ラインマーカーズ: The Best Of Homura Hiroshi
- 小学館 (2003年5月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093874496
作品紹介・あらすじ
極彩色の都市を疾走する歌人、穂村弘初の自選ベスト歌集。
デビュー以来ニューウェーブ短歌の旗手として活躍し、ポップで切ない極彩色の短歌と、爆笑と共感を呼び起こすエッセイで、今や最も期待される書き手である穂村弘の、自選ベスト短歌集です。デビュー作『シンジケート』、第二歌集『ドライ ドライ アイス』、そしてタカノ綾のイラストレーションとのコラボレーションで話題を呼んだ連作歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』からセレクトした230首に、歌集未収録の短歌130首、そして本書のために書き下ろした30首を収録。青春の歌、恋愛の歌、都市の歌、祈りの歌・・・。世界的アーチスト、大竹伸朗が描き下ろしたチャーミングな装丁にくるまれた、これはあなたと世界の心臓を爆破するキュートで危険な歌集です。
感想・レビュー・書評
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穂村弘さんの歌集ですね。
穂村弘さんの歌集は初読みです。
『大学のときに初めてつくった歌からさっき台所でつくった歌まで。全てのなかから400首を選んで一冊にまとめました。』とあとがきに、述べられています。
読んでるときに思い浮かべたのは、深煎りの豆を粗挽きで挽いて、紙フィルターで淹れた珈琲ですね。ガツンと苦味がきて、芳醇な薫りと甘さが拡がるあの感じ。私的には好みの味では無いのですが、善い珈琲だと思います。あっと、善い歌集ですね。
真夜中の大観覧車にめざめれば
いましも月にせまる頂点
パレットの穴から出てる親指に
触りたいのと風の岸辺で
隕石のひかりまみれの手で抱けば
君はささやくこれはなんなの
抱き起こす自転車のカゴゆがんでる
散らばる雲のその下をゆく
赤ちゃんの靴と輪投げと月光の
散らばる路面電車にひとり
金色の水泳帽がこの水の
どこかにあると指さした夏
望遠鏡を覗き込むとききらきらと
ひとり残らず靴ひも解けて
夢の中では、光ることと喋ることは
おなじこと。 お会いしましょう
目が覚めたとき鼻先にくるくると
シャボンの球が回る日曜
冷蔵庫が息つく夜にお互いの本の
ページがめくられる音
きらきらと海のひかりを夢見つつ
高速道路に散らばった脳
ちょっとふざけているのかなと思う歌もあり、かなり柔軟な歌風ですね。
短歌の旗手としてムーブメントを起こした穂村さんのベストコレクションは、確かに楽しい短歌を感じました。
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穂村弘ベスト
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抱きたいといえば笑うかはつなつの光に洗われるラムネ玉
風の交叉点すれ違う心臓に全治二秒の手傷を負えり
愚か者・オブ・ザ・イヤーに輝いた俺の帽子が飛ばされて 海へ
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無力感や不安みたいな人間味を、あえてポップでギャグっぽい、無邪気さで包んでるような歌が魅力的
その中でも、そういう"青春性"みたいなものがめいいっぱい前景化してきたひたむきなうたの、威力
.
終バスにふたりは眠る紫の<降りますランプ>に取り囲まれて
校庭の地ならし用のローラーに座れば世界中が夕焼け -
2003年時点での「The Best of Homura Hiroshi」です。
歌集収録作品以外にも、未収録作品、書き下ろしも入ったファンにはうれしい1冊。
ほむらさんの歌集はエッセイとのギャップがすごく感じられます。
エッセイだと、おどおどした自意識の強いおじさん(失礼!)なのですが、歌集になるとそんなところが微塵もないのです。
きっとそんなギャップにくらりときちゃう女性が多いのでは・・・?
