- Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101096018
感想・レビュー・書評
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窓の外は雨。手元には梶井基次郎。
曇り空にこれ以上ないカップリングです。
異国の太陽を燦々と浴びたレモンの
滴るような新鮮さはありません。
ただ、ラストに仕掛けられた色彩の爆弾が
読後いつまでも、心に黄色く輝きつづけます。
ふと、日常という「圧迫」に対して
内側から破裂してみたい。という「私」の願望。
その酸っぱい果汁のような想いが
本屋という「知のかたまり」に対して
ステキに晴らされているラストシーンに酔います。
最近の憎悪は、稚拙で直接的。
すぐに血を求めてしまうその「鬱」な人々には
上手に自分をなだめられる「知性」が不足してるのかも
と、納得している今日この頃です。
漠たる不安に日々悶々としておられる方。
変わりに『檸檬』が、仇をとってくれますよ。
是非ご一読を。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校2年のとき図書室で、文学少女ぶってこの本を手に取らなければ、私の中二病はもう少し軽かったんじゃないかと思う。
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はじめて梶井基次郎さん
檸檬はよかった
他はあまり共感できないところが多かった -
短編集のはずなのに読み終わるのに時間がかかった。ほとんど理解できてない
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気怠げな静謐感。
言葉にすると矛盾したような空気感が、一貫して漂っている。
空間や時間の描写にも湿度を感じ、読みながら、その空間に身を置いたような感覚にも陥る。内面凝視で、様々な感情の揺れを感じる。
1920年代に書かれてるから、よくわからない言葉が出てくるんだけど、それを調べて、使われなくなった言葉の背景を想像するのも面白い。
それでも何故か、読後は気分スッキリする。
格調高い文章って、こういうのを言うのかなと、根拠はないけれど何となくそう思った。 -
授業で取り上げられた作家だったので、他の短編も知りたくで読んだ。病気療養の中で書かれた作品が多いため、陰鬱な印象を受ける作品が多かった。
上手く自分の中で解釈できない作品もあったので、モヤモヤした感覚が残ってしまった。
しっかりもう一度読みたいと思う。 -
「檸檬」以外は読んでいなかったので挑戦。
「ある崖上の感情」など面白いものは数編あるが、ほとんどは読みづらい。近代日本文学にありがちな、ごくごく些細な出来事から不安や焦りを感じ(この感受性の独特さが梶井基次郎の特徴のようである)、長々と書き続けるという印象。なかなかの苦行であった。 -
寂しいけど綺麗な感じの短編が好きなので、これはよかった。特に『冬の蝿』がいいなと。