世界から猫が消えたなら (小学館文庫 か 13-1)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 1410
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060867

作品紹介・あらすじ

感動のベストセラー、早くも文庫化!

世界から猫が消えたならは、脳腫瘍が見つかり、 余命わずかであることを宣告された、ちょっと映画オタクで猫とふたり暮らしの郵便局員の男性が主人公の物語です。
自分と全く同じ姿をした男がいきなり現れ、男は悪魔だと言い、奇妙な取引を持ちかけます。
「世界から1つ何かを消す。その代わりに1日だけ命を得ることができる」
生きる為に、消すことを決意した主人公と猫と悪魔の7日間が始まります。

感想・レビュー・書評

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  • 2024.2.9 読了 ☆9.0/10.0


    いいものは、月日が経っても色褪せない。
    この本にも同じことが言える。

    10年前に刊行された物語を、高校生の時に初めて読んだ。

    当時は自分に響かなかった言葉に、今読んだ自分は心動かされている。

    その差こそが、大人になったということなのだろうか。成長したということなのだろうか。

    本読むことの価値を改めて教えてもらった。


    さて、巻末の中森さんの解説にもある通り、


    “「何かを得るためには、何かを失わなくてはならない」
    そんな苦い哲学を含んだ寓話だった。
    そう、これは現代のおとぎ話なのだ。おとぎ話が何らかの教訓を含んでいるように、この小説にはハッとする言葉や、ためになるパンチラインがたくさん出てくる。”


    ハッとさせられる言葉がたくさん出てきて、未熟な自分に正直チクリと心に刺さって痛いのです…


    そんな、心地良くもある心の痛みこそ、この本の味わいなのだと感じます。


    “目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないのだ”


    全くその通りで、ぐうの音も出ません…


    何度でも読み返したい本です。




    〜〜〜〜〜心に響いた言葉〜〜〜〜〜



    ○世界から電話が消えたなら


    僕らは、電話ができることで、すぐつながる便利さを手に入れたが、それと引き換えに相手のことを考えたり想像したりする時間を失っていった。電話が僕らから、想いをためる時間を奪い、蒸発させていったのだ



    恋には必ず終わりが来る。必ず終わるものと分かっていて、それでも人は恋をする。
    それは生きることと同じなのかもしれない。必ず終わりが来る、そうと分かっていても人は生きる。恋がそうであるように、終わりがあるからこそ、生きることが輝いて見えるのだろう。



    電話そして携帯電話の発明により、人はすれ違わなくなり、待ち合わせをする意味を失った。でも、つながらないもどかしさ、待っている時間の温かい気持ちが、あの震えが止まらないほどの寒気と一緒に僕の中で力強く残っていた。



    そのとき僕は気付いた。この気持ちが、学生時代に彼女からの電話を待っていたときの、あの気持ちと同じであることに。すぐに伝えられないもどかしい時間こそが、相手のことを想っている時間そのものなのだ。
    かつて人間にとって、手紙が相手に届き、相手から手紙が届く時間が待ち遠しかったように。
    プレゼントは、物"そのもの"に意味があるのではなく、選んでいるとき、相手が喜ぶ顔を想像する"その時間"に意味があるのと同じように



    ○世界から映画が消えたなら


    「生きていくことは美しく素晴らしい。くらげにだって生きている意味がある」
    そう。くらげにだって意味がある。だとしたら映画にも、音楽にも、コーヒーにもなんにだって存在する意味があるのかもしれない。「あってもなくてもよいもの」こそがこの世界にとって重要なものだとさえ思えてくる。無数の「あってもなくてもよいもの」が集まり、その外形を人型にかたどって「人間」というものが存在している。



    もし自分の人生が映画なのだとしたら。僕はエンドロールのあとも、その人のなかに残る映画でありたい。たとえ小さく地味な映画だとしても、その映画に人生を救われ、励まされた人がいて欲しい。
    エンドロールのあとも人生は続いていくのだ。誰かの記憶の中で僕の人生が続いていくことを、心から願った。