ほむらさんの短歌は、思いもよらぬもの同士が共鳴してはじけて、鮮やかな光を撒き散らすのです。
タイトルにちなんで、蛍光のラインマーカーで描かれた装画もすてきです。 -
穂村弘氏のエッセイは読んだことあるけれど詩集は初。
大半が意味がわからない
でもそういうのに限って
じわじわくるから不思議だ。
「ごーふる」の序盤は好き。
(後半はまったくついていけない)
美しいと思える短歌もある。
"夜のあちこちでTAXIがドアを開く飛び立つかぶと虫の真似して"
一番好きなのはこれだ
"こんなめにきみを会わせる人間は、ぼくのほかにはありはしないよ"
きっと誰もが誰かを思い浮かべる歌だろう。 -
音読で読了
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初めての穂村弘。1ページ本を開いただけで心を撃ち抜かれた。なんという独特の美と世界観!!『短歌』という歴史としきたりを軽々と飛び越えた言葉の結晶。これが短歌か?なんてくだらない批判はやめにしようぜ?これは穂村弘という宇宙なんだ。
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手紙魔まみ、は読もうと思ってそのままになっていたのでここで読めていっそう興味を持った。
ただ全体的な感想でいえば、動物にそんなことしないで!と思う表現がままあったのでちょっと……。
わりとよくわからないし、表現の仕方が私は苦手だった。
それでも気になる短歌がいくつもあった。
手紙魔まみより
・貴方のことだけを考えながら、この手紙は、急速におわります
・これと同じ手紙を前にもかいたことある気がしつつ、フタタビオクル
・夢の中では、光ることと喋ることはおなじこと。お会いしましょう -
穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイも多数執筆しており、『鳥肌が』で講談社エッセイ賞(2017年)を受賞している。
本書は、第一歌集『シンジケート』(1990年出版)、第二歌集『ドライ ドライ アイス』(1992年)、第三歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』(2001年)からの抄録に、個人歌集未収録作品、本書のための書下ろし作品を加えた、所謂ベスト版である。収録首数は400。装画は大竹伸朗、装丁は名久井直子による。
私は、短歌についてはこれまで、社会現象ともなった『サラダ記念日』を30余年前に読んだだけであったが、最近歌好きの友人を真似て歌を詠み始め、また、たまたま読んだ穂村氏のエッセイが抜群に面白かったことから、本書を手に取ってみた。
一読して感じたのは、予想以上に難解(という表現が適切か分からないが。。。)な歌が多かったことである。穂村氏は俵万智と同い年で、デビューも『サラダ』と同年なのだが、ほぼ同年代(故に時代感覚にはズレがない)の私にとっても、『サラダ』はソフトでストレートに入ってくるのに対し、穂村氏の歌はゴツゴツしていて消化するのが難しいというのが正直な印象であった。
穂村氏のエッセイを読むと、氏の感性が鋭敏で、独特であることよく分かるし、“社会的に価値のあるもの、正しいもの、値段の付くもの、名前のあるもの、強いもの、大きいものではなく、社会的に価値のないもの、換金できないもの、名前のないもの、しょうもないもの、ヘンなもの、弱いものを、唯一無二の言葉で表現するのが短歌”という氏のポリシーからすれば、これぞ穂村短歌の世界ということか。。。
今後も様々な現代歌人の歌に触れながら、私も、自らの感性に従って、少しずつ歌を詠んでいきたいと思う。
(2021年3月了) -
よくわかんない歌がいっぱい。
眠いときによむと余計わからん。
けどじっと見てるとあー!ーそゆこと?みたいな歌もあった。
装丁がかなりかわいい。
本棚のチャームポイント黄・ピンク・青・黄緑の『ラインマーカーズ』
面白くない気がするけど面白い気もする寝てからもっかい読もう -
ぱふぱふしたい
ってな事で、穂村弘の『Linemarkers ラインマーカーズ
』
ほむほむは、やっぱり天才じゃね
こんな詩を言ってみたい、書いてみたい。
この言葉のチョイスが凄いよなぁ♪
視える情景、視えない情景、沼にハマる情景がスリリングでゾクゾクするわ~
頭を空っぽにしてぶっ飛ぼうぜっ!
2021年17冊目