ラバーネッカー (小学館文庫 ハ 8-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088533

作品紹介・あらすじ

英国ミステリ界の新女王、待望の最新作!!

ラバーネック/[名詞](ゴムのように首を伸ばして)むやみに見る人、物見高い人。
南ウェールズに母サラと二人で暮らすパトリックは、アスペルガー症候群の18歳の少年。他人とのコミュニケーションが苦手な彼は8歳の時に友だちとトラブルを起こし、学校から呼び出しを受けた父はその帰り道に息子の目の前で車に轢かれてしまう。しかしパトリックは父の「死」が理解できず、それから彼の「死」への探求が始まる。「死」の向こうに何があるのか。ひたすらその答えを探すパトリックだが、小動物の死体を解剖する、死者の写真を集めるといった彼の行動にサラは戸惑い、息子との関係に悩んでいる。
カーディフ大学医学部に入学し解剖学を学ぶことになったパトリックは、実習で遺体の解剖・死因特定を課される。遺体「19番」の担当になったパトリックは、解剖中に不審物を見つける。「19番」の娘と接触し、彼が何者かに殺されたと直感したパトリックは警察に通報しようとするが、その動きを知った真犯人の手がパトリックにのびる…。
デビュー作でゴールド・ダガー賞に輝き、本作でも再度ノミネートされた英国随一の実力派作家による最新作登場!

【編集担当からのおすすめ情報】
デビュー作『ブラックランズ』でいきなり英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞受賞という快挙を成し遂げ、著書4作にしてすでに英国ミステリ界の女王となったベリンダ・バウアー。市井の人々の心の闇や苦悩、喜びや希望を丁寧に描き、ミステリ好き以外の読者も惹きつけ、欧米、日本で着実にファンを増やしています。
本作でも新人離れした筆力でゴールド・ダガー賞にノミネートされ、惜しくも受賞は逃したものの、バウアーには英国図書館員が選ぶCWAダガー・イン・ザ・ライブラリーが贈られ、彼女がプロの本読みにも愛されていることが証明されました。その実力を、ぜひその目で確かめてください。
解説は、精神科医の香山リカさんです。

感想・レビュー・書評

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  • アスペルガー症候群のパトリックが、父親の死から「死のなぞ」に取り憑かれ、解明するべく医大の解剖学を学ぶが、解剖体から不審物を見つけその死に疑問を抱き、一心不乱に死の謎の解明にあたる。 物語の後半からは展開も早く一気読みで、そして読後感は良い。

  • アスペルガー症候群の主人公パトリックを中心に描かれている。この病気についてはスティーブン・スピルバーグなど著名人も数多くなっていることは聞いたことがある。

    この作品を読んで具体的にどういう症状なのかよく分かった。それにしてもなぜ、母親との関係がここまでこじれているのか不思議に思っていたが最後の方でやっと理解することが出来た。

    それにしても解剖学とこの病気を組み合わせて、サスペンス仕立ての小説にするなんて恐れ入りました。また、主人公がある事をさかいに霧が晴れたように人間として成長していく姿は素晴らしく、良かったねと思わず声をかけたくなった。

  • 設定にひねりのあるミステリ。探偵役が解剖学を学ぶアスペルガー症候群の青年なのだ。解説で香山リカさんが書いているとおり、現在では専門家はアスペルガーというくくり方はしないようだが、やはりこのとらえ方にはインパクトがあり、また、なるほどと腑に落ちる所もある。その「普通ではない」感覚の持ち主である主人公が、共感を誘うように描かれていて、知らず知らず肩入れして読み進めていくことになる所が、うまいなあと思った。

    決して爽やかな読み心地ではない。どうしても周囲と軋轢を生じてしまう主人公パトリックの孤独や、その母の苦悩がえぐり出すように書かれる。また、犯罪の舞台となる病棟で、昏睡状態にある患者の絶望的な苦しみには、暗澹とした気持ちになる。パトリックが真相を見いだす殺人以外にも、複数の殺人(あるいは未遂)があることが示される。その一つはかなり衝撃的だ。

    ちょっと盛り込みすぎのような気もするが、読みごたえがあった。パトリックが、人の気持ちというものは学んでいけるのだと思うようになるのが、何よりの救い。ごく普通の人たちである、周囲の若者たちの描き方も良かった。

  • アスペルガー症候群のパトリックは父親の死をきっかけに「死」への探求に取り憑かれる。
    長じて障害者枠で入学した大学の人体解剖実習で、献体から不審物を発見しその死因に疑問を抱く…。

    アスペルガー症候群の青年を主人公にした上で、天才ではなく病的な拘り故の特異な能力を持っているとしたところがこの作品のキモだと思う。
    縦糸になっている事件そのものはそれ程ひねられていないけれど、パトリックの拘りとそれに戸惑い振り回される周囲が織り成す横糸が見事に絡んで物語を読ませるものにしている。
    ただ『ブラックランズ』三部作の方が好みだったな。

  • 主人公の成長の物語です。隙間時間に読書する習慣なのですが、わりと一気に読んでしまいました。解剖描写などはちょっと辛いけど……。病棟殺人の理由や母親の秘密とその証拠隠滅部分はちょっと短絡的と感じまし。

  • 3つの事件が進行していたんだね。横文字の名前覚えるの超苦手…。植物人間、時系列や誰目線なのかわからなくなって、特に凝ったトリックでもなかったし…。うーん?パトリック母の秘密にはちょっと疑問。

  • パトリックはすっきりしたけど、トレイシーやディール夫妻はどうなったんだ?

  • アスペルガー症候群で、解剖学の学生が主人公。人とのコミュニケーションが苦手で、探究心が強く、疑問をあやふやにできない、一つのことが気になるとほかのことは見えなくなる・・などなどの性質を持っている。その主人公が解剖体の死因に疑問を抱き、自ら追求していく話。解剖体の人物がこん睡状態だったときの部分と、主人公の現在が交互に語られる形式。主人公のひたむきな行動がなぜか胸をうつ。周りに誤解されながらも最後は理解され、いい形で結末をむかえられて、読後がさわやかでよかった。

  • 2014年10月8日読了。

    えーっと、トレイシー&ミスター・ディール、そして彼の奥さんのことは一体どうなったのー?

  • 事件の謎と父の死の謎は、別々の巻に分けて書き直してもいいのではと思ってしまった。終盤になって後者の謎が解かれるくだりが唐突すぎて、付け加えの樣に思える。トレイシーの件も余分。

    それでも、正にページをめくるのが止められなかった。

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