- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093866262
感想・レビュー・書評
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決して明るい気持ちになれる話ではないが、読み終えた時、一筋の光を感じた。
戦前、戦後を駆け抜けるように生きた一人の女性と、彼女が遺した一人の赤子。この二人が歩む人生が物語の主となっているが、貧困とはこんなにも人を追い詰めるのかと読んでいて悲しくなった。逆に、人はここまで強くなれるのかとも。
人の一生は悲しい。どう足掻いても最後に待ち受けるのは「死」だからだ。それでも終いまで、その時まで命を、己の人生を全うしなければいけないのは何故なのか。
厳しさの中に少しの暖かみ、そして生きよという声が聞こえた気がした。 -
凄まじい小説でした。この様な物語を書ける人は選ばれた作家さんなのかもしれない、そんなことを思いながら読みました。
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すごく読み応えのある作品だった。この人の書く時代が自分の興味にドンピシャだからなのかもしれない。タイトル『絞め殺しの樹』については、本文中にもふれている部分があったけど、別の例えもできるのではないかと思った。雄介の強い思いが、地域社会の負の部分を絞めつけてもらいたいと思った。
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読み始めてすぐ苦しくなったけど続きが気になって一気読み。
精神状態良くない時には読めないな… -
直木賞候補作。下馬評で本作が大本命、ってのも見かけたってのもあるし、何よりも蠱惑的なこのタイトルよ。まんまホラーだとしても気になるし、そうじゃないとすればどんな内容なの、ってことで読前の期待は大。北の果て・根室のとある街で、戦争をまたぐ時代に生きた人たちの活劇。とはいえ、戦争にはほとんど触れられず、それがメインではない。ほぼ同時に読んだ”絶対正義”にも少し通ずるところがあり、でもこちらの方が、エンタメ色は控えめ。リアルさというか、人間の本質への肉薄加減は本作が上で、自分的にも、本作を、より味わい深く感じた次第。
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なんでこんな題名なのかは
本文を読んでいただくとして。
いやぁ…なかなか厳しい物語でした。
特に第一部、母の一代記編。
昭和期の女性の生きづらさに
開拓民の厳しさがのっかって息が詰まる。
第二部の息子編は
ちょうど自分と同世代くらいだから
少し感情移入がしやすい。
どちらにも、本当にいい加減にしろと
言いたくなるような人々がいる一方
こういう手が伸ばしてくれるから
生きていけると思わせる人もいて。
勧められて手に取りましたが、読んでよかった。