その手をにぎりたい

著者 :
  • 小学館
3.62
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本棚登録 : 1890
感想 : 283
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093863735

作品紹介・あらすじ

「ランチのアッコちゃん」作者最新作!

80年代。都内のOL・青子は、偶然入った鮨店で衝撃を受けた。そのお店「すし静」では、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べる。
青子は、その味に次第にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、と一念発起する。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。一ノ瀬との恋は成就するのか?

感想・レビュー・書評

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  • カウンターを挟んだ恋。
    あの時代を生きていたからこそ、今では贅沢と言われることを次々とすることができたのだろうな。
    夢のような生活から抜け出すことが出来たからこそ、住処を手放し帰る気になれたのかもしれないな。

  • 柚木麻子の『その手をにぎりたい』

    東京で働く青子は実家が干瓢農家でそろそろ実家へ帰る予定じゃったが、送別会を兼ねて社長に連れて行って貰った高級鮨屋で出会った若い職人。

    その職人の握る鮨と手渡しで鮨を渡されるその手に何故か魅了され、東京に残る決意をする青子。

    鮨ネタ事による青子と職人の二人の成長話。
    .
    バブル真っ只中を突き進む二人の関係が儚く切ないw

    2017年19冊目

  • 高級店の寿司にハマる女性がバブルの時代を生き抜いていく様子を描いた10年間の物語。

    とにかく美味しいお寿司が食べたくなる!こんな高級店には縁がなく、行ったらキョロキョロしてしまいそうだけれど。

    青子もそんな状態だったのに、この店に通いたいがために、実家に戻るのをやめ、東京でバリバリ稼ぐ。「女の子はクリスマスケーキ」なんて、なんのその。忙しさからか、恋愛も刹那的で、ちょっと切ない。

    バブル期の描写がとても面白かった。
    当時幼かったのでよくは知らないのだけれど、「とらばーゆ」とか「24時間働けますか」とか、懐かしいフレーズがちらほら出てきて楽しかった。

  • 面白かった。バブルの時代を駆け抜け、寿司と寿司職人に魅せられた青子の生き様はせつなかった。最後は本のタイトルを思い出しました。

  • 昭和から平成へ。
    バブルの香り漂う小説。ページを開くたびにタイムスリップできました。
    小説の中身は自分の生活とはまったく交わりのない内容でしたが、なぜか「あの頃」が懐かしくフラッシュバック。
    何か違う。何かがおかしい。と思いつつも時代に流されて居心地はそんなに悪いもんじゃなかった。あの頃があったからいまキチンと生活できている。そんなことを考えさせてくれるような雰囲気のある小説でした。
    お寿司食べたい。

  • 感想
    おいしそうなお寿司。そこに向かっていける目標。社会からの逆風はあるかもしれない。だけど自分の人生には関係ない。その手に辿り着くまで。

  • 1981年生まれの著者が1983年からバブル期のことを描いている
    バブルワードを入れ込みすぎている感じが否めない

    青子の、板前さん本人よりもその寿司を握る手に想いが募っていて、その気持ちだけで仕事を頑張ってきている

  • ジャケ買いならぬジャケ借りしたこちら、タイトル「その手をにぎりたい」で、寿司屋舞台の物語とはなかなか良い。
    時は昭和バブル期。座るだけで3万円の高級寿司屋に通うために働くOL青子。ワープロ、とらばーゆ、お茶汲み、ソバージュ…古臭いワード炸裂。景気は良いけど女性の社会進出に苦労の多い時代だったんだなぁとお仕事女性の苦悩も描かれる。
    一ノ瀬さんが握る魂のこもったお寿司が美しい。ものすごく美味しそうで日本酒が飲みたくなる。先日読んだBUTTERもそうだったし、食の描写がたまらなく上手。
    序盤はすごく好きだったけど後半やや失速した。

  • バブル期とバブル崩壊
    一年分漬けるガリ
    寿司屋と不動産屋
    握る

    とにかくお寿司食べたくなる
    図書館本

  • Audibleにて。
    とにかく美味しいお寿司が食べたくなる。板前さんから手渡しで渡されてそのまま口に運ぶって、、どんな感じなんだろう。なんだか板前さんに惚れてしまう人多数いそう。笑

    主人公の女性は何となく好きになれないまま終わった。

  • バブルと寿司とOLと。
    時代に翻弄されるOL青子が酸いも甘いも涙も飲み込んで逞しくなっていく。

  • お寿司食べたい、、。
    最後二人が並んで、彼がタメ口で話した瞬間のカタルシスがすごい、良い。一ノ瀬さんかっこいいよ

  • 2022.8.6
    気の強い女だ。
    途中からちょっと違うぞ、変な方向向かっていると寄り添えなくなってしまった。
    美味しいお寿司は魅力的だが、一食に3万は私はムリだ。
    そこまで食を極めるのはすごいけど、
    そういう人もいるからお店もあるのだね。
    技術も磨かれる。
    所詮バブル時代の空気感。客も店も頓挫してしまったのは残念だけど、