    ○世界から時計が消えたなら


    時間という決まり事をもって人間は寝て、起きて、働いて、食べている。つまり時計に合わせて生きている。人間はわざわざ自分たちを制限する時間、そして年月、曜日という決まり事を発明した。さらに、その時間という決まり事を確認するために、時計を発明した。
    決まり事がある、ということは同時に不自由さを伴うということを意味する。だが人間は、その不自由さを壁に掛け、部屋に置き、それだけでは飽き足らず、行動するすべての場所に配置している。挙句の果てには自分の腕にまで時間を巻きつけておこうとする。
    でも、その意味が今はよく分かる。
    自由は、不安を伴う。
    人間は、不自由さと引き換えに決まり事があるという安心感を得たのだ。



    僕が何気なく過ごしてきた時間が、とてつもなく大切なものに思えてくる。僕はあと何回キャベツと一緒に朝を迎えることができるのだろうか。残りの人生、大好きなあの曲を、あと何回聴くことができるのだろうか。あと何回コーヒーが飲めるのか。
    ごはんは何回、おはよう何回、くしゃみ何回、笑うのはあと何回だ?
    果たして本当に大切なことをやってきたのか。本当に会いたい人に会い、大切な人に大切な言葉を伝えてきたのか。
    僕は母さんにかける一本の電話よりも、目の前の着信履歴にかけ直すことで目いっぱいになっていた。本当に大切なことを後回しにして、目の前にあるさほど重要ではないことを優先して日々生きてきたのだ。
    目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないのだ。ちょっと時間の流れから離れて立ち止まってみれば、どちらの電話の方が自分の人生にとって重要なのかはすぐに分かることだったのに。




    ○世界から猫が消えたなら


    世界から猫が消えたなら。
    猫が消えた世界は何を得て、何を失うのだろうか。
    「人間と猫はもう一万年も一緒に生きてきたのよ。それでね、猫とずっと一緒にいると、人間が猫を飼っているわけじゃなくて、猫が人間のそばにいてくれてるだけなんだっていうことが、だんだん分かってくるのよ」



    そもそも死の概念があるのは人間だけだという。猫には、死に対する恐術というものが存在しない。だから人間は、死への恐怖や悲しみを一方的に抱きつつ、猫を飼う。
    やがて猫は自分より先に死に、その死が途方もない悲しみをもたらすことが分かっているのに。そしてその悲しみは不可避なこととして、いつの日か必ず訪れると知っているのに。それでも人は猫を飼うのだ。
    とはいえ人間も、自分で自分の死を悲しむことはできない。死は自分の周りにしか存在しない。本質的には、猫の死も人の死も同じなのだ。
    そう考えると、人間がなぜ猫を飼うのか分かってきた。
    人間は自分が知りえない、自分の姿、自分の未来、そして自分の死を知るために猫と一緒にいるのではないか。
    猫が人間を必要としているのではない。人間が猫を必要としているのだ。



    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

  • 読み終えて、とても温かい気持ちになりました。
    最後に家族旅行をしたいと言った母の想い、最後まで腕時計を直し続けた父の想いが伝わり、涙が溢れました。

    世界から、今あるモノが消えていったら?
    という発想には、とても考えさせられました。

    短めで優しい文体で読みやすかったです。
    小学生の娘にもおすすめしたいなと思いました。

  • すごく良い 話でした
    30歳の郵便配達員が脳腫瘍で余命がわずかであることを宣告され
    自分と全く同じ姿をした悪魔と出会い
    【この世界から1つずつ何かを消す。その代わり1日ずつ命を得る】
    という取引…
    そして色々消して 気付く事…
    すごい考えされました

    たしかに自分が生きてても、【人間が便利を手に入れる為に失う物が同じ数ある】
    現代で言うなら
    ○レコード屋
    ○本屋
    ○写真屋
    とか自分が好きなお店ですが、便利の変わりに大分失ったなぁ…
    それ以外でも、スマホが登場しただけで
    ○公衆電話
    ○カーナビ
    ○ゲーム機
    ○新聞
    ○映画
    などなど業界には影響与えてしまってる
    便利により進化してるのか退化してるのか分からない

    そんな便利っていい物か?
    でも自分(42)は今後も年下に何を言われても
    ◎本は紙で!!
    ◎音楽はCDで!!
    ◎映画はDVDで!!
    を貫きます。

