海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001548

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹のイメージとは違う、文章の表現が印象深いというより割とシンプルにストーリーを追う作品。
    こんな作品も書けるのねーと思いながら下巻に続きます。

  • 力をつけたい少年の描写が印象的だった。21の自分よりも15のカフカの方がずっと多くのことを考えてるし、強いんだろうなと感じる。

    ストーリーの内容への感想よりも、カフカ少年の生き方やストイックさに憧れが大きかった笑

  • 10年ほど前にも読んだけど、多分それより時間をかけて読んだ。象徴的な比喩表現が大小多くあることによって、詩的だが現実的なイメージが作られてくる。様々な人間関係を経たからこそ、思春期の少年に共感しやすい部分もあった。生きていくのに重要なこともいくつかあったように思う。

  • 海辺のカフカはいつか読むつもりで、気づけばもうかれこれ10年以上本棚にしまっていた。正直言ってファンタジー色が強すぎるものは苦手だと思っていた。でもふとしたときに、異世界や精神の繋がりといった超自然的なものを著すのにはファンタジーほど適したものはなく、あの村上春樹はどのようにして描くんだろう?と興味がわいた。

    海辺のカフカは、15歳の少年が東京から四国へ家出をし、図書館の片隅で暮らし始める話だ。その過程で主人公は自分の内側と外側の世界を知る。猫と会話することのできるナカタさんの登場。血の付いた服と、思い出される予言。そして海辺のカフカ。物語が交錯してゆく。

    村上さんは現実と非現実的な世界を、シームレスに、自然に、行ったり来たりする。
    文体は平易で透明感があって、同時にしっとりとしている。まるで落ち着いたクラシック音楽を聴いているかのように、静かに物語に入り込める。

    各章の終わりが、読者の興味をそそるようにクリフハンガーになっているところもさすがというか感心した。下巻が気になる。

  • 10年前くらいに村上春樹に挑戦してみようと思って読んだノルウェイの森があまりハマらなかったからその後読むことはなかった中、村上春樹読むなら海辺のカフカだよと勧められ読んでみた。

    読んでみたら思ったよりすごく読みやすいしぐいぐい引き込まれる。話の展開も読めなくて気になるし、文章が心地よくて会話のかんじとかクセになる!最近読んでたような本とは全然違う感覚、これが村上春樹ワールドなのかな?
    登場人物も魅力的でなんだか本当に彼らが目に見えてくるるようなかんじですごく愛着がわく。

    すごく楽しく読めた。上巻だけではまだ全然話がつかめないけど。でも楽しくてたまらなかった。
    なかなかまとまって落ち着いて読む時間がないからどっぷり世界観に浸りながら読めないのが残念。また読みたい。

  • ー自我の獲得ー
     自我を形成していく少年と自我を失った中年の物語が交互に差し込まれながら、互いの実年齢から、中央値に向かって同じ到達地点に向っていく。

     少年は自由を求めて、母親と姉、肉親の影を求めながら、父性より逃走を図り、ゆっくりと自我を育むことのできる安息の地を見出す。トランスジェンダーという境遇、難病という境遇にありつつ、戯曲、寓話、哲学に精通する良きメンターもまた、世間一般の自我を喪失した人間であり、少年の成長に一役買って出る。

     対して中年は、自我を喪失した状態に在って、“影を失った”人間として描かれる。猫と話せる。他は特にとりえもないが、少年の父親と思しき人物を殺害する数奇な運命に巻き込まれ少年のいる地へと足を向ける。

     中学生のとき、夢中になって読んだ。

     少年がかっこよくて、堪らなかった。学校では誰とも喋らず、しかし、授業は乾いたスポンジが水を吸い上げるように吸収し、部活には入らずジムに通って体を鍛え上げる。図書館に通い、書物をあさり、音楽を嗜む。

     そんな現実離れした少年のストイックで閉鎖的な生活を喉から手が出るほど羨んだ。

     反面。物語の込められた寓意性はほとんど理解していなかったと思う。何度読んでも不思議な感じがして、腑に落ちなくて、もう一度読み返してしまう。

     お気に入りの曲の、なにが、どこが好きなのかを考えるのも野暮だと言わんばかりに、頭からリピートするように。

     自我の獲得。それが今から思い返して、念頭に浮かぶテーマだ。今読めばまた、がらりと変わった世界に出会うのだろう。

     再読のためにこの文章を残しておく。

     2022.2.13

  • 20世紀版のオイディプス王のようなお話になるのか?と想像しつつ、、下巻はゆっくり読もう。

    20章に出てくる、ナカタさんにヒッチハイクを提案するOL2人と、冷凍車運転手のハギタさんが素敵。

    大島さんの『性同一性障害の女性のゲイ』という概念は複雑すぎて上手く想像できないが、すごく気になるひとだ。

    村上作品の中では、主人公が少年なのは珍しく、いつもの中年おじさんの方が余程自分の実年齢に近いのだけど、この作品の方が感情移入しやすい。

  • 息子に借りて半年が経つ。
    「そろそろ返して!」と言われて
    ゆるゆると読み出した。(借りた本まで積読…)

    一人夜行バスに揺られたり、
    図書館で暮らしたり、
    設定や描写が素敵で、ミステリアスで
    ちょっと生々しいのは苦手だけど
    読み終わるのがもったいない気分になった。

    でもそろそろ返さないとね。

  • 二度目の読書。
    強烈な辛さから逃れられる読書に選んだのは村上春樹、そして映画はクリント・イーストウッド。

    読んでいる最中は、15才の少年になりきれる。
    『世界でもっともタフなオヤジになるための決意』を確認したかった。
     夢の世界のようなふんわりとした情景のなかで、確実に培われているタフさを少年のなかに感じたかつての読後の記憶があったのであらためて手にとってみた。
     
     「君がやらなくてはいけないのは、君の中にある恐怖と怒りを乗り越えていくことだ。そこに明るい光を入れ、君の心の冷えた部分を溶かしていくことだ。それがほんとうにタフになるということなんだ。」

    「思い出はあなたの身体を内側から温めてくれます。でもそれと同時にあなたの身体を内側から激しく切り裂いていきます」

     深い悲しみに沈むことがあっても、静かなこのことばたちは、ハット我に帰らせてくれた。

     

  • 二人の主役のストーリーが流れます。微妙に交わりつつある二人。どんな繋がりが出てくるのか興味津々です。後編が楽しみです。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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