- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093965200
感想・レビュー・書評
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12月に入ってネットの記事かなんかでふと目にとまった本。
珍しく「読みたい!」と強く思って探したがネットでは見つからず。
2週間待ちとか入荷次第発送とか・・・
落胆しつつ一応帰りに地元の本屋覗いてみたらフツーに売ってた。
ビバ地方ヽ(´-`)ノ
「余命ゼロ」なんてそうあるもんじゃない宣告を受けながら、
自分の死を自分でプロデュースした500日間をまとめた手記だ。
現在アラフォー半ばで、今後もおひとりさまで過ごすつもりの
自分にとって、「死ぬ準備」というものは密接に関連する事項なので、
そのあたりの心構えというかなんとなしのノウハウというか、
そういうのが読み取れるかなと思って購入した。
が。
そんなカンタンなもんじゃなかった。
死が怖くない人なんて、ぶっちゃけいないと思う。
金子さんもそういう姿を隠さず描写している。
それでも周りに迷惑をかけないように病気を隠し、
その裏で死ぬ準備を着々と進める姿が次に続く。
ラストは潔いというかすがすがしいというか、
「え、これで終わりなん?」という感じのさらっとした文章。
あ、読み終わったんや、とわかってからしばらくぼーっとしてしまった。
自分が死ぬ時どんなふうに死ねるやろ。
この本を読んでからよく考えるようになった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
葬式の一切、お墓の事などを最初から最後まで取り仕切ったという(それだけでもすごいことなのだが)著者の金子さんの本という印象でなにげなく手に取った。
今自分の持っている、ただでさえ少ないボキャブラリーでは到底表現しえない、想像以上に圧倒された感覚を覚えながら、この1冊を読んだ。
普段、ただでさえ本を読むのが遅い私が、最初から最後まで、2日かからず、あっという間に読み切った。
流通ジャーナリストになるまでのこと、なってからのことを綴っている時には、聞き覚えのある声で語っているかのよう。
肺カルチノイドとわかってからも、聞き覚えのある声で語っているかのようではあるけど、
葛藤、弱さも見え隠れしながら、語られていて。
死の準備をひとつひとつ行っていく様子が、あまり手に取るように語られていて、
読んでいる最中に、「この人、本当に亡くなった人なんだよな?」と何度思ったかわからない。
相手の「喜ぶこと」を見つけ出すという信念を持って、金子さんが最期まで本当に仕事をすることを貫いた意志、力を感じずにはいられなかった。
最終章に、奥さんの手記によって金子さんの最期の様子が語られているけど、本当にその意志を貫いたことを、ここからも実感する。
この本を読んで、跳ね返って、自分が生きていることとはということ、自分がつくづく生かされていることを考えさせられた。 -
治らない病気が判明してからの手記になるが、
良く生き良く死んだ金子さんだったのだなぁ、とほっとしました。訃報を聞いた時はショックだったので… -
<閲覧スタッフより>
41歳で急逝した金子哲雄氏。彼は売れっ子流通ジャーナリストとしてTVや雑誌で大活躍されていました。突然余命宣告された時、人は何を思い何をするのでしょうか?自分の残りの人生を考える?残される人たちのことを想う?金子氏の終活には賛否両論があるかと思いますが個人的にはこんな終活も良いのではないかと思いました。
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所在記号:675||カネ
資料番号:10216513
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亡くなる直前に激痩せした姿を見て驚いたんだけど、本書を読むまでこれ程苦しんでいたとは思いもよらなかった。
仕事に注いだエナジーの10分の1でも体調管理に向けてほしかった。読みながら、変な咳が出始めた段階で医者に診てもらっていたら、なんとかなったんじゃないかと思わないでもなかった。でも、そんなこと言ってももう詮無いし、そのうち僕もあなたも行く場所だ。
