絞め殺しの樹

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 892
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866262

感想・レビュー・書評

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  • 不吉なタイトルから連想されるように、終盤まで胸が悪くなるような展開が続く。何度読むのをやめようと思ったことだろう。しかしところどころで、汚泥の中の蓮の花のようなはっとさせられる言葉が心を打つ。先へ促す。
    悪人というよりどうしようもない厄介な人間ばかり登場するが、それが実にリアル。ラストも実に良かった。

  • 2022.11.11

  • 壮絶な話。
    読み進めるのが辛くなる場面も多かったが、気になってすぐ完読。
    小山田がとにかく無理。。
    いるよなー、こういう人。

  • センセーショナルな表題なので、殺人事件でも起こるのかと思いきや。しかし、呪いのように人を縛る、という意味では、"殺す"という表現もさほど遠くない。
    不満と要求が多い人だな、という印象。

  • 屯田兵後の時代を生きた子どものときのミサエと、大人になってからのミサエがつながらず。昭和ではなく、現代の雰囲気を感じたのが残念。

    絡み合って成長し宿主の樹を枯らす。複雑に絡み合って、どちらがどちらか分からない。
    何事もなく過ごした人よりも、苦労し努力した分だけ人は成長する。寄生していたつもりが寄生されていたという。。

    腐らず、努力を怠らないよう、生きていきたいと改めて思いました。

  • 北海道の寒さが身に染みる…

  • 第167回直木三十五賞の候補作 私は初の河崎秋子作品。

    少しダークなイメージのタイトル「絞め殺しの樹」
    それはお釈迦様が根木の根元で悟りを開いた時の菩提樹。
    インド菩提樹は、蔓性の植物で、しっかりした樹にが絡みつき 栄養を奪いながら芯にある木を締め付け 枯れて朽ち果てさせる。別名 シメコロシノキ。

    根室で生まれ育ったミサエ。
    両親の顔を知らず祖母に育てられるが、祖母が亡くなると親戚、そしてミサエの一生の足かせとなる吉岡家へともらわれていく。
    理不尽に働き手として無休でこき使われる日々。
    それでも 懸命に生きて学び、保健師の道を開いていく。
    だが・・・・。

    極寒の中 理不尽な運命と時代にがんじがらめにされながら 強く生き抜く 女性の生涯。「おしん」のように 心根が優しいからこそ 負わされる他人の悪意が悲しい。
    辛い内容なので 心も体も健康な時に読むことをお勧めします。

  • なんだかいたたまれない気持ちになる本でした。

  • シメコロシノキとは菩提樹のことだそうだ。

    他の木に取付き、養分を吸い尽くし、締め付けに締め付け、最後に宿主を枯らしてしまうが、そのときには宿主に頼らなくても自立できる程に強くなっているという。

    本書はむしろ様々に寄生されて人生を歪められながらも強く生きる寄木側の人々が主人公だ。

    苦難の連続だった人生を歩む主人公に対して、菩提寺の房主の妻であり主人公と縁の深い人物がいう「あなたは哀れでも可哀相でもないんですよ」という言葉は主人公にもだが、読者にも軽からぬ驚きをもたらす。
    盛者必衰、その生がが長かろうが短かろうが、生あるものは必ず死を迎えるという仏教の真理に即したものか。

    血縁は不明だが全編を通じて出現する白猫は永続する時間の象徴と思える。

    虐げられながらも真っ直ぐに生きようとする主人公親子の生き様は、読者に勇気を与える。
    苦難の人生を正面から骨太に描いた作品は、近年では稀有ではないか。

  • 北海道根室を舞台に、母・ミサエと、息子・雄介の2人の人生を描いた作品。
    第一部ではミサエの幼少期から中年期までが綴られるが、読むに耐えないほどつらい内容で、なかなかページが進まない。それでも読むのを止めようとはまったく思わなかった。
    第二部では息子である雄介が主人公となるが、これまた決して楽しい話ではない。まあ第一部よりはだいぶマシではあるが。
    この内容で430ページ、つらい読書だったが、読み終わると一種の爽快感を覚えたのが不思議である。
    第167回直木賞候補作。

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著者プロフィール

1979年北海道別海町生まれ。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞、14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、15年同作でJRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞を受賞。『土に贖う』で新田次郎賞を受賞。

「2020年 『鳩護』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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