- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101050256
感想・レビュー・書評
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ほぼ昭和20年代に書かれた短・中篇集。人工美とそれを違和感なく作中に忍ばせる仕掛けの妙。
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女が注文すべきお酒はその日着ている洋服の色にあった色でなければならぬ。
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おもろい、三島由紀夫おもろい。
ミステリーとか読んでいると、文章というよりも、むしろ物語を読んでいる感があるんだけど、この作品とかは文章そのものを読んで、その言葉使いとか表現の巧さとかで楽しんでいる。
だから楽しめるかどうかは文章にかかるところがある。
文章には疎い俺ですが、三島由紀夫の文章は綺麗だと思う。まだ2冊しか読んだことないけれど。
とても繊細。そのきめ細かさが、純粋な恋愛をより際立たせる。
「女神」も面白かったけれど、「恋重荷」「侍童」「朝の純愛」の3作品が特に良かった。
「侍童」中の「目が見上げていないが、唇が星空を見上げている。」という表現がめっちゃ好き。脱帽。
若さへの捻じ曲がった執着を描いた「朝の純愛」。出会った当時の若い姿を頭に描いて接吻する夫妻。愛しているのは今の相手ではなく、若かった時の相手の幻影。果たしてこれは異常と言い切れるのだろうか。 -
文章がとても美しく、うっとりとした気持ちになりながら読むことができた。
女神、雛の宿が特によかった。 -
美の追求、比喩表現の優美さは流石の三島由紀夫である。
男女の物語を綴る短編11集。
一貫して根底に流れ所々に垣間見える、若き美しさと老化への抵抗感はこのころから一貫して根底に流れる作者の最期に通じるものがあると感じた次第。 -
本当に絶妙なモテる男とほっておけない男を書くのが上手だなあと思った。軽妙で美しく賢く完璧なモテる男と、絶対にダメなんだけど惹かれるのはわかる女心をくすぐる感じのほっておけない男。そして美しい女を書くのも上手い。振る舞いの調子とか言葉とかのチョイスがよかった。女神、恋愛を失った瞬間に人間の域から外れたような宗教じみた存在になる、父親はその敬虔な使徒という感じがした。二人だけの宗教になったんだなあみたいな。あと個人的に雛の宿がショートショートっぽい壊れてて不気味な終わりで好きだった。面白い。
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「お嬢さん方、詩人とお附合いなさい。何故って詩人ほど安全な人種はありませんから」
短編集。『女神』が一番好きだけど、心にひっかかったのは『接吻』の台詞。 -
朝子は斑鳩や俊二との出会いと惜別を通して、人間の悲劇や愛欲などに決して蝕まれない、大理石のように固く明澄な芳しい存在に化身する。
→これは人間(女)と言う括りの中で最上級の美を求める周伍という父そのものを超越したことと同義である。
『女神』は(老化という)自然と文化との対立構造を描いた作品のように見えるが、その他の短編はあくまで耽美で自然的な男女の恋愛模様を描いた作品のように感じた。
接吻
哲学
白鳥
どのような時代にも、青春の生きにくさは外部よりも内部にある。 -
中編・短編集です。この世の美しさがすべてここに集まったような作品たちでした。
途中まではさくさく読めましたが途中どうしても表現が複雑で断念。
表現がとても好きなだけにめちゃくちゃ悔しいのでいつか再読してチャレンジしたい!