ただ、金子さんが今でも元気なら、今の日本をどういう風に見ていたんだろうと夢想する。『スッキリ』や『ホンマでっか』に出てたりしたんだろうか。 -
愛、死生観、闘病、お金、後始末。
金子さんらしい、おトクいっぱいの一冊。
戦っている人には頑張れ、ではなく、
好きにしなよ、が正解なんだな
体を大事にとか、休め、とか、
早く治せ、とか、他人が言う事じゃない
好きにできるよう、ヘルプするのが
その人のためになる -
『正しい死に方』『在宅終末医療』『生涯無休』いろんな言葉が心に残ります。一人でも良かったって思ってくれる人がいれば、やり続ける意味はあるし、やってて良かったって思える筆者の心根が感じられる一冊でした。本書の構成ではあとがきになってますが、奥さんが執筆されている2人で過ごした500日、これが泣けました。自分もいつか死を迎えますが、その時はどんな気持ちなんだろう・・・。
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氏とは名前も年も近いこともあって、テレビに出だした頃には気になっていた。
テレビから伝わってくるキャラクターと、その舌足らずの話し方もあり、正直に言うと、「変わった人だな」ぐらいにしか思っていなかった。
あまりテレビを見なかったこともあって、激ヤセしたという話も知らなかった。
なので、日経新聞の朝刊で訃報を目にしたときには非常の驚いたのを覚えている。だって、41歳という若さであったし。
この年で、しかも、今の日本で、治る見込のない死の病を宣告される気持ちというのがどれだけのものか、想像もつかない。
想像もつかないが、事故や脳、心臓の病気などのような突然死と、がんのように意識ははっきりしている病気と、自分ならどちらがよいのだろう。答えは出ない話だ。
氏の考え方やご夫婦仲の良さなどを読むと、本当によい人だったんだなと感じさせられる。本書には出てこないが、売れない時代に世話になったコンサル事務所へは、必ずご自身で中元、歳暮は持参されたそうである。
Only the good die young.
[more]
(目次)
第1章 流通ジャーナリストと名乗って(数学の勉強はやめる―高2の決断
石の上には1年でいい―腰かけ会社員生活 ほか)
第2章 昼も夜も時間が足りない(一致した「嫌い」―妻が最初の視聴者
女性週刊誌からテレビへ―競争相手の少ない世界 ほか)
第3章 発病。あふれてしまう涙(9センチの腫瘍―病院で門前払い
「咳、おつらかったでしょう」―仕事と治療と ほか)
第4章 最後の仕事は死の準備(長びく肺炎―最後のラジオ出演
東京タワーの足下に―葬儀の準備 ほか) -
流通ジャーナリストを自称しテレビにもよく出ていた著書が、珍しい難病の肺カルチノイドによりいつ死んでもおかしくない、と余命?宣告を受けてから41歳で亡くなるギリギリまでの本人による手記と奥様によるあとがき。目前の死を受け入れる感覚は共感も共有も出来るはずもなくただこの人の強さに驚く。医療との付き合い方の一例としても参考になります。
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流通ジャーナリストの金子哲雄氏が、肺カルチノイドというガンに似た病気になり、2012年に41歳で亡くなるまでの、彼のキャリアと終活を記録した本。
テレビを見ないので、彼の存在は知らなかったが、世の中のお得な情報を発信する仕事をし、テレビやラジオや講演会に引っ張りだこだったようだ。発病の前も後も、大好きな仕事に打ち込む夫を支えたのは妻である稚子さんである。死ぬことが分かった以上、最期の数か月は、残った人に迷惑が掛からないように、自分の葬儀をプロデュースし、遺言書を作成し、闘病の記録を本にし、準備をしていく。
自分の愛する人が目の前で弱って死んでいくという苦しみは、想像を絶する。金子氏は、介護してくれる妻に申し訳なく思い、お世話になった人にお礼を言い、亡くなった。若くして病気になって気の毒だな、と思いながら本文を読んだが、奥さんによるあとがきで涙が出た。でも、大好きな仕事を最後まで続け、大切なパートナーに見送られ、早世は無念ではあったろうが、幸せな人生だ。
夫婦の在り方も考えさせられた。