絞め殺しの樹

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 891
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866262

感想・レビュー・書評

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  • 思い出したくなかった人たちがいた。

  • 叔父さんだったというのは少々強引だったのでは。
    それでも河﨑秋子の筆力を感じる一冊だった。

  • 救いがないようなあるような
    辛かった。
    優しくて強い人は搾取される。
    そう一言でまとめてしまうには重すぎる。
    なぜそれにしてもそんな強くあれるのか、その強さは、本当に絞殺されるために使われるべきなのか、もどかしい気持ちにもなってしまう。
    屯田兵という、歴史の中で事象としてしかとらえてこなかった存在にも、新しい視点を得る。それぞれの屯田兵として北海道に来た事情。過酷な環境での厳しい労働の中で、生きていくためのそれぞれの拠り所が屈折することもあるだろうと思うが、どのようなところでも生まれてしまうヒエラルキーは止められないもんなんだろうか。とてももやもや。

  • 親と子の二代に渡る長い長い生涯とその覚悟を体験することができた。
    ラストのけじめの付け方というか、覚悟の仕方が好きだ。

  • 戦前〜の別海町で生きた親子二代の記録
    厳しく冷静で聡明な2人
    幸せとは。

  • 力作だけど息子編必要なのか?叔父も後出しジャンケンみたいで混乱しただけ。「荷物や悩み肩代わりばかりしている」と分かっているのに逃げ出さない主人公にイラッと。「たとえ居心地の良くない家だとしても、かかる不便や苦痛に対する我慢をし通すのが大人というものだろう」違う!「人は、木みたいにね、すごく優しくて強い人がね、奇跡的にいたりするの。でも実際は、そういう人ほど他の人に寄りかかられ、重荷を背負わされ、泣くことも歩みを止めることも出来なくなる。あなたのお母さんも、そんな子だった」「絡み付いて、栄養奪いながら芯にある木を締め付け元の木を殺してしまうのが菩提樹。別名シメゴロシノキ」知らなかった…。

  • 23.02.11読了
    これは、ここまでの作品を書き上げた作者に敬意を込めて。
    1人の女性の人生と、それに関わる子どもの話。
    子どものことまで書いたのはすごい。どう考えたら、ここまでの作品を書けるのか、まとめられるのか、それがすごい。

    皆、自分の生き方を正当化したい。自分のものの見方で捉えようとする。選択ができるように見えて、できない。それで安心するのも事実。
    そんな生きづらさを書いている。
    そこにどう向き合うのか。あきらめるのか、投げ出すのか、立ち向かうのか。どんな人生であれ、何かしらは繋がっているのだと感じた。

    この作家さんの作品は今後も読んでいきたい。

  • 他人のために自分が利用されて、身が削られてしまう毎日。
    死ぬまでひっそりと息をひそめて生きていくか、逃げ出して解放されるか、それともむしろ自ら絡めとられていくことを自覚しながら生きることを覚悟するか。
    大人になるにつれ自由を手にいれるような気がしてしまうが、人が生きる世界は閉じたり開いたりを繰り返していて、少しずつ狭まっていくものなのか、とおもった。

  • タイトルの雰囲気そのものの息苦しいやりきれなさを全編に漂わせた小説。どんよりした根室の変わることのない非道な吉岡家なのだから、逃げることもできたのにまた戻って来るミサエのどうしようもない不幸体質が哀しい。養子に出さざるを得なかったというのも、悪い方へ悪い方へと転がっていくミサエなら仕方ないのだろう。
    ただ雄介のこれからが明るいものとなるよう希望を残したラストで良かった。

  • 主人公となるミサエを主軸にその家族の強く逞しく生き切る姿に感動も覚え、読み応えある小説です。

    陰湿で暗い環境から始まる
    空気感や匂いまでも伝わるような言葉の紡ぎ方がとても上手だと思いました。

    ただ、私見ですがストーリーに欠かせない取巻きの面々の悪人率が高すぎてしんどく感じました。
    常に満身創痍で孤軍奮闘を強いられているのは
    流石に辛く感じました。
    もう少し、救いがあったらと思う場面が多々あり。

    ただ河崎秋子さんの作品はほぼ読了しましたが、この作品は著者の中でも1番熱中して読むことができました。

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著者プロフィール

1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞、14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、15年同作でJRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞を受賞。『土に贖う』で新田次郎賞を受賞。

「2020年 『鳩護』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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