檸檬 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101096018

感想・レビュー・書評

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  • 窓の外は雨。手元には梶井基次郎。
    曇り空にこれ以上ないカップリングです。

    異国の太陽を燦々と浴びたレモンの
    滴るような新鮮さはありません。
    ただ、ラストに仕掛けられた色彩の爆弾が
    読後いつまでも、心に黄色く輝きつづけます。

    ふと、日常という「圧迫」に対して
    内側から破裂してみたい。という「私」の願望。
    その酸っぱい果汁のような想いが
    本屋という「知のかたまり」に対して
    ステキに晴らされているラストシーンに酔います。

    最近の憎悪は、稚拙で直接的。
    すぐに血を求めてしまうその「鬱」な人々には
    上手に自分をなだめられる「知性」が不足してるのかも
    と、納得している今日この頃です。

    漠たる不安に日々悶々としておられる方。
    変わりに『檸檬』が、仇をとってくれますよ。
    是非ご一読を。

  • 高校2年のとき図書室で、文学少女ぶってこの本を手に取らなければ、私の中二病はもう少し軽かったんじゃないかと思う。

  • はじめて梶井基次郎さん
    檸檬はよかった
    他はあまり共感できないところが多かった

  • 短編集のはずなのに読み終わるのに時間がかかった。ほとんど理解できてない

  • 読みずらい話が多かったが、"檸檬"は相変わらず落ちが面白い。泥濘、Kの昇天、桜の樹の下には、器楽的幻覚、冬の蝿が特に面白かった。


    影とドッペルゲンゲル。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。この世のものでないというような、そんなものを見たときの感じ。その感じになじんでいると、現実の世界が全く身に合わなく思われてくるのです。だから昼間は阿片喫煙者のように倦怠です。

    K君は、影は阿片の如きものだ、と云っていました。若し私の直感が正鵠を射抜いていましたら、影がK君を奪ったのです。(Kの昇天)

    私は腑甲斐無い一人の私を、人里離れた山中へ遺棄してしまったことに、気味のいい嘲笑を感じていた。(冬の蝿)

  • 気怠げな静謐感。
    言葉にすると矛盾したような空気感が、一貫して漂っている。
    空間や時間の描写にも湿度を感じ、読みながら、その空間に身を置いたような感覚にも陥る。内面凝視で、様々な感情の揺れを感じる。

    1920年代に書かれてるから、よくわからない言葉が出てくるんだけど、それを調べて、使われなくなった言葉の背景を想像するのも面白い。

    それでも何故か、読後は気分スッキリする。
    格調高い文章って、こういうのを言うのかなと、根拠はないけれど何となくそう思った。

  • 授業で取り上げられた作家だったので、他の短編も知りたくで読んだ。病気療養の中で書かれた作品が多いため、陰鬱な印象を受ける作品が多かった。
    上手く自分の中で解釈できない作品もあったので、モヤモヤした感覚が残ってしまった。
    しっかりもう一度読みたいと思う。

  • 漠然とした不安・焦燥感
    印象派絵画のような美文と情景描写
    闘病生活の中で見出す花鳥風月と繊細さ
    結核による死への恐怖とネガティブ思考、絶望感

    「ほんの些細なことが その日の幸福を左右する」

    日本純文学のクラシック。

  • 「檸檬」以外は読んでいなかったので挑戦。
    「ある崖上の感情」など面白いものは数編あるが、ほとんどは読みづらい。近代日本文学にありがちな、ごくごく些細な出来事から不安や焦りを感じ(この感受性の独特さが梶井基次郎の特徴のようである)、長々と書き続けるという印象。なかなかの苦行であった。

  • 寂しいけど綺麗な感じの短編が好きなので、これはよかった。特に『冬の蝿』がいいなと。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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