  • 悪魔が出たり、脳腫瘍で死ぬ日を延ばすために、電話や映画などを消すと言う設定に、楽しさを感じない自分に寂しさを感じる。なぜ、そのアイテムを消すのと思ったり、結果的に死ぬのに、と突っ込みたくなる。
    巻末の中森氏の解説中に母の死亡時に読んで、喪失感を強く感じたとあった。まさに同じように父の葬式に駆けつける新幹線の往復の中で読んだ私も、同様に感じて良いはずなのに、そうはならなかった。火葬場から骨壷を持った私に妹は、私には見せなかった父の優しい姿を教えてくれた。この主人公と父との間には確執があり、その確執を壊すためのストーリーとなっているが、父と息子との関係は娘との関係よりあっさりしたものに思うがどうだろうか。

  • 自分が余命を得る事と引き換えに世界から消していったものたち
    自らと同じ顔をした悪魔に選択を問われる最初から最後まで、猫は繰り返しフーカフーカと主人公の側に居続ける
    初恋の人と家族
    生きる意味、生きてきた過去から未来

    主人公の選択や葛藤を追いながら、自分にとっての大切なものや家族へ思いを馳せる作品だった

  • 世界から猫が消えたなら…
    どうなんだろう、別に困らないひともたくさんいるのでは?
    地域猫に困らされている人はむしろそれを望んだりして。

    脳腫瘍で余命幾許もない「僕」は悪魔と、1日寿命を伸ばすことと引き換えに世の中からものをひとつ消すという取引を交わす。

    生命と引き換えるものは悪魔が決める。
    一日の生命と引き換えに世の中から消えていったものは、電話、映画、時計…

    そして、いよいよ僕の愛する「猫」が提示される。
    果たして「僕」の選択は?

    うーん、僕は犬派なんで…
    じゃあ、犬と自分の一日分の生命、どちらをとるかということだけど…
    これ、なかなかリアルに考えるのは難しいな、と。

    回答保留。

  • これは余命宣告された主人公「僕」の幻想、或いは長い夢かと感じた。絶体絶命の窮地に陥ればこういうことあってもおかしくない。僕の前にアロハ(悪魔)が現れ、なにか一つ消せば一日命を延ばすと提案する。なにを消すか。
    例えば、電話(他にも色々消してみる)。消す前に誰か一人に電話をかけられるという。私なら誰に(?)とか、ひとつひとつ辿ってゆくと、自分の様々なこと、甲斐なさや後悔まで胸に刺さってくる。
    ストーリーそのものより、人生の指南書のようでもあり、人が生きる上で大切なことが沢山詰まっていると捉えた。
    もう少し若いとき読んだら、感じ方は違っていたと思う(美しい切ない話と受け取っただろう、かつて見たセカチューのように)。
    少しは年齢重ね、自分なりに紆余曲折もあり、これはただ悲しいお話ではないと感じた。喪失に向き合ったときの心の持ちよう。
    最初に持った本のイメージ(タイトルとか冒頭のくだり)とは、違った。読むごとに気持ちが深くなっていった(自分的にはそのギャップにやられた)。読みやすくて一日で読めた。映画も見てみたいと直ぐ思った。アマプラで見てみます。

    <大切なものは失って初めて気づく>
    <人間というのはとかく、選んだ人生から選ばなかった方の人生を眺めて、うらやましがったり後悔したりしている生き物ですから>

  • H30.1.6 読了。

    ・死の間際に死神から自分の命と引き換えに世界から○○を消したら、自分の命を1日延命してもらえるって、言われたら自分だったらきっとあまり必要じゃないものと引き換えになんて言うんだろうなと考えながら読んでみた。
    私にとってテーマが思ってたよりも重くて、あまり感動できず・・・。

    ・「どうして人は、自分でもできないことを他人に期待してしまうのだろうか。」・・・言い得て妙ですね。これをしなくなったら、もっと楽に生きられそうなのにね。

  • 柔らかくて、温かい。フーカフーカした感触。生きている感覚。

    この文章、特に良いです。
    自分も消せないです。

    ただ、既視感は拭えないかな。
    こういう物語って、一度はどこかで出会っているから。

  • 世界から猫が消えたなら」えっどういうこと?
    なんのこと、相変わらずこの作品ずっと目にするので、いつかはという感じでやっと読んだ。

    川村元気作品
    「億男」「百花」に次ぐ三作目
    川村元気独特の世界。
    自分は
    まず猫が消えたら生きていけない。悲しい、辛い、さびしい、
    家族だし、相棒だし、守られるものだし、守られるもの。 
    いつも前置きが長い〜

    舐めてた、深い。かなり奥行きある
    しかしタッチは軽い。タッチに比べてまあ深い。
    前半、中盤までは買う。

    もし〜がなければ  それは生命と引き換えにできるか?
    もし〜がなければ  それは生命と引き換えにできるか
    ここまで究極に自分と向き合い、生きることと対峙することは大切なことだ。
    生きることで何が大切かーこれもテーマの一つと思う。
    即答できない人に問い、答え、問いと繰り返すと必ず何がその人にとって大切なものが見えてくる
    生命より重いものは?

