- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094086720
感想・レビュー・書評
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善良なものが溢れてる。
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前作『森崎書店の日々』では、失恋して傷つき心を閉ざしがちになってどん底だった貴子ちゃんが、ひょんなことからサトル叔父さんの古本屋さんに住み込むことになって、少しずつ心も回復していく話だったけど、続編は「森崎書店」をとりまく愛すべき人々との、ささやかだけど温かい交流がものすごーく丁寧に描かれていて、こっちのほうがさらに好きでした。
悲しい別れもあって涙する場面もあったけれど、最後はほんわか笑えるような、心温まる物語でした。
貴子ちゃんが傷つきながらも少しずつ成長していく過程も、なんだか娘を持つお母さんみたいな気持ちになれて心地よかった。
読んでる間も読み終わったあともずっとこの物語の中に浸っていられて幸せな時間でした。
やっぱり小説っていいな。
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本について詳しく述べることはあまりないが、古書店を通じて様々な人がすこしずつ再生していく。何者でもない人がいてよいんだ。と、ありふれた毎日のなかで自分を認めて前に進む。なんか力付けられた作品でした
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ラストは家で読むことをオススメする。
公共の場で読んでしまった私はポロポロ泣いてしまった。
貴子さんが作ったメニューを私も今度夕飯に作ろう。
自ら閉めてしまった扉は、外からこじ開けても、内側から開かれないと意味がないのだ。
これは子育てでも必要な考え方だ。 -
憎らしいんだけど憎めないこと。大切に思っている人に壁を作ってしまうこと。言うべき時には、やはり言わなければいけないこと。まるで業のように、自分の中に絡みついていることも、いつかはなくなるんじゃないかと思えること。当たり前のように、ずっと続くと思える日常が、とても愛おしいこと。どんなに大切に思っている人も、いつかはいなくなってしまうこと。それでも、前に進んでいかなければいけないこと。さりげない日常を描いている中から、いろんな事を感じ取ることが出来た。明日から、人生が少し楽しくなりそう。
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森崎書店の続編。ただただ、よかった。
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何にも特別なことではない
ありふれた日常
それでも何故かとても特別なものに思える
今ままで小説なんて食い入るように読んだことなかったけれど、八木沢さんのストーリーの描き方が大好きで、空き時間があれば読みたくなる、ずっと手元に置いて置きたくなるような、そんな本だった。
一文一文が繊細でその物語に自分が入り込んでいるかのような感覚になる。それがとっても心地良い。
このような本に出会えることを楽しみにまた次に読む本を探してる♪ -
再読。
前作は貴子の成長物語だったけれど、今作ではさらに深みある女性へと変化していく姿が印象に残った。
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失恋傷心した貴子が叔父の古書店で前に進む力を与えられ、叔父の妻桃子が突然の失踪から戻ってきて平凡でささやかな生活が再び始まった前編から2作目の本作では、恋愛に消極的な友人トモちゃんと辛い経験をしている貴子が互いの相手を信頼して気持ちが通じ合う迄の葛藤や迷いを古書店を取り囲む仲間を通じて成長し大人になって行く姿が描かれている。
小説の前半では古書通の話や昭和初期の小説が幾つか登場し読書家にとってはちょっとニンマリする場面もありますが、前作・本作で共通している物語の骨格は男女の感情(特に古書店主夫婦や姪貴子の恋愛関係)に焦点が合わせられて居り、特に叔父サトルと妻桃子の微妙な空気感でお互いを思いやる独特な関係は今時珍しい純愛なんだと思います。
古書店主夫妻・姪を中心としたとても狭い世界だけど素朴に温かくやさしく前を向いて生きる姿は現実の社会でも通用する生き方なのではないかと読後切ない気持ちになりながらも明日への希望を与えてくれる1冊でした。