい。

  • 『謎の独立国家 ソマリランド』に続く高野秀行ソマリもの第二弾。タイトルにある通り、著者はソマリ社会に認められたくて仕方がない。日本にほとんどソマリランド/ソマリアについての知識がある人がいないため、我こそが第一人者であると認められたい。警護一つとっても客人であることは明らかなんだけれども、どこかで仲間だと思ってもらいたい。だってこんなに好きでのめりこんでいるんだもん、という感じだろうか。それは正しく片想いというものに近い。ソマリ人が正しくツンデレ派なので、ますます焦れる。時々向こうも気のある素振りをするものだからますますだ。最後の「裏切り」は著者ならずともちょっと切なくなる。

    内容は、前著以降も定期的に訪れているソマリランド/ソマリアについての話。
    若干ネタバレになるが、ソマリランドの有名ミュージシャンへのインタビュー、ソマリランドへの中古日本車の販売ビジネス、ソマリア人早大生からのお遣い、ソマリ家庭料理の体験、ソマリの知り合いのTV記者の暗殺事件、などなどが著者の切なる想いとともにつづられる。その中でもハイライトは、何よりもシャベル・ホーセ州知事と国会議員との南部ソマリアの取材旅行でゲリラに襲撃された下りだろう。相手は火器で武装して攻撃してきているのだから、本当に死んでもおかしくなかったのだろう。

    著者が相手側に肩入れして深く入り込んで取材をしていることで、「文化の違い」というものがよくわかる。違いはあっても、優劣はないのだという思いを強くしてくれる。

    『謎の独立国家 ソマリランド』ほどの衝撃はないが、『謎の独立国家 ソマリランド』が気に入った人なら文句なくお薦め。挿入されているカラー写真もアフリカらしくカラフルで素敵だ。

    → 『謎の独立国家 ソマリランド』レビュー
    http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4860112385

  • 前著からの急展開もあり、危機一髪もありと、読み応えのある内容。イスラム過激派がなぜ外国人を標的にするかについてのソマリ的解釈にはなるほどと思ってしまった。

  • ソマリアを愛してやまない作者の情熱にあてられる!
    ソマリア近辺のことは全く知らず、状況を飲み込むまで少しかかったのだけど、前作を読まなくても充分ついて行ける、というか引きずられてついて行かざるを得ない。
    一筋縄ではいかないソマリアの人々が、実に魅力的に描かれている。
    ラストの「オチ」もシビアだけどクール。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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