    地に足をつけて歩く決心、大切かも。やりきった爽快感はあるだろうし。

  • 柚木麻子さんは食べ物の描写が本当に秀逸。
    仕事に真摯に向き合う一ノ瀬さんのお寿司、私も食べてみたくなりました。

  • バブル期の寿司屋と不動産屋かぁ。
    ある意味での歴史書…私の知らない時代の話。
    ステレオタイプ的なバブル描写がいっぱい出てきてテンション上がる。

    どの時代でもマジョリティとして生きられないタイプの女っていて、それは本人にとっては茨の道でも誰かにとっては羨ましかったり輝いて見えたりするものなんだろうなぁと思った。私もマジョリティとしては生きられない女なのでなんかちょっと勇気出た。
    バブルだからってみんなジュリアナで踊ってるわけじゃないもんね。

    若き寿司職人(しかも高級寿司店の)が"推し"ってことでしょ、推し活お金かかるねぇ…
    でも1回5万円とかでお寿司越しに触れ合えて美味しいお寿司も食べられるならそりゃ通うよね…

    旬のネタが食べたくなるわね

  • お寿司の描写が本当に綺麗でした。読みながら何回も回らないお寿司屋さんに行きたくなりました。
    バブルという言葉は知っているけどまだ子どもだったから実際にはよく知らない世代。日本にもこんな時代があったんだなぁ〜。
    最後のサビは、切ないけど青子と一ノ瀬さんの2人の時間がすごくよかった...。長いような短いような 10年だったなぁ。

  • 寿司の描写が綺麗ですごく食べたくなった。
    バブルの時代がよくわかったし、20代後半の女友達とのステージの違いで分かり合えないこともすごく共感。
    最後の会話もよかった。
    成長できるような行きつけのお店や自分のために自分でお金を使うということをしたくなった。

  • ひゅーひゅー、ロマンチック!いやぁ題名が良い。その手をにぎりたい、というのがお鮨屋さんを舞台にした恋愛小説なんて...なんかシャレオツ。時はバブル時代。上司に連れられて超高級鮨店に初めて入った青子。そのお鮨の美味しさに、若き板前さんの佇まいに身も心も奪われてしまう。自分1人で通えるようになりたい。華やかさと酔狂さが混濁した東京でガムシャラに働く事を決める青子。まずお鮨が美味しんぼもビックリの本当に美味しそうな描写。そして主人公青子の紆余曲折に人間らしさを感じられて、流れる10年の歳月にドップリハマった。

  • バブリーの説明を受けたようだ。当時、こんな世の中だったんだね。今考えたらハラハラしちゃうような好景気。きっと当時は女性が仕事で活躍することはあまり一般的じゃなかっただろうに、青子の踏ん張りがすごい。
    この時代なら、アッシーメッシーネッシーとかも出てくるのかと思ったらそうではなく、青子と一ノ瀬さんの関係はもどかしいほど。
    最後のシーン、終わらないで欲しい。いい終わり方。

    にしても、一ノ瀬さんのお寿司が美味しそうでたまらない。

  • 故郷に帰ろうとしていたOLが上司に連れていかれた銀座の寿司屋の職人と出会ったことで生き方を考え直すストーリー。

    今から30年以上前に女性が男社会でバリバリ働いて稼いで、そして自分のお金で好きなものを食べたいと思うのは相当風当たりが強かったと思うのに、少しずつ強くなっていく青子の姿がとても格好よく思えた。

    その生き方を体を貫いたせいで体を壊しているし、結婚した友人と上手くいかなくなったり、正解ではないのかもしれないけど、男相手に色目を使ったりしないところが好き。

    あと、時代を感じる登場人物の職業とか働きぶりや今ではびっくりするようなお金の動きも当時を知らない世代としてはおもしろかった。。

    ずっと想い続けてきた一ノ瀬とのラストシーンにはジーンとしつつ、あれ以上になって欲しいような、欲しくないような…。でも結局あの距離感がこの二人にはちょうどよかったんだろうなぁ。

    ちなみに本日は父の日だったのでスーパーでお寿司を買って食べたのだけれど、どうしたって銀座のお寿司はどれくらい美味しいのか想像せざるをえなかった笑。

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著者プロフィール

1981年生まれ。大学を卒業したあと、お菓子をつくる会社で働きながら、小説を書きはじめる。2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞してデビュー。以後、女性同士の友情や関係性をテーマにした作品を書きつづける。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞と、高校生が選ぶ高校生直木賞を受賞。ほかの小説に、「ランチのアッコちゃん」シリーズ(双葉文庫)、『本屋さんのダイアナ』『BUTTER』(どちらも新潮文庫)、『らんたん』(小学館)など。エッセイに『とりあえずお湯わかせ』(NHK出版)など。本書がはじめての児童小説。

「2023年 『マリはすてきじゃない魔女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚木麻子の作品

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