坊っちゃん (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101010038

感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石ってこんなにユーモアのある人だったんだ!
    田舎を見下す口の悪さには身に覚えがあり、自分流の正義を通そうとする主人公の若さには懐かしさを感じ、他人を皮肉る極上の悪口にはニヤリと笑わされっぱなしだった。
    主人公の正義感に共感する。でも若い直情型の怒りには悪知恵が欠けていて、集団の中で上手く立ち回る小さな権力にも勝てない。身を呈して挑まなければならないが、賭けるものが自分の身体ひとつという不利と不条理。昔も今も、正義を通すのは簡単じゃない。
    清の存在がこの小説の救いだった。

  • 夏目漱石さんの本を初めて読みましたが、面白かったです。坊ちゃんという主人公が真っ直ぐで芯があるけど、無鉄砲すぎるところが、逆に惹き付けられました。
    また、所々の悪口や皮肉を言う時のセリフなどが本当に笑えて、夏目漱石さんの言葉選びに感動する程でした。

  • 名作と名高い、坊ちゃんを読了した。私は今年で二十一になるが、恥ずかしながら坊ちゃんを初めて読んだ。

    読み終えた所感としては、軽快であり読みやすかったと思う。小、中学生の人気図書には、『吾輩は猫である』と本作が名を連ねるが納得である。明治の作品でありながら、さほど文章に癖がないし、何より坊ちゃんがぶっきらぼうで愛らしいキャラクター性があって面白く、くすりと声が出てしまうようなコミカルさが随所に見られる。育ての親同然の清に甘える描写や、自分の今後について、どうにかなるだろうという根拠の無い自信を持っているところなど、坊ちゃんは精神的には幼く、心が若いということも若年層に人気がある一つの理由だろうと思った。

    特筆すべきは坊ちゃんの魅力、ことに常識破りの破天荒さであろう。彼は、嘘を嫌う素直な人間であるが、あまりにも度が過ぎていて面白い。

    赴任して早々に、校長から「教師らしく、生徒の手本となるように」という、形式的な言葉を貰う場面があり、凡そ一般的には、「はい」と返事して首を縦に振っておけば良いものだが、坊ちゃんはひと味違う。彼は出来ないと答え、仕事を辞めようとするのである。また、作品の中には、自分の昇給が気持ちの良い道理のものではないと分かり、教頭の家へ行って自分の昇給をやめてもらうよう話す場面もあった。彼は仁義や人情で行動し、自己の不利益を考慮しない。損得勘定というものも存在せず、あくまで自分の正義だけを指針とし、正しい行いをするべき、悪事は気に食わないといったスタンスで終始行動する。そこが、坊ちゃんの好漢たる1番の理由であり、(精神的に)坊ちゃんと呼ばれる所以であると思う。

    私を含め現代に生きる人間は、彼のように自身の正義を執行すること、人に嫌われることを厭わない精神を持つことはかなり難しい。社会という海に出て、人の狡猾な悪意や地位というしがらみに絶えずもがきながら、それでもなお自身を貫く坊ちゃんのキャラクターを通して、人間の仁義のあり方を得る、不朽の魅力のある作品である。

  • 夏目漱石と言えば「こころ」のイメージが強いので重くて憂鬱な話が来るかと思いきや、滑稽。コメディ色強め。「四畳半神話大系」がチラつく。主人公がひたすら真っ直ぐで、不条理なものにずっと文句言ってる様がなんだか良かった。
    清との関係性も良い。

    やな奴たちがリアル。こういう奴いるわーって思いながら読んでた。

  • 100年前も今も人間模様は変わらないのだな
    坊ちゃんがつけるあだ名のセンスもサイコー!笑
    痛快ストーリーで面白かった〜!

  • これは松山という土地柄を揶揄したものではなくてほとんどの教師という人種はろくなモンじゃないということが言いたかったことのひとつなんでしょうね。
    ーーーーー
    松山中学在任当時の体験を背景とした初期の代表作。物理学校を卒業後ただちに四国の中学に数学教師として赴任した直情径行の青年“坊っちゃん"が、周囲の愚劣、無気力などに反撥し、職をなげうって東京に帰る。主人公の反俗精神に貫かれた奔放な行動は、滑稽と人情の巧みな交錯となって、漱石の作品中最も広く愛読されている。近代小説に勧善懲悪の主題を復活させた快作である。

  • 兎にも角にも「ぞなもし」が最高。

    坊ちゃんと田舎の生意気な学生たちとのやり取りは生き生きとしていて面白い。だが後半はどうにも暴力の使い方がセコい。坊ちゃんの理論によって赤シャツのセコい所業(しかし赤シャツの気持ちも私のような小物には少しわかるのが辛い)と、坊ちゃんや山嵐の暴力がまるで同じレベルになってしまい、そこに痛快さは全く見出せない。今回の件で味をしめた坊ちゃんがこの先、下の立場の者を暴力で統べるようにならないかも心配。坊ちゃんの正直さが好きだからこそ、そこが暴力と安易に結びついてしまうのは残念に思う。

  • 今まで小説をあまり読んでこなかったこともあり、手始めに夏目漱石の代表作から、ということで購入。筋がシンプルでわかりやすく、一言でいえば「痛快」な話だった。

  • 記憶と違うとこ多かった
    教師なんてどの時代もクソなんよ

  • やっぱり最高だなあ、その痛快さ!

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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