    本文よりー
    僕の心にはそんな小さな小さな痛みが沢山ある、
    その小さな痛みを人は後悔と呼ぶのだろう。ー

    もう一つの
    テーマはここだろう。
    どんなに後悔しないようにしたって、なんらかの後悔はつきものだ。

    本文よりー

    人は水と食べ物、寝床があれば死にはしない
    この世界にあるほとんどのものは
    あってもなくても良いものなのだ。ー

    人生最後の映画、何を選ぶ?
    映画『マトリックス』より〜選ぶ?
    「道を知っていることと、実際に歩くことは違う」



    『スパイダーマン』を選ぶ?

    「大いなる力には、大いなる責任が伴う」

    『ライフイズビューティーフル』ですか?
    (確かにこれも素晴らしい映画だ)

    「考えるな、感じろ!」ー『燃えよドラゴン』から

    『ライムライト』
    「生きていくことは美しく素晴らしい
    クラゲだって生きている意味がある」
    「逆にあってもなくてもよいものとかない。」

    本文よりー
    生きること、泣くこと、叫ぶこと、恋すること

    バカバカしいこと、悲しいこと、嬉しいこと
    全てが人間の希望や絶望を繋ぎ
    紡いでいく、そして一つの必然となっていくー

    読んでいるうちに何か、スルスルとわかることがある、多分長く生きてるからだろうが〜
    すべてにうなづける。

    ここら辺がピークで
    後半は納めてしまうことが見えてきて
    どうでもよくなった、
    ずっと最後はこうだろうなぁーと読めてた。「導入」

    いつもドラマの「できの良くない」最終回は好きでない
    たぶん他の人は感動ものかもしれないがー
    バタバタとまとめにかかるし、
    先が読める
    納めてしまう。結構最終回は見ないことが多い。

    やはり映画監督もされ?
    映画に精通してる作家だから
    場面、シーンが見えてくる
    映画化されてるらしい、たぶん映画は素晴らしいだろう〜。


    ベストセラーらしい。がそうかな?

    確かに名言だらけであった。
    「人生は近くで見ると悲劇だけれど、遠くから見れば喜劇だ」

    「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ」

  • 余命宣告を受けた主人公が、1日生き延びる為に何かを消す。あり得ない設定なのに、何だかリアルな感じ。思い内容だけど、読後感は割といい。
    強いて言うなら、映画の方が感動的だったかも。

  • 映画は観たことあったけど原作読んでなかったので。
    読みやすくすらすら読めた。ユーモアがあったりして面白かった。
    "何かを得るためには何かを失わなくてはならない"そうは思いたくない。自分の幸せは誰かの不幸で成り立ってるとは思いたくない。
    お母さんが本当に素敵な人で泣けた。

  • 死を目の前にしているのにどことなく冷静な主人公。。なんとなく最初から終わりが見えてしまってたのがちょい残念だけど、優しいお話でした。
    1番良かったのはキャベツの喋り方だね‼︎可愛すぎる!!うちのキキちゃんが喋ったらどーなるんかな?と想像するだけで楽しい。ずっとねーねーねーねー撫でて撫でてかな笑

  • 「世界からボクが消えたなら」ー先に読んでいた。
    だから結末は分かっていたけど、目線が違うと感じ方も変わる。
    でも根っこの部分は変わらない。

  • 自分の命と引き換えにこの世にある何かを消すとしたら、私だったら何を消すだろうか……?

    ……本と音楽は最後まで残したい。
    あ、でも消す順番は自分じゃ決められないから、もし一番に選ばれたのが本だったらどうするだろう?
    極限状態なら消すかもしれないなぁと思ったり。

    色々考えさせられる話でしたが、どうも文体が合わないのか、なかなか自然の流れで内容が入らなかったです。
    残念です……

  • これから映画上映される川村元気先生の作品を読んでみた。
    若い郵便局員のこれから身に起こる不思議なお話。ドッペルゲンガーな悪魔。命と引き換えに差し出さなくてはならない等価交換。大切な人との思い出。母や父への想い。色々とテーマがあり、最後、主人公は人生の選択を決断しなくてはならない状況になります。
    本当の結末自体は、読者の空想で終えますが、きっと、読み手により何通りでも話は変わるでしょう。
    私自身は、ハッピーで終わらせるかな。

  • 当たり前にあるものを無くしたときにその大事さに気づく。
    何かを得るためには何かを失う。
    そんな当たり前に気付かされる作品でした。
    中学生の娘に薦めたい一作

  • 読みやすくて時間つぶしにはなる。
    ドラマか映画を見ている感じ。

    「何かを得るためには、何かを失わなければいけない」
    そりゃそうだ。人生は選択の連続。
    そしてトレードオフは常にあるもんだから。

    「感動作!」って裏表紙に書いてあるんですが
    私にとってはややチープで「うーん」って感じです。

  • 世界から猫が消えたら、ねずみは喜ぶのかな?

    犬より猫派なので読んでみた一冊。色々と考えさせられました。

    「あなたが今必死になって集めようとしているモノって、本当の本当に必要なモノですか?」

    ねずみ年の僕は、そんなふうに言われているような気がしました。
    図書館で借りて読んで、また読みたくなったので買って読んだ一冊です。

  • この物語の主人公は、余命宣告された青年。
    ある日、彼の目の前に自分そっくりの悪魔が現れ、一日命を延ばすのと引き換えに、世界から何か一つ消す取引を持ちかけられる。

    この小説にはハッとする言葉がたくさん出てきます。
    『プレゼントは、物“そのもの”に意味があるのではなく、選んでいるとき、相手が喜ぶ顔を想像する“時間”に意味がある』

    もし自分が彼の立場だったらどうするか、、
    今まで面倒くさかったことも死ぬ間際には惜しくなるのでは
    読みながらとても考えさせられました。
    でもはっきりとした結末を迎えないのが少しもやもやしました。

    最後に、中森明夫さんが書かれている解説も読んでみると新しい発見があります

  • 友達から借りた本。最初のページが、全て読んだ時に心に刺さるなぁ…。突然余命わずかだと宣告され、更に悪魔があらわれるという状況に、冷静に対応した主人公は流石。登場人物全員に学ぶこと、感じることがあって好き。悪魔も憎めない。笑 主人公が命について考えるところが心に残りました。やはり、命は有限じゃないし、いつ終わりが来るのか分からないので、毎日を大切にし、死に間際に後悔が少ないように生きたいなと感じました。まだ上手く理解出来ていないので、数年後にまた読みたいです。命について改めて考えさせられます。オススメです。

  • 3/18
    世界から○○が消えたなら

    今までは当たり前にあったものがなくなったら、
    その価値に気づくのは後のことになる

    そんな「喪失」について書かれた新しい小説だった

    特に世界から時計が消えたならが考えさせられた
    時間という概念は実に不思議なものですね

  • 初めての作者

    読みやすい
    わかりやすい
    映像が浮かびやすい

    どの年代の方が読んでも何かしら心に響く事があるだろうと思います。

    深く考えてはダメです。
    一週間の命と言われたらもっと嘆き悲しむんじゃないか?とか
    色々なしがらみ無さすぎじゃないか?とか

    現実の自分はたくさんの人と関わっている
    夫、息子、娘
    両親、認知症の義母、同居している身体の弱い義父

    未練はないけどまだ死ねないなぁ…
    でもラスト一週間だよ?と言われたら
    こんな一週間がちょっと羨ましいとも思う。

    みんなありがとね〜
    ワンコ連れて逝くけどゴメンね〜

    笑って逝けたら幸せなのかもしれない(u_u)





  • 話題作のため購入。風景や人物の描写がほぼ出てこず、会話文と主人公の独白でページが進む。話題作でなければ読むのを止めていたくらい苦痛だった。はじめ100ページ読んだところで読むのを止めようか迷った。

    主人公の寿命を一日延ばす代わりに世界から一つ何かを消す、というのだが、設定が甘く主人公が想像力がない。たとえば電話。主人公に電話の記憶が残るのは良い。電話が認識されなくなる、というのもまぁ良い。主人公以外の者も電話のことを覚えていて、それでいて不自然に思わないことが非常にご都合主義。主人公と元カノの電話での恋を語りたいがために作った都合の良い設定としか思えない。

    主人公の葛藤も少ない。あなたが一つものを消すごとに世界中からそのものがなくなるんだよ?「僕の世界から消える」というように自身を主語に置いていることから自分のことしか考えていない奴という認識を受けた。あなたが消したもののうち一つを命の支えにしていた人がいるかもしれないんだよ?消すことによって支えを失ってしまう人がいるとは考えないの?想像力が足りない。気持ち悪いくらい物語が自己完結している。電話でしか話せないなよなよした関係なんてやめちまえ。

    母親は自己を犠牲に献身的な愛を家族に注ぎ、父親は不器用な愛情を持つというテンプレート的な家族像も気持ち悪い。理解し合おうとしなかったと自己完結して終わりにしようとしている姿も気持ち悪い。とってつけたように郵便屋になりたかった理由を思い出されても。主人公が死ぬと言われてすぐ信じる元カノや友人に違和感を感じた。
    ビデオ屋の友人は「優しいいい奴だがなりたくないオタク」として描かれており、全くいい気分にならなかった。

    悪魔よ、最初主人公に「明日死ぬ」って言わなかった?それが7日目には「いつ死ぬか分からない」って矛盾してるでしょ?主人公も荷造りするの早すぎる。数ヶ月生きたらどうするつもりなの?父親がいるのに勝手に葬式頼んでいいと思ってるの?

    全般に常識がなく、物語が自己完結的。「フーワフーワ」という擬音はありません。映画原作ものにはいいものがないことを思い出した。筆者が映画プロデューサーと聞いて納得。これは小説じゃないです。

  • 薄っぺらさを感じる。
    量産型お説教系小説という感じで、もっと筆力があれば説得力もあったろうと思う

  • 主人公の郵便配達員って職業が
    結末に最大限活かされてて完璧な物語だと思った。泣いた。人間にオススメしたい一冊。
    それにしても猫にレタスとキャベツって名付けるのは天才の所業…

  • 何かを得るには何かを失わなきゃいけない。
    物を抱えていられるキャパは決まってるから、新しいものが入る隙間を常に空けておいた方がいいのかも。
    失うことを恐れてばっかりで、それを維持管理することにストレスを感じて重荷になって爆発しちゃうんじゃないか。

    本当に大切なものだけを身に付けて生きていく。そのために断捨離は大事。(こんまり先生を見習う)大切なもの(=愛するもの)とは消えてほしくないことなんだ!これを念頭に自分の直感、感情を大事にして生きていこうと思った。

  • 読みやすく、キャベツとのやりとりは面白く読むことができました。
    後半は、人によって時によって大切なもの必要なものは違う、そして自分の存在意義ってなんなんだろう、誰かに必要とされているのか、なんて考えさせられるけどそんな事より、恥ずかしいけど自分の「消えてほしくない」を大切にして、できれば表現できるようになりたいと思います。

  • 消し去って
    初めて気付いた
    事がある
    大事な物ほど
    既にあること

  • いやもう本当、驚くくらいつまらん。よくこれで出版できたなぁと感心するレベル。登場人物たちの心情が一切わからない。え?何?何が起こったの?って感じ

    猫を撫でたり、猫が喋ったりもするが作者は猫が嫌いなの?ってくらい猫を観察してないと思う。猫を撫でるときの音?が、気持ち悪い。猫飼ったことないですよね?と思う。もちろん、飼ったことがあろうがなかろうが、小説に出すのは勝手だがせめて猫をよく観察してくれ。地域に野良猫いないのか?それとも、生粋の犬派なのか?

    最初から最後まで終始、「僕、こんなに素敵な作品書けるんですよ!!ほら!!実写映画化もされちゃったー!!」って言われてるみたいだった。

    買う価値はないですね。実際、周りにいた人でこの作品を読んだという方の中で高評価だった人のほとんどが普段から読書をしない方ばかりでした。読書家の友人も酷評。どこがそんなに面白いのか分からなかった